2008年03月12日更新

#195 フランス映画祭2008 上映作品

3月13日(木)からフランス映画祭2008が開催されます。


<日程>
■東京 TOHOシネマズ 六本木ヒルズ:3月13日(木)−16日(日)
■大阪 TOHOシネマズ なんば:3月16日(日)−3月18日(火)


今回、監督&出演作品を引っさげて団長として来日するソフィー・マルソー、
セザール賞の11部門にノミネートされた『秘密』に出演しているリュディヴィー
ヌ・サニエという新旧2大美人フランス女優へのインタビューが出来ることになり、
普段はあまり見ないフランス映画を3本ほど見ました。


■『ドーヴィルに消えた女』
ドーヴィルに消えた女


ソフィー・マルソー監督作品。
あるホテルで起きた失踪事件を追う刑事の前に現れた謎の美女。
その女は30年前に事故死した女優にそっくりだった。
やがて刑事はホテル、失踪事件、謎の女の繋がりを見出すが・・・

不条理、ちょいグロ、気味の悪さ、気狂い、奇妙な登場人物、不条理、官能と、
ソフィー・マルソーのかつてのパートナー、アンジェイ・ズラウスキー監督の作風
を多分に感じさせるクライム・サスペンス。


謎や事件自体にあまり求心力がなく、刑事の行動も意味不明で、あまり感情移入
も出来ず、少々、鑑賞するには体力の要る作品だが、
屋上の追駆けっこ、カーチェイス、ショピングモールでの追跡劇など、“動”の部分もあり、
“へっー、ソフィー・マルソーがこんな演出するんだぁー”と、少し驚かされた。


ハッとするようなカメラワークやアングルも随所にあった。


また、撮影当時39歳だったソフィーですが、やはり美しいし、
もうちょっと若い頃と思われる写真なども小道具として出てきて、
更に美しく、それも嬉しかったりして。




■『暗闇の女たち』
暗闇の女たち


かなりの拾いものだった。
ソフィー・マルソー演じるルイーズをメインに、
ナチスに対してレジスタンス活動に身を投じる5人の女性たちを、
スリリングに、そして、感傷的に描いている。


最初は反目し合うが、次第に絆が深まっていく女性レジスタンスたち。
例え、生き延びたとしても、仲間たちの犠牲の上に生き続けなければならない。


戦争というどうしようもない渦に巻き込まれ、
囚われた仲間たちへの思いと、任務との狭間に揺れる彼女たち心中や如何に・・・


特にルーイズがアツイ。
普段は冷徹に思えるほど、冷静に任務を遂行するが、
心の中に無理やり押し込めている感情がある。
この感情を知ったとき、胸に熱いものが込み上げてきた。


最近は女性同士の戦いで、ゾクッとすることが多かったけど、
久しぶりに女性の友情モノで感動した。


女優陣たはバンバン脱ぐし、顔面傷メイクもいとわない。
拷問の恐怖からションベンを垂らすシーンもある。


日本の多くの女優たちが“綺麗に見える”ことに拘っているけど、
そんな演技よりも、綺麗だけどブチャイクにもなれる方が、本当の女優だと思う。
女優の本気度が上れば上るほど、心に強く響いてくるものがあると改めて痛感した。


それなりにスケール感もあるし、社会派としても、人間ドラマとしても、見ごたえ十分な作品。
しかもこれ、実話ベース。




■『秘密』
秘密


これも『暗闇の女たち』と同様、戦争によってもたらされた悲劇を描いているが、
見え方は大分違う。

妻子がいるのに、他の女に惹かれてしまうという男の話がメイン。
そんな話は良くある話だが、そこに戦争が加味されることによって、
個人ではどうすることも出来ない、自体へと発展していく。

あまり語るとネタバレになってしまうのですが、
セザール賞に11部門もノミネートされただけあって、奥深い作品になっている。


セシル・ドゥ・フランス、リュディヴィーヌ・サニエ、ジュリー・ドパルデューといった、
フランスを代表する女優たちの共演も見所の一つ。


セイル・ドゥ・フランスはエロ気を発散しまくっているし(水着姿よりも、普段着の方がエロい)、
サニエは、移り行く女の感情を繊細な演技で表現している。
そして、『暗闇の女たち』でも良い味出していて、
本作でセザール賞の助演女優賞を受賞したジュリー・ドパルデューは流石の存在感。




今回、フランス映画を3本見て感じたのが、オリジナリティとバラエティの豊かさ。
ネタが枯渇したといわれているハリウッドや、漫画やベストセラー、ドラマの映
画化に安易に走る日本映画とは、大分違うように思う。


『裏切りの闇で眠れ』を見た時も感じたのですが、
作品性といい、俳優陣の厚みといい、
フランス映画業界が世界で一番充実しているのでは!?


上記、3作品はまだ日本の配給が決まっていませんので、
フランス映画祭で是非、見て下さい。
(上映スケジュールはフランス映画祭2008公式サイトでご確認下さい)






フランス映画祭2008
※ソフィー・マルソー インタビュー テキスト
※リュディヴィーヌ・サニエ インタビュー テキスト
フランス映画祭2008 ソフィー・マルソー取材記

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.t-shirt-ya.com/blog/cgi/mt-tb.cgi/863

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




リンク

プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
Powered by
Movable Type