2008年05月08日更新

#218 『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』

黒澤明作品リメイク・ブームの最後(?)を飾る『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』。




隠し砦の三悪人
『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』
5/10より日劇2ほか全国にて
配給会社:東宝
(C)2008『隠し砦の三悪人』製作委員会




オリジナルは遥か彼方の昔に見たので、ほとんど覚えておらん。
それが功を奏したか、森田芳光版『椿三十郎』の時と比べると、
リメイクだという意識をあまり持つことなく見ることが出来た。


特技監督出身だし、『ローレライ』、『日本沈没』で全く人間を描けてないってのもあり、
樋口真嗣監督はビジュアル主体というイメージがある。


だから今回も人間ドラマの部分は初めから期待せずに、
単純明快な痛快冒険活劇を楽しむことを目的に鑑賞。


で、感想ですが、ドラマ部分で感情に訴えることはやはり皆無だったけど、
普通に面白かったですよ。
“2時間楽しんで欲しい”という製作者側の思いは伝わってきた。


そして、何よりも役者たちの苦労が滲み出ている。


セリフが発せられる度に吐かれる息は白い。
なのに身に着けている衣装は露出が多い。


“こりゃ、相当寒かっただろうなぁー”って。
実際に「死ぬかと思った」って長澤まさみが言うほどの極寒だったらしい。


寒いだけじゃない。
長澤まさみをはじめ、松本潤や宮川大輔も、
走りまくって、転げ落ちて、リアカー引いてひたすら歩いて、
馬乗って、踊って、殺陣やって、暴れてって、やること一杯。


汚しのメイクも長時間な感じ。


役者は大変ですなぁ〜。
ご苦労様です。


と、優しい目で見つつも、やはり気になる長澤まさみのセリフ回し。
キメのセリフがどうも締まらない。
怒鳴ろうが、泣こうがどれも違和感があって、ガツンと響いてこない。
ビジュアル的には“女優”って感じで問題ないんだけどね。残念さ。


キャストの中で抜きん出ているのは、やはり阿部寛でしょう。
凄い役者さんだと思うんだよね。
普通の人、変人、浪人、役人なんでもはまっちゃう。
存在感、安定感抜群。
多くの監督が出演をオファーする理由がわかるような気がする。


あと、椎名桔平も悪役を貫禄タップリに、楽しみにながら演じている。
こういう役は、やり過ぎたりすると完全にすべって、
作品全体を壊す可能性があるので、とても難しい役だと思う。


あと、“「三悪人」って誰のこと?”って思いながら見ていたんだけど、
結局わからなかった。


で、資料を読んだら樋口監督もよくわからないんだってさ。
良いのかな・・・そんなんで・・・。


まぁ、穿った見方をする人や黒澤信者からすると、
文句がボンボン出てきそうな作品だ。


でも若い人にも時代劇を楽しんでもらえる良い機会を作った作品だと思うし、
とにかく楽しんで!という過剰なサービス精神は良いことだと思う。
映画は娯楽なわけだから。


いろいろぶち込んでいるけど、破綻はしていないしね。


同じ精神で作った(はずの)『少林少女』に比べたら、数段良いですよ。
って、比べるのも失礼か。






『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』
長澤まさみ インタビュー 動画テキスト

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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