2008年08月01日更新

#258 『ダークナイト』

全米でメガヒットを記録している『ダークナイト』。
その大ヒットも納得の出来。




『ダークナイト』
『ダークナイト』
8/9より丸の内プラゼールほか全国にて
配給会社:ワーナー・ブラザース映画




『バットマン ビギンズ』は、
ブルース・ウェインがバットマンになる過程を描いていた。


続く『ダークナイト』は、
成熟期に至ったバットマンがもたらす社会的な負の影響と、
宿敵ジョーカーを迎え撃つブルース・ウェインの苦悩と葛藤を描いている。


『スパイダーマン2』でも、主人公は自己と自我との狭間に揺れる。
『スーパーマン』だってそうだ。
これは多くのアメコミヒーローに共通する。


で、『ダークナイト』は、人間の二面性、表裏一体といった部分にまで踏み込んでいる


バットマン(ブルース・ウェイン)のヒーロー像と悪魔的な素質。
ゴッサム・シティーの希望の星となるハービー・デントのコイントスとその行く末。


ジョーカーが名刺代わりに使用するカード。
そのジョーカーによって善意と悪意の均衡を試されるゴッサムの市民。


ブルースとハービー・デントとの間で揺れ動くレイチェル・ドーズの女心。


『マトリックス』のネオとエージェント・スミスがそうであった様に、
敵対しているのにも関わらず、磁石のように互いが反発しながらも、
引き寄せ合うバットマンとジョーカー。


登場人物の心理描写と様々な象徴的アイテムが、
『ダークナイト』のテーマ性を浮き彫りにしている。


人間ドラマだけでなく、アクションもかなり充実している。
『バットマン ビギンズ』では、
なんとなくアクションの演出に手馴れていない感のあったクリストファー・ノーラン監督。


しかし、今回のアクション・シーンは冴えていた。
特に夜のゴッサムで繰り広げられるカーチェイス・シーンは秀逸だった。


このチェイス・シーンで、バットマンは道を塞ぐ路駐の車を破壊する
追跡のためとはいえ、何の罪も無い一般人の車を破壊するバットマン。
こういうシーンにもバットマンの悪魔的な部分が垣間見られる。


ダークナイト


続いてキャスト。
前作から引き続き出演しているクリスチャン・ベール、
マイケル・ケイン、モーガン・フリーマン、ゲイリー・オールドマンだけでも凄いのに
ヒース・レジャー、アーロン・エッカート、
マギー・ギレンホールといった実力派俳優がこぞって出演。
(エリック・ロバーツ、アンソニー・マイケル・ホールも出ている!!)


どのシーンにも主役クラスがいるってのは、痛風ムービーだね。
彼らの出演が、作品に深みと重みを与えているのは間違いない。


特にジョーカーを演じたヒース・レジャーは、死んだからとか抜きにして、
素晴らしいパフォーマンスを披露してくれている。


キモくて、憎たらしんだけど、愛らしくって魅力的。
どう表現したら良いのかわからないぐらいだ。
ヒースの演技を見るだけでも価値があると思う。


ダークナイト


『バットマン ビギンズ』で、
今までの映画版『バットマン』の概念を根底から覆したクリストファー・ノーラン監督。

『ダークナイト』では、更にリアリティと濃厚さを推し進め、
ヒリヒリするような緊迫感溢れる高尚な逸品に仕上げている。


人間ドラマ、アクション、重量感ある俳優たちの演技、細部に渡る決め細やかな演出。
あらゆる要素がバランスよくブレンドされた、味わい深い作品。


アメコミだから、バットマンだから、暗そうだからとかいった理由で、
『ダークナイト』を見ないのは、大いなるミステイクだと思う。


映画という総合芸術を、エンターテイメントとして楽しみながら堪能できる。


『バットマン ビギンズ』を見ていた方が良いに越したことは無いけど、
見ていなくても十分楽しめるし、バットマンの知識があまりなくても大丈夫。


PS1:『ダークナイト』の原題が「Dark Night」だとずっと思っていた。
    明るいゴッサム・シティーが暗い夜に変貌するという意味ね。
    でも、「Dark Knight(暗闇の騎士)」だったのね・・・


PS2:8/2&8/3先行上映有り






『ダークナイト』
※クリスチャン・ベール インタビュー 動画(8/15UP) & テキスト
クリスチャン・ベール取材記


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コメント (2)

こんにちは。
「ダークナイト」、
なかなかの傑作と思います。
ジョーカーの印象が強いです。

http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

伊藤P:

>kemukemuさん


毎度毎度コメントありがとうございます。
コメント返しが遅くなりまして申し訳ないです。


kemukemuさんのサイトの『ダークナイト』の感想、
拝読させて頂きました。
様々な切り口で紹介できる、本当に奥深い作品ですね。


しかし、凄いコメント数ですね。
羨ましいですよ。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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