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おしい映画 PART1

#014



 まず、最初にお断りとして、今回取り上げる作品は決してつまらないという訳ではありません。どちらかと言えば好きです。熱くもなりました。「裏部屋」ではなく「普通部屋」での掲載でも何ら問題ありません。

  しかしながら、「普通部屋」は更新日が決まっており、取り上げる作品数に限界があるのと、もう1つの理由で、今回、「裏部屋」にて取り上げさせて頂きます。



  世界一怖いゲームと言わしめるホラーゲーム「サイレントヒル」が実写映画化された。

  「サイレントヒル」という意味不明の言葉を発しては、意識を失う少女シャロン。母のローズは“サイレントヒル”というゴーストタウンの存在を知り、シャロンと一緒に真相解明のため、車で“サイレントヒル”へと向かう。しかし、“サイレントヒル”の入口で、ローズは事故を起こして気絶してしまう。


  やがて、目を覚ますが、そこにシャロンの姿は無かった。。。そして、シャロンを探すため、白い灰に覆われた“サイレントヒル”に足を踏み入れたローズは、恐ろしいクリーチャーたちに遭遇する。。。



  最初の30分間、かなり秀逸。

  次の30時間、グロキチョ。けど怖くない。

  次の30分間、あれれれれれ????なんか世界観が。。。崩壊。。。

  次の30分間、「ダリオ・アルジェント&初期ブライアン・デ・パルマ

  最後の5分、はぁ〜?



  マジで最初の30分ぐらいは、“今年のホラー映画でナンバー1かも!?”という期待が膨らむ素晴らしい世界観と恐怖!しかし、結局、見終わって残ったものは “激しい残尿感”。


  色んなところが細かく引っかかっていて、すっきりしないんだよねぇ〜。


  ということで、不完全燃焼のまま劇場を後にしたのですが、番組のディレクターさんから「サイレントヒル」に関するある説を聞き、この映画の印象が180度変った。

  この映画、普通に見ていたら判らないのですが、重要な分岐点があります。

  この分岐点を理解した瞬間、映画全体に散りばめられていた“引っかかり”が無くなりました。(とは言っても他力本願ですが。。。)



  いやー、この映画凄いですよ。奥が深い。


  この映画はですね、ゲームの映画化ということですが、映画自体がゲームになっているんですよ。ゲームをクリア出来ないと、いや〜な気分を引きずったまま劇場を後にすることとなります。多くのゲームが映画化されていますが、映画自体がゲームとは!!


  この手のゲームって、様々な人に出会って情報を得たり、アイテムをゲットしたりして、進めていきますよね?


  映画も同様なんです。



  だから、ローズが“サイレントヒル”で出会う人々のセリフはかなり重要です。意味不明なセリフがたくさん出てきますが、1つも聞き逃してはなりませぬ。

  また、この映画には4つの“サイレントヒル”が出てくるのですが、それぞれがどういう意味合いなのかを考えましょう。

  話の流れと人間関係、そしてとある人物(?)の思惑等を考えると、闇雲にローズを襲っているように見えるモンスターの存在と行動にも意味が見出せる。




  他にもたくさんたくさん“謎”が散りばめられています。その謎はさっき言った分岐を見極めれば、鑑賞後に全ての辻褄が合い、おしっこ全部出せます。



  そして、ある日、襟川クロさんに「サイレントヒル」の感想を聞いてみると、クロさん、完全には理解をしていませんでした。

  そこで、番組のディレクターさんのお告げにより、放尿フルスロットルと化した伊藤Pはクロさんに解説してあげました。



  ところが、当のクロさんは、「別にいいよぉ〜、あたしゃ〜、んなこたぁ〜」という釣れない返答。



  そう、そうなんです。この映画はここが“おしい映画”なのです!これが「裏部屋」行きと化した最大の理由なのです。

  “はっきり言って、理解できなくても別に良いや”という気持ちになってしまう映画なのです。

  監督のクリストフ・ガンズは劇中、様々な“謎”や“問い掛け”を観客に提示しているのですが、それが残尿感を引き起こすだけの単なる“引っかかり”になってしまい、ほとんど機能していないのです。



  恐らく、ガンズ監督はデビッド・リンチの「マルホランド・ドライブ」や、フランソワ・オゾンの「スイミング・プール」的なアプローチを狙ったと思うんですね。

  「マルホランド・ドライブ」は多くの人が理解不能。しかし、デビッド・リンチの世界を理解しようと躍起になった。

  伊藤PはDVDで見たのですが、最初に見たときに「???」でした。しかしながら、どーしてもリンチから出された試練を乗り越えたく、すぐに見直した。それでも、全部を理解する事が出来ず敗北宣言。インターネットで、他の方の解釈を読んでから、もう一度見て納得した。そして、スゲー映画だと思った。

  伊藤Pは同じ映画を一日で3回も見たのは、後にも先にも「マルホランド・ドライブ」だけです。しかもこの映画約2時間半もあります。7時間半も費やしましたよ。それでも損した気分にはならなかった。



  そして、「スイミング・プール」も然り。これは試写で同僚2人と見たのですが、鑑賞後、もうお互いの解釈をぶつけまくり。


  「あれはこうだったんじゃない?」
  「いや、それだと辻褄あわなくない?」
  「あぁ〜そっかぁ〜」
  って、語り合った。

※結局、この映画の解釈も人聞いて納得した。。。←絶対に映画評論家にはなれんな。。。



  で、「サイレントヒル」はこの域にまで達しきれていないのです。

  人に教えられるまで、「マルホ」や「プール」のような映画だということ自体に気付かないのです。そして、気付いたとしても「別にいいやぁ〜」って。。。

  そりゃそうですよね。当人にとっては“謎”が“謎”ではないんですから。


  「サイレントヒル」の最大の失敗点ってここにあると思う。


  おしい映画だ。



PS:最後に、映画を見た人で、理解できなかった人にちょっとヒント。
   <リンボ>という言葉を調べて見て下さい。



  サイレントヒル
  配給:松竹
  丸の内ピカデリー2ほか全国松竹・東急系にて公開中
  PG-12
  http://www.silenthill.jp/main.html


  スイミング・プール
  http://www.gaga.ne.jp/swimmingpool/
  カミングスーンTVにて放送!
  ・7月17日(月・祝)10:00〜
  ・7月21日(金)13:30〜
  ・7月27日(木)13:30〜

更新日:2006/07/08
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