2009年02月10日更新

#336 『フェイク シティ ある男のルール』

フェイクシティ

『フェイク シティ ある男のルール』

2/14よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて
配給会社:20世紀フォックス映画
(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX




キアヌ・リーブス主演のクライム・アクション。


正義のため自らのルールを貫き、時には違法行為さえも辞さないロス市警のベテラン刑事トム・ラドロー。


かつてコンビを組んでいたワシントンが、ラドローの違法捜査を内部調査部に密告。


そのことを知ったラドローは、焼きを入れるためワシントンを尾行するが、
ワシントンは入店したショッピングストアで、2人組の覆面強盗に蜂の巣にされる。


その場にいたラドローは、目の前で仲間を殺されたうえ、犯人を取り逃がし、
更にはラドローが撃った弾丸がワシントンの方に着弾していた。


苦情相談所に異動させられたラドローは、自らの手で犯人を追うが、
次第にラドローは孤立無援の窮地に立たされることになる・・・


注目ポイントは犯罪小説の巨匠ジェームズ・エルロイが脚本を手掛けている点。


ポイントだなんて言っておきながら、
ジェームズ・エルロイの小説は読んだことがないんだが、
彼が書いた小説の映画化作品はかなり見ている。


かなり見ていると言いながら、映画化されたのは、


『ザ・コップ』(血まみれの月)
『L.A.コンフィデンシャル』(同名小説)
『ブラック・ダリア』(同名小説)


だけなんだけどね。


なのであまり知ったようなことは書けないんだけど、
一応、『L.A.コンフィデンシャル』がワーナー配給だった時に宣伝担当だったので(注1)、
著書を読んでいないけど、ちょっとだけエルロイのバックグランドを調べたりした。


そして、改めて調べてみた。


ジェームズ・エルロイは、1948年、ロサンゼルス出身。
1954年に両親が離婚。
母親に引き取られるも10歳で母親を殺害され(事件は迷宮入り)、父親も17歳の時に喪っている。


高校時代はナチズムに傾倒し放校処分をくらい、
その後、軍隊に入るも耐えられず精神病を偽って除隊。


そして、アルコール、ドラッグ、窃盗と悪さ三昧の末、刑務所生活を経て、
30歳で作家デビューを果たしている。


著書には彼の体験が色濃く反映されており、ロサンゼルスが舞台の犯罪小説が多い。


オリジナル・ストーリーとなる『フェイク シティ ある男のルール』も、
先述の通り、舞台はロサンゼルスで、ロス市警内部の暗部を描いている。


そして、主人公ラズローが主に調査のために繰り出すのは、ロサンゼルスのストリート。
つまり、エルロイが暮らした街だ。
こういう裏付けがあると、映画で描かれている人々の暮らしがリアルなんだとより感じる。


リアルといえば、アクションも良い感じ。
それ程派手ではない。
でもそれが返って渋い。


フェイクシティ


冒頭、で犯人のアジトに単独で踏み込んだラドローが繰り広げる銃撃戦とか、
ストイックで良かった。


ただ、ミステリーの大枠部分は、それほどヒネリがなくて、
「ラドロー、気が付こうよ・・・」と思うことが何回かあったかな。


そうは言っても、ラドローが絶体絶命のピンチに陥った際、
どうやって窮地を脱するのか予測が出来ないスリリングなシーンもあった。


主演のキアヌ・リーブスは先の『地球が静止する日』とか、
ヌボーとした演技の方がはまるイメージだったんだけど、
信念を持って仕事をこなす一方で、
短気ですぐに激昂し、酒にもだらしないラドローを感情表現豊かに演じている。


前妻を亡くしている上、その死亡の理由が曰くありということで、
酒浸りの毎日なのに、きちんと看護師の彼女がいたりする。


フェイクシティ


それはそれで人間らしくて良いんだけど、
看護師さんはそんなラドローをどう思っているんだろうか?
と、余計な心配をしていまった。


それからラドローの上司を演じるのは、
『ラストキング・オブ・スコットランド』でオスカー受賞のフォレスト・ウィテカー。
貫禄の演技!というか、貫禄有り過ぎ。


フェイク・シティ


キアヌとフォレスト・ウィテカーの共演シーンとか、
ちょっとウキウキした。
特に最後の方。


昔は数多あったポリス・アクション。
現在は絶滅危惧種なので、単純に存在自体が嬉しい作品。




(注1)
『L.A.コンフィデンシャル』は、ワーナー配給で1997年秋に旧渋谷東急にて公開として、
ポスターやチラシも刷られ、普通にマスコミ用の試写も回っていた。
しかしながら、試写が回り始めて1ヶ月ぐらいで、
急遽、配給元が日本ヘラルド映画に変更し、1998年の7月1日に公開された。


何故、一度決まった配給元が変更になったのか、その真相は定かではないんだけど、、
高い評価を得ていて、アカデミー賞など多くの賞レースに絡む作品になりそうだったのに、
大した宣伝もせず、さっさと公開してしまおうとしたワーナーに対して、
製作側のリージェンシーが待ったをかけたからという理由を耳にした。


結局、リージェンシーの言うとおり、
『L.A.コンフィデンシャル』は多くの賞を受賞し、日本でも大きな話題となった。
ヘラルドの試写室も連日満員で、その対応に追われたという。
そして、興行面でも良い成績を残した。


一時でも本作の宣伝担当をした者としては、かなり複雑な心境に陥った思い出深い作品。


でも、作品のことを考えたら、この結果で良かったように思う。


因みに、ワーナーでの試写は、話題になる前だったのでガラガラ。
試写の立会いをしていても、来るお客さんは少なく、受付でドンヨリしていた。
それを見たワーナーの人に「お葬式みたい」と言われたことを今でも覚えている。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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