2006年07月26日更新

裏#016 『ニライカナイからの手紙』

注意:思いっきりネタバレです。「ニライカナイからの手紙」を見て、感動した方は読まない方が良いかも。。。


「ニライカナイからの手紙」。


主演は蒼井優 ⇒ 結構好き
舞台は沖縄  ⇒ かなり好き
しかも竹富島 ⇒ 去年、行った


この映画に惹かれない訳が無い。


で、やっと見たんですけど。。。


なんっすか、これ?


映画の登場人物が取る行動に対して、感情移入出来ないとか、共感できないとかはたくさんある。
しかしながら、これほど「???」が出ることはあまりないってぐらい理解不能だった。


ストーリーですが、要点かいつまんで最後までいっちゃいます。


竹富島に住む風希(蒼井優)。6歳の時に母親(南果歩)は彼女を残して島を去る。
オジイに育てられた風希は、毎年誕生日に届く母からの手紙をそりゃーもう楽しみに生きていました。


手紙には風希を励ます言葉が綴れており、細かい住所や母親の近況は何も明記されていない。


そして、14歳の誕生日。手紙には、風希が20歳になったらすべての事情を説明すると記してある。


一体、母は何をしているのだろうか?
どうやって暮らしているのだろうか?


会いたい。


ということで、高校を卒業した風希は、カメラマンを志すとともに、母親を探すため東京へ。
しかし、母の足取りは掴めないし、仕事も上手く行かない。


そして、19歳。手紙には、20歳の誕生日に井の頭公園の弁天橋で会いましょうと明記されていた。
カメラマンとして頑張っている姿を母に見せたいがために、やる気を見せ始める風希。


そして、20歳の誕生日。井の頭公園に向かった風希。


なんと弁天橋のベンチで待っていたのはオジイだった。。。


混乱した風希は、母からの手紙の消印を頼りに、郵便局へ向かう。
そこで、郵便局員の前田吟から毎年手紙を投函して欲しいとオジイから頼まれていた事を知る。


竹富島へ舞い戻り、家へ帰った風希は、母親の遺影が置かれているのを目にし、泣き崩れる。


そして、村の人たちが風希の元にやってきて弔いの言葉を投げかける。
そうこうしているとオジイが東京から戻ってきて、20歳の誕生日の手紙を風希に手渡す。


遂に、真実が明らかになった。


母は病気であり、余命幾ばくも無く、20歳までの風希に宛てた手紙を書き、
それを毎年、毎年風希に届くように手配していた。


なんじゃぁ〜!そりゃぁ〜!!!!


南果歩が演じた母親。あんた酷くないか!?
オジイも酷くない!?
島の人たちも知ってたの?
酷くない!?


母親が去った理由も知らず、健気に頑張り、母親と再会することを楽しみに生きてきた少女に対して、「実は死んでるんだよぉ〜」って皆、知っていながら内緒にしているって。。。


なんか「ローズマリーの赤ちゃん」に近いような集団心理の恐怖を感じた。
知らないのはあなただけよぉ〜って。。。


8歳当時だったら未だしも、中学生や高校生になっても真実を伝えない大人たちの行動は、
伊藤Pは間違っていると思う。


キチンと真実を伝えて、親の死を理解させた上で、風希が生きてきた方が絶対に良いと思う。


世の中には若くして親を亡くしている子供たちたくさんいる。
伊藤Pの友達にもいる。
みんなその現実を受け止めて生きているんだよ。


もしもだよ、もしも、前田吟もオジイも風希が20歳になる前に死んでしまっていたらどうすんの?
誰かに託す事も出来ないまま、事故死していたらどうするの?


風希は一生、事実を知らされないまま、生きていく可能性だってあるわけでしょ?


それを自分がしたいからってことで、こういうややこしいことをする母親は、ちっとも優しくないよ。


父親も既に他界しているからか?
父親の死は受け止められても、母親の死は受け入れられないって?


母親が死んだという事実を風希に教えたうえで、
20歳までの風希に宛てた母からの手紙が毎年届き、
それを楽しみに生きているっていう設定なら納得もいくさ。


昔、マイケル・キートン、ニコール・キッドマンで「マイ・ライフ」っていうのがあった。


ガンを宣告された父親が、産まれてくる子供のために自分の姿をビデオに残す。
髭の剃り方とかを一生懸命教えようと、カメラの前に立って実演する父親の姿は涙無くして見られなかった。


この生まれて来た子供は、死が理解できる年になった時、
きっと父親に対して感謝の念を持つと思うよ。


そして、嬉しいって思うと思う。これが親としての優しさではないでしょうか?


「ニライカナイの手紙」は冒頭の記述のように、伊藤Pを惹き付ける要素がたくさん入っている映画だ。
沖縄が舞台ってことだけでも、かなり贔屓目に見てしまう。


他にも、音楽を担当された中西長谷雄さんには、かつて番組に2回も出演して頂いたし、
劇中、重要な場所として登場する井の頭公園は伊藤Pの地元だ。


こんだけ、接点があるわけで。。。


クレーを使ったカメラが全く機能していないし、はっきり言って下手だったりとか、
竹富島の風景が全然魅力的に撮られていないとか、


慣れない東京での新生活で見せる風希の腐った態度は怒られて当然だとか、
最初つっけんどんだった東京の女スタッフと急に仲良しになっているとか、


技術的な面や、説明不足の点とかスルー出来たんだけど、


最後の最後に。。。


伊藤Pが風希だったら爆裂キレルね。
「テメーラ、なんで教えねーんだよっ!!!」って。


あとさー、郵便局ってこういう毎年1年ごとに手紙を出してくれるサービスって受付けてるのかな?
12年だよ、12年。長い契約だよね?


オジイが郵便局員だから出来たことなの?
それって役得ってやつ?
その辺りもイマイチ釈然としないんだよねぇ。。。


前田吟がオジイの依頼を受けた理由もなんか「チンケ」なセリフだし。。。


みんな泣いた泣いたって言っていたし、こんな感想なもんだから、
他の方々の意見はどうなのか?と思い、ネットでポロポロ調べるも、
ほとんど「泣いた」というコメント。


泣かないならまだしも、理解不能って、伊藤Pがおかしいのかな?


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販売元:ポニーキャニオン
4,179円(税込)
http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id321928/

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コメント (1)

もとちゃん:

「ニライカナイからの手紙」
はじめてです。映画見た後でたまたま見つけました。気に障れば削除下さい。
内容は解るのに理解出来ない。少しおかしいと考えられます。ごめんなさい。
嫌みなど一切のその気は無いですので。日本映画にしては良く描いてあると
感じます。島の文化や気質、信仰、まさに東京という、日本の中心での、
人の気質。映画だから描ける解りやすい、心に響かせる映画だと思いました。
父から継いだフィルムのカメラ。カジュマルの木の下で母からの手紙を開く。
義理のおじいとおばあ。少女が大人に成長するまでの、そーっとした、しかし
とても、とても大きな気遣いで少女は清純な大人として又この島に生きる。
与えられたものを、また次に大きく生かす。芽となり、花や木の根ともなります。良いお話の映画ですよね。優ちゃんのはっきり美人では無い綺麗さが、
特にぴったり合っていたようにも感じました。又何度か観て頂いて、不能ではない。ご理解をどうぞよろしくお願い致します。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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