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「映画の力」

#132



  今回は真面目に。実際にあった出来事を題材にした映画をご紹介しましょう。


■「ありがとう」

  1995年1月17日に発生した阪神淡路大震災。実際に被災し、家も財産も無くした古市忠夫氏が、復興に奔放し、やがて還暦を目の前にしてプロゴルファーを目指すというお話。


  特に地震発生から、避難、救助活動、復興に至るまでを描いた前半から中盤にかけては、色々と考えさせられる内容。


  今から11年前の地震発生当時、伊藤Pはぐうたら大学生。昼前に起きて、テレビを点けたら神戸の街が燃えていた。その時は、まだ若かったし、人生経験もショボかったので(まぁ、今でもショボイけどさ)、被災した方には申し訳ないけど、日本での出来事にも関わらず、遠いことのような感覚だった。


  「ありがとう」の前半部分は、そんなアホ大学生の頃の記憶を粉砕するほど、恐ろしく、そして、悲しかった。

  当時のニュース映像もインサートされるのですが、11年前に生で見ているはずなのに、今更ながらに強烈なインパクト。 “自分だったらどうしよう”という気持ちが湧き上がる。


  そして、主人公の古市さんなのですが、メチャ明るい。奥さんとのやり取りとか夫婦漫才。そんな陽気さが、映画のトーンを和らげ、復興した神戸の街を輝かす。震災の恐怖を描きつつ、とても“前向きな映画”でした。


  ただ、知合いの友人が実際に被災しており、1ヶ月ぐらい風呂に入れず、外は極寒で凍死する危険性もあったと。思い出したくないからこの映画は見たくないと。


  「ありがとう」は阪神淡路大震災を風化させないという製作意図がある反面、拒否反応を示す方もいらっしゃる。当事者にしか判らない様々な感情があるんだなぁーと。

  だから、実際に起きた出来事の映画化って、とても難しいんだと思う。



■「めぐみ 引き裂かれた家族の30年」

  こちらは北朝鮮による拉致事件を題材にしたドキュメンタリー映画。タイトルから判る通り、1977年11月に連れ去れ、未だ帰国を果たしていない横田めぐみさんをメインに、拉致された当時の情況や、被害者の家族たちの長い、長い、戦いが描かれている。



  監督は日本人ではなくアメリカ人のクリス・ジェリダンとパティ・キム。ふたりは2002年の第1回日朝首脳会談の記事を見て拉致事件を知る。被害者の中に、当時13歳の少女がいたことに衝撃を受け、もっとこの事件を世界の人たちに知って欲しい、という思いから製作に取り掛かる。

  あくまで拉致事件を知らない人向けに作られているので、映画に登場する事実は、ニュースを見ていた日本人にはさほど目新しいものはない。

  しかしながら、今でこそ拉致事件として当たり前のように認識しているこの出来事が、拉致事件として、世間からの関心を集めたのはたったの9年前だという、「えっ?そうだったっけ」という事実を知ることも出来る。


  横田めぐみさんほか、1970年代後半〜1980年代にかけて続出した失踪事件。結局、1997年2月に産経新聞が北朝鮮による拉致報道をするまで、“拉致”は表沙汰になっていないし、世間の関心を引く事は無かった。横田めぐみさんが失踪してから20年後(!)ですよ。 その間の家族の心境を思うと言葉が無い。


  そして、横田滋さん、早紀江さんほか、被害者家族の方々のコメントや活動を見聞した上で、あの、2002年10月15日のニュース映像を見ると涙が止まらない。そして、横田さんのご両親の気持ちを察するに。。。


  北朝鮮が行った卑劣な犯罪行為によって、人生を狂わされた人々。本作を見ると改めて様々な思いが去来します。実際にあった事件や事故、災害を題材にした映画は、その出来事を世に知らしめたり、忘れかけた記憶や、その当時には無かった感情を呼び起こしてくれたりする。


  これは映画の力のひとつだと思う。


  では、果たして観客はそこから何を得て、どんな行動を起こすのか?


  同じようにアメリカが行っている捕虜(実際には捕虜じゃない人もいるんだけど)に対する卑劣な虐待を世に訴えた、「グアンタナモ、僕達が見た真実」(2007年1月公開)を手掛けたマイケル・ウィンターボトムはこう述べる。

   「映画が観客に特別な影響を及ぼし、それが大きな流れになることを期待するのは間違っている。
   本質的に映画は、そういう大きな力は無く、映画の中の登場人物の持つインパクトに、
   観客たちは関心をよせるのだと思う。」


 知らないよりも、知っていた方が良い。



  ※「ありがとう」主演:赤井英和&田中好子
    インタビューはこちら(→)
    インタビューア&原稿は伊藤Pよん。

 


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