![]() 9/23より全国にて 配給会社:東宝 (C)2011映画「モテキ」製作委員会 |
金なし夢なし彼女なし。
31歳のダメ男・藤本幸世の前に現れた全くタイプの異なる4人の美女。
突然モテ期が訪れ、恋にエロスに人生に、煩悶・妄想・奔走する低恋愛偏差値男の姿を描く。
2008年〜2010年まで「イブニング」で連載された久保ミツロウのコミックと、
2010年にTX系列の深夜枠で放送されたドラマ版のその後を綴った完全オリジナルな劇場版。
今回、鑑賞した最大の目的は、美女の1人を演じた麻生久美子。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekimoriyamamirai%26asou.jpg)
もちろん、麻生さんはいつもと違う役柄で、
いつも通り美しく、いつも通り見事に演じていたんだが、
今回、そんな麻生さんを凌駕してしまう女優が現れた。
それは長澤まさみだ。
長澤まさみは、森山未來扮する藤本幸世の大本命となる松尾みゆきを演じているんだが
みゆきは、男を勘違いさせるような言動を繰り返し、幸世を大いに惑わせる。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekimoriyamamirai%26.jpg)
「彼氏がいる」というのに、ツイッターで知り合った男(幸世)と普通に待ち合わせて飲みに行く。
しかもスタイル抜群で超可愛くて、自分のことを「カッコイイ」って言ってくれる。
マニアック過ぎる男の話にちゃんと付いてきて、しかも会話を打ち返してくる。
ボディタッチをする。
更に、初対面なのに泥酔をし、
後から合流した友達が一緒とはいえ、いきなり幸世の家に上がり込む。
俺に気があるのか?
いや、彼氏いるって言っていたぞ。
でもなんか雰囲気的にヤレそうだなぁ。
いやいや、こんな可愛い子が俺なんかと・・・。
スキがありそうなんだけど、何を考えているのか良く分らない。
男慣れしているビッチな感じもするけど、純粋なのかもしれない。
そんな曖昧なみゆきに、幸世だけでなく、世間の多くの男性が惑わされるに違いないんだが、
みゆきが魅力的に見えるのは、長澤まさみの力に拠るところが大きいと思う。
下記は本作の資料に掲載されていた大根仁監督のコメント、
「長澤まさみちゃんは、東宝シンデレラ出身でずっと大切にされてきている分、
どこか閉じちゃっている印象があったんです。
実はめちゃくちゃ可愛いし、エロいし、たぶん面白い人だし、
ポテンシャルはあるのにもったいないとずっと思っていて。
今回はとびきりエロいまさみが観たいと(笑)。
まさみちゃんなら何をやらせても、単純なビッチにはならいというのが分っていたので、
思いっきりやってもらいました。」
あまりに的確すぎる内容に感動してしまった。
以前、『曲がれ!スプーン』の取材記で、今後の長澤まさみはどこに向かっていくのか?
というような“余計なお世話”的なことを書いたんだけど、
大根仁監督が、見事に彼女の“らしさ”を開花させてくれたのだ。
そう、エロいのだ。
今回の長澤まさみは爽やかにエロいのだ。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekimoriyamamirai%26nagasawa.jpg)
長澤まさみ自身も大根仁監督のリクエストに応じて、
恐らくその部分を多分に意識して演じたに違いない。
今まで、タブー的な感じだった胸の大きさとかも、遂に解禁。
更に大根仁監督はツボを押さえていて、
彼女のチャームポイントの一つである美脚を延々と映し出すシーンがある。
今までも脚が綺麗だということは分っていたが、
今回は前半にエロさを存分に見せられているから、
また違った眺めでして・・・(し、失礼!)。
でもそのシーンは、とてもとても重たいシーンなのですよ。
長澤まさみの脚からみゆきの感情が滲み出ているのが凄い。
好きな女(女優)を美しく撮る。
そういう映画監督、大好きです。
やはり役者を生かすも殺すも監督次第なんですね。
そして、大根仁監督は、長澤まさみ以外の女優さんたちの魅力も見事に引き出す。
「本来麻生さんが持っているアンバラスな魅力が出せればなと。」
この言葉だけでキャスティング能力の素晴らしさを感じてしまう。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekiasou.jpg)
また、出番は少ないが強烈なインパクトを残すのが、ガールズバーの店員役の仲里依紗。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekinakari.jpg)
女(女優)を美しく撮ることに執着するという点で、
大根仁監督は吉田恵輔監督と共通するところがあるなぁーと思っていたら、
「『純喫茶磯辺』を観た時にものすごく良くて。」というコメントが・・・。
幸世に対して愛のムチを振り下ろしまくる職場の先輩・唐木素子を演じたのは真木よう子。
大根仁監督は、「週刊真木よう子」で既に仕事を一緒にしていて、
「知っている人がいると安心するから」という理由で声をかけた模様。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekimaki.jpg)
4人の美女の中で、素子は間違いなく一番キツイし、
下ネタも連発する。
真木よう子から、そのような言葉が発せられるのは、やはり新鮮だし、
真木よう子も「週刊真木よう子」で培った大根仁監督への信頼感があってこそ、
役を引き受けたのかもしれない。
でも真木よう子は、
「準備稿を読んだ時に、あまりにも下ネタや暴言がひどくて、
ちょっとこれはやめてくださいと言いました(笑)」と述べている。
よっぽど酷いセリフがあったんだろうけど、
そういうセリフをぶつけられるのも、やはり信頼関係があるからなのでしょう。
そして、この長澤まさみ、麻生久美子、仲里依紗、真木よう子という超豪華な女優陣と1人対峙するのが森山未來。
![モテキ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/motekimoriyamamirai.jpg)
幸世は、草食系というか、自分の殻に閉じこもったちょっと卑屈なダメ男であり、
シニカルなところがある。
一歩間違えると嫌味な野郎になってしまうんだが、
森山未來の手にかかると、共感出来てしまうキャラクターになる。
幸世ほどではないが、学生の頃イケてなかった部類に入る輩としては、
超シンパシーを感じまくった。
特に物語の前半の幸世とみゆきの駆け引きは絶妙だったし、
幸世の心の叫びと軟弱な行動には、大いに笑わせてもらった。
(でも、あのシチュエーションなら絶対にヤルだろう!!)
また、ダンスの達人である森山未來ならではのシーンもある。
劇中、Purfumeが出てきて、「Baby cruising Love」をバックに一緒に踊りながら歌ったり、
幸世の部屋でのみゆきとのやり取りの中で、サラリと身軽さを見せたりする。
あと、幸世の上司を演じたリリー・フランキーがいい味出していた。
役者も良いし、世界観も面白い。
前半と後半のカラーがまるで違うんだけど、
その流れもスムーズ。
劇中にガシガシ流れるJ-POPの使い方も効果的。
「恋愛は人を成長させるのか?」というテーマの扱いも、
通り一辺倒じゃなくて、共感出来ました。
こういうノリの映画って内輪ウケで終ってしまうことがあるけど、
ちゃんと外に向けて作られていて良かったです。
実はマンガやドラマの分野に疎くって、その存在すら知らないまま鑑賞しました。
(マジで鑑賞後に漫画とドラマの存在を知った)
知らないで見ても、全く問題がなく楽しむことが出来ました。
快作です。