2007年12月12日更新

#172 『アイ・アム・レジェンド』


#172『アイ・アム・レジェンド』

『アイ・アム・レジェンド』


配給:ワーナー・ブラザース映画
12/14よりサロンパス ルーブル丸の内ほか全国にて

2012年、ウィルス(made in USA)により、地球上から人間の姿が消えた。
生き残ったのはたった一人の男ロバート・ネビルのみ。


愛犬サムと共に生存者を3年間探し求めてきたが、いまだ見つけることが出来ない。
果たしてロバートはこんな世界に希望を見出すことが出来るのであろうか・・・。


荒廃したNYで孤独や恐怖と戦いながら生きる男の姿を描いたウィル・スミス主演のSFアクションスリラー『アイ・アム・レジェンド』。


#172『アイ・アム・レジェンド』


うーん、個人的には大好きですね。


『地球最後の男』、『地球最後の男 オメガマン』と過去2度映画化された話ですが、
生憎なのか、幸いなのか両作とも未見のため、
地球上に一人残された男が何をするのかわからない状態で鑑賞。


一体、何が起こるのやら皆目見当がつかず、
かなりの緊迫感を持って見ることが出来た。


そして、何よりも良かったのがウィル・スミス演じる、
ロバートの心の機微。


最初は、自信と希望を持って生きているように見えるが、
物語を追うに連れ、それは虚像でしかなく、
絶望、孤独、怒り、哀しみ、怯え、戸惑い、恐怖、寂しさと、
人間が抱く様々な感情が様々な局面で露呈され、
そのどれもが心に突き刺さってきた。


愛するものを失っただけでなく、誰とも会話することの出来ない寂しさから、
ビデオ屋のマネキンに話し掛け、返答を求める姿は痛ましい。


我々が当たり前のように交わす「おはよう」という挨拶が、
とても大切に思えてくる。


彼がどのような感情を持って、日々暮らしているのかは、
彼の家に置かれたり、貼られたりしているものと照らし合わせると、
より一層汲み取ることが出来る。


こういったディテールへのこだわりも良い。


そして、全編ほとんど一人で様々な感情表現をしたウィル・スミスの演技力に脱帽。
代わりの役者がいない分、ウィルの説得力のある演技がなかったら、この作品は大失敗作になる。
作品の内容同様、担う部分の多い孤独な演技はさぞかし大変だったことでしょう。


あと、もうひとつの主役はNYだ。


ウィル・スミスがムスタングでNYの街を疾走するシーンがあり、
随分凄いセットを作ったんだなぁーと思いながら見ていたのですが、
鑑賞後、セットではなく実際にNYの街でロケしたと聞きたまげた。


NYの街を通行止めにして、建物や道に汚しを加えて撮影し、
その後、CGで遠方の背景を描いたという。


その規模は『バニラ・スカイ』の比ではない。
ますますスタッフのこだわりを感じるね。


#172『アイ・アム・レジェンド』


全体的に見て、アクションが物足りないと思う人もいるかもしれないけど、
人間ドラマとして見れば、とても優れた作品だと思う。
ド派手にしちゃって荒唐無稽になるよりは、
このぐらいの方がリアリティがあって良い。


シリーズもの以外で、これだけ大作感のある作品も久しぶりだし、
上映時間1時間40分という潔さもグッド!
ダラダラ長いよりもずっと良い!


アクション、スリラー、人間ドラマ、驚きのロケ、優れた主演俳優、
スケール感、丁度良い上映時間が上手くブレンドされた作品でした。


今年のお正月映画でもっともオススメする一本です。





『アイ・アム・レジェンド』
※フランシス・ローレンス インタビュー テキスト


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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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