2008年06月14日更新

#233 『ぶーちゃんは悠久の向こう』

先日、10年以上前からの仕事仲間であり、同僚であり、
友達であり、ライバルだったぶーちゃんがこの世を去った。


享年33歳


仮に人生の歩みが「千歩」だとすると、
まだ400歩ぐらいしか、自らの“history”を歩んでいないじゃないか・・・


ぶーちゃんの性格は複雑だった。


ええかっこしー、見栄っ張り、ナイーブ、几帳面、
プライドが高い、甘えん坊、マイペース、
仕事も女も理想が高い、後輩思い、友達思い、
猜疑心が強い、真面目、優しい、勤勉家。


そして、何よりもヘッポコだったな。


この多面的な性格故か、
ぶーちゃんとの思い出も多岐にわたる。


初めて話したのは電話だった。
俺が宣伝マンだった頃で、
プレゼントパブの売り込みだった。
声の感じが悪くてさ、年上だと思ったよ。


後日、千葉で開催した100人バーベキューで、
初めて顔を合わせ、年下だと知って驚愕した。


全てはここから始まったんだな。


宣伝担当作品『ロミオ・マスト・ダイ』のイベント会場でむかついて、
キレた時に心配してくれた。


これがキッカケで、
俺はお前のいたカミングスーンTVに転職できたんだよな。


海に行くのにいつも革靴、ピチピチシャツ、長ズボンだったな。


どっかみんなで出かけるときは、
すぐに「悪いんだけどさ、迎えに来てくれる?」、
「悪いんだけどさ、家の近くまで送ってくれる?」って、
俺はお前のアッシーかっ!!!


今や大所帯で行く夏の海。
一番最初からのメンバーだったな。


会社のみんなで、アクアライン使って千葉の海に行ったこと。


酔いに任せて女装させて写真撮ったこと。


四谷の花見で吐きまくっていたこと。


俺の家にみんなを呼んで鍋パーティをした時、
みんなよりも先に到着したぶーちゃんは、
お腹が空いたからといって、
西友で自ら買ってきた惣菜をモリモリと食べた。
俺が調理している最中にね。
で、みんなが来て、いざ、鍋って時に、
「ごめん、伊藤さん、お腹一杯だわ」って・・・


みんなで那須に行ったとき、前日の飲み過ぎて二日酔いで、
完全ヘッポコ状態。
回復した夜にまた飲み過ぎて、次の日もまたヘッポコ状態。
「ごめん、気持ち悪いから朝飯いらないや」って・・・


その日に、二人で湯治場温泉に入ったな。


代々木公園の花見の幹事だったクセして、
当日、二日酔いで来なかった。


飲み会には必ず遅れてくる。


クラブで一緒に踊った。


鬼怒川の温泉に行った。


人の車の中で、ボロボロこぼれるサンドウィッチを食うなよ。


ぶーちゃんが助手席に座ると、短い足を組むので、
必ずダッシュボードに靴の後が付いていたこと。


そして、俺が車をぶつけた時も助手席に座ってたな。


ボーリングで、投げ終わった後のポーズが変だったよ。


頭の毛がいつもツンツン立ってたな。


お互いが辛いときにサシで何度か飲んだよな。


玉川のバーベキューに遅れてきて、
その侘びとして、アイスキャンディーを大量に買ってくるセンスの無さ。
食べきれなくて、
クーラーボックスに溶けたアイスの袋が、プカプカ浮かんでいた。


「最近、太るんだよぉー」って言いながら、
出勤するやいなや、デスクでサンドウィッチを頬張り、
缶コーヒーを飲む。
で、必ず足組んでいる。
更に、昼もちゃんと食う。


今年、久しぶりに六本木で一緒にランチ食いに行ったら、
禁煙席の無い店で、タバコ臭くなって不快だったな。


『スパイダーマン3』の完成披露試写会の会場で、
開映直前に便意を催し、トイレに駆け込んだけど、
先客が個室から中々出てこない。
「男のクセして、クソに何分かかってんだい!!」って思っていたら、
入っていたのはぶーちゃんだった。


福井晴敏の「亡国のイージス」について語らったこと。


俺がカミングスーンTVに来て間もない頃に作った、
『13デイズ』のミニ番組を見て、
「伊藤さん!これ良いよ!!」って握手を求めてきてくれたこと。


その後、お互いに意識しあって、しっくりいかなかったこと。
それで、ぶーちゃんを悩ませてしまったこと・・・・


すまなかったな。
俺とお前はライバルだったから・・・


にしても、キリがないな。


ネタが有りすぎるんだよね・・・


ヘッポコなのにエエカッコシー。
そして、優しい・・・


そんなぶーちゃんはみんなから愛されていた。


そして、お父さんの影響で、
プログレシッブ・ロックが好きだったよね。


いつも仲間で行っている海での夜。
バーベキューをしながらラジカセで、
キング・クリムゾンの「21世紀の精神異常者」をかけたら、
ぶーちゃんはとても喜び、大いにはしゃいで、
一緒にヘッドバンキングしたよな。


ぶーちゃんの誕生日には、
ピンク・フロイドの2枚組ベストアルバムをプレゼントした。


これからはキング・クリムゾンやピンク・フロイドを聴く度に、
ぶーちゃんの顔を思い出すんだろうな・・・


俺が一番好きなフロイドの曲は、
「Wish You Were Here」だよ。




I wish you are here.....

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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