まず、最初にお断りとして、今回取り上げる作品は決してつまらないという訳ではありません。「裏部屋」ではなく「普通部屋」での掲載でも何ら問題ありません。
しかしながら、「普通部屋」は更新日が決まっており、取り上げる作品数に限界があるのと、もう1つの理由で、今回、「裏部屋」にて取り上げさせて頂きます。
最近、コミックの映画化がやたら流行っています。そんな中、他の作品群とはやや毛色が違うのが「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」。
腕白少年・花田一路はある日トラックと衝突し、意識を失う。急死に一生を得るが、以来、一路は幽霊が見えるようになってしまう。。。
と、まるでホラーな話のようですが、どちらかと言えば人情ファンタジー。
一路と両親の関係、一路の友達である壮太との友情、壮太と亡父の絆、壮太の母の葛藤、幽霊の聖子とその父の秘密などが描かれているのですが、これがねぇー。。。
ちょーーーーーーーーーーーーーー良い話なんですよ!
3回ぐらい泣いたかな。
特に壮太と亡父のエピソードは、号泣級。
家族、親子。良くあるテーマなんだけど、それを明るく前向きに描き、感動を呼ぶ。
と、大絶賛なのに何故裏部屋!?
話は良いんですよ。話は。
でもね、映像が。。。
冒頭の一路が空を飛ぶシーンとかCGがあまりにもチープで、イチイチ気になる。まぁ、ファンタジーですからって割り切って見ていたのですが、絶望的な気分になったのが、漁師だった一路の父(西村雅彦)と壮太の父(杉本哲太)が船で遭難するシーン。
いくら予算がないにしても、この演出はないんじゃないの?いかにもプール、いかにも模型で、全く緊張感ないし。物語において、このエピソードはとても重要なんだから、金が無いなりにもう少し工夫して欲しかったな。
なんかせっかく良いシーンに成り得るのに、興醒め。。。って。
物語は凄く良いのに、映像が白けさせる。本当におしい作品だと思った。
ついでに言うと、もう24歳なのに未だにセーラー服を着せられる安藤希って。。。
そして、もう一本。ご存知「日本沈没」。
監督が日本の特撮の第一人者である樋口真嗣(平成「ガメラ」シリーズ、「ローレライ」)ということで、CGは今の日本映画における最高の技術を用いているのでしょう。ハリウッド映画には適いませんが、「日本の特撮技術もここまできたかぁ〜」と感慨に耽ることが出来ます。
しかし、お、お話が。。。
まぁ、最初からその辺はあまり期待してはいなかったのですけどね。
だから、潜水艦パイロットの草?剛とレスキュー隊の柴崎コウ(というまるで新鮮味の無い2人)の恋愛部分や、科学者である豊川悦司らが日本沈没を阻止するために努力する部分、そして、大臣である大地真央たちが、国、国民をどうにかしようと奔走する部分とか、ヌルサもあるけど、まだ許容範囲だった。
いかんのは、吉田日出子、六平直政、大倉孝二と子役の福田麻由子らが崖崩れやらで、山道で隔離遭難してしまうところ。
過酷で、不安で、お腹が空いて、喉が渇いて、怖くて、絶望的な訳ですよ。なのに、何故それを描かない?
そして、それを助けに行くレスキュー隊の柴崎コウ。大切な人たちを助けに行く訳だが、何故、その現場に辿り着くまでの困難を描かない?
極限状態に置かれた人間たちの苦境や、愛すべき人たちを助けるために、数々の逆境を乗り越えてそこに向かう姿を描かないで、いきなり<ヘリコプターで登場 ⇒ 助かりました!>って。。。
ここクライマックスじゃないの?
映画的な興奮はそこに無い。
“日本映画としては”という枕言葉は付いてしまうけど、日本のCG技術の向上を楽しむという意味では、とても良いと思う。
だけど、CGを見せるためのドラマになってしまった感がある。
映像は良いのに、物語が白けさせる。おしい映画。
そして、「花田少年史」のドラマ性と「日本沈没」のCG技術。これが合体したら良いのになぁって。
■「花田少年史 幽霊と秘密のトンネル」
配給:松竹
8/19より東劇ほか全国にて
■「日本沈没」
配給:東宝
7/15より有楽座ほか全国東宝系にて
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