![]() 1/16より全国にて 配給会社:東映 (C)2010 映画「今度は愛妻家」製作委員会 |
かつては売れっ子カメラマンだった北見俊介は、
今は仕事もせず怠惰な生活を送っている。
妻さくらは世話好きで、
そんな俊介に文句を言いながらも何かと面倒を見ている。
しかし、不器用な俊介は、さくらに対して感謝の言葉も、優しい言葉も発しない。
ある日、さくらは箱根旅行へと出掛けて行くが、いつまで経って帰ってこない。
初めは独身生活を謳歌する俊介だったが、
次第にさくらのいない生活に苛立ちを覚え始める。
やがて何の前触れもなく突然さくらが帰宅するが、
「もう一人でも大丈夫ね?」と離婚を切り出し家を出て行ってしまう。
そして、さくらがいなくなって初めて、俊介はさくらの存在の大きさに気付くのだが・・・。
鑑賞後に知ったんだけど、2002年に初演された同名舞台を行定勲監督が映画化。
言われてみれば、物語の多くは北見夫妻の家の中で展開されるし、
そこでのカメラワークや役者の動きは舞台っぽい。
![今度は愛妻家](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/ITN_0944.jpg)
しかしながら、役者さんたちは全員舞台ではなく、映画の演技をしている。
ここが『曲がれ!スプーン』と違うところ。
この作品のポイントは、その役者さんたちの演技と、
ちょっと捻りを効かせた物語。
まず役者さんだが、
なんと言ってもさくら役の薬師丸ひろ子が良い。
さくらはちょっとすっトボケていて可愛らしい。
中年の女性なので、シナ作ったりすると嫌味なキャラになっちゃうんだけど、
その辺は薬師丸ひろ子持ち前の魅力で見せる。
薬師丸ひろ子以外の女優さんが演じたら、こうはならないだろう。
本当に薬師丸ひろ子は同世代の女優さんの中でも、
抜群の存在感と演技力を持っていると思う。
キャリア32年のベテランなのに、
本人は未だに「役者は向いていない」と言っているようだけど、
“生まれながらの女優”って感じがする。
![今度は愛妻家](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/kak_0902.jpg)
対する俊介役の豊川悦司も今まで有りそうでなかった役柄を好演している。
この二人が夫婦を演じているというのが、本作を見たいと思った理由の一つだ。
(2人は過去に『レイクサイド マーダーケース』で共演している)
![今度は愛妻家](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/KAK_1121.jpg)
他のキャストもなかなか魅力的。
北見の家に出入りするオカマの文太を演じた石橋蓮司は強烈過ぎる。
出て来た瞬間度肝を抜かれたぞ。
『パコと魔法の絵本』の國村隼といい、
ベテランおじ様俳優たちのオカマ姿は脳裏に焼き付く。
北見の助手を演じた濱田岳は毎度のキャラで良い。
例えマンネリと言われようが、
濱田岳にはこういった正義感は強いけど、弱ちい男を演じ続けて欲しい。
そして、今回大収穫だったのが、
女優志望で宣材写真の撮影を北見に依頼する蘭子を演じた水川あさみ。
演じている姿を初めてきちんと見たんだけど、
堂々と演技しているのが良いね。。
(映画『西遊記』にも出演しているようだが、まるで覚えておらん)。
でもって色ぺぇ。
ちょっと好きになっちまいました。
他にも井川遥、城田優らが出ているけど、
基本、この5名で物語が進行していく。
ということで、次なるポイント、物語なんですが、
最初に書いた以降のストーリーは、あえてここでは明記しません。
俊介はさくらがいなくなって、初めてその有りがた味が判る。
10年の結婚生活の間に、新鮮さはなくなり、
妻の労りを煩わしいと感じるようになる。
でもその当たり前の日常が、実は幸せであり感謝すべき瞬間だという本作のテーマは、
ありきたりちゃありきたりなんだけど、
本作の場合は物語の展開で、普遍的な題材を今までにない形で見せてくれる。
![今度は愛妻家](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/KAK_sb1.jpg)
鑑賞する前に、配給元の方(男性)から本作を見て号泣したと言われた。
伊藤Pは泣きはしなかったけど、その気持ちは判らんでもない。
なんにしても、この作品を見た男性の多くが、
奥さんや恋人に感謝し、優しく接するようになる気がする。
そんな効果がある作品。
でもまぁ、そんな効き目ももって3日ぐらいだろうけどさ。
男と女の関係には色々あるからね。
※テレビスポットでは、女性も号泣のようで。
夫婦や恋人と一緒に見るのが良いのかもしれない。