2009年04月21日更新

#367 『レイン・フォール/雨の牙』


レイン・フォール

『レイン・フォール/雨の牙』

4月25日より丸の内ルーブルほか全国にて
配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント




孤高の暗殺者ジョン・レインを主人公にした人気小説の映画化。


殺し屋ジョン・レインと彼を追うCIAアジア支局長ホルツァー、
そして、ジョン・レインと行動を共にする羽目になったジャズ・ピアニストのみどり。


東京を舞台に緊迫した追跡劇が繰り広げられる・・・はずだったんだけど、
なんだか全くハラハラしないんだよね。


ホルツァーは東京のあらゆるところに設置された監視カメラの映像を見ているのに、
ことごとくジョン・レインとみどりを取り逃がす。


しびれを切らしたホルツァー自らが追跡するも、有楽町であっさりと巻かれ、
今度は感情が切れちゃってコインロッカーに八つ当たり。


こんなんだからジョン・レインとみどりもただ逃げているだけって感じで、
イマイチ盛り上がらない。


そう全体的に全く盛り上がりがないのである。


ジョン・レイン演じる椎名桔平とホルツァー役のゲイリー・オールドマンの共演とか、
ちょっと楽しみにしていたんだけど、かなり淡白。


“えっ?こ、これだけ?クライマックスは?”って。


刑事役の柄本明やホルツァーの部下を演じた清水美沙も、
なんかペラッペラッで勿体無いなぁ〜って。


レイン・フォール


個人的に一番盛り上がっちゃったのは、やっぱりみどりを演じた長谷川京子かな。


ジョン・レインとみどりは電車に乗って東京を離れ、旅館で一泊する。
(ホルツァー捕まえろよ・・・)


みどりのお目覚めシーンが、絶望的に面白い。


“う〜ん”といって、目を覚ますみどりは、バッチリメイク。


まぁ、ちょっと前に知り合ったばかりの男に、
スッピンを見せられないという女心も分からんでもないが、
どう考えても不自然でしょう。


やっぱりやってくれるよなぁー。期待を裏切らないよ。


レイン・フォール


このシーンもそうなんだけど、時たまフォーカスを甘くしたり、
人物に焦点を当てて周りをピンボケにしたイメージショットみたいのが何度か出てくる。


そうする理由も狙いもわからん。
雰囲気?


撮影監督は『シン・レッド・ライン』や『M:I-2』を手掛けているジョック・ワーレハムなんで、
手堅いはずなんだが・・・


ってことは監督の指示か?


監督はマックス・マニックス。
誰だっけ?どっかで聞いた名前だなぁ・・・って思ったら、
黒沢清監督作『トウキョウソナタ』の脚本家だった。


オーストラリア人のマックス・マニックスは東京で暮らしていたことがあるうえ、
(その経験が『トウキョウソナタ』に活きている)
原作者のバリー・アイスラーも日本に在住していたことがあるという。


そんな2人の感性が、『レイン・フォール/雨の牙』の質感に色濃く反映されている。
明らかに日本人が捉えた東京の街ではないんだけど、
かといって外国人が撮りがちなベタでちょっと間違った東京でもない。


普段暮らしている東京が、まったく別の街に見える感覚は、
ちょっと面白かった。


これはインタビューで椎名桔平さんも本作の魅力のひとつとして挙げていた。


そんな東京は世界でもトップクラスに入る難ロケ地。


役所にきちんと申請して撮影許諾なんて取っている手間も暇もないので、
屋外シーンはほぼゲリラ撮影なんだろうけど、なんと東京都内35ヶ所でロケしたんだと。
さぞ大変だったことでしょう・・・


となると、益々せっかく苦労して撮影したんだから、
もうちょっと物語の展開にメリハリがあればなぁ・・・
キャストも豪華なのになぁ・・・と残念に思う。


メリハリといえば、エンドロールさえもしまらない。
エンドロールが終わるちょっと前にエンディング・テーマソングが終わってしまい、
30秒ぐらい無音状態となる。


一緒に見ていた映画パーソナリティの襟川クロさんが開口一番、
「カッコ悪!ピッタリ終わらせるのは重要よ」と指摘していた。


オイラもそう思う。


レイン・フォール


また、本作は完成保証制度を導入した日本で初の作品だという。
完成保証制度とは、米国の保証会社と契約し、予算内で映画が完成するように管理され、
もしも予算がオーバーした場合は、保証会社が追加資金を負担するが、
進行に問題があると判断した場合、保証会社が監督を解雇することが出来る制度。


この制度により映画の完成の保証がなされ、幅広い出資を募ることが可能になる。


日本人とイギリスとオーストラリアの俳優。
オーストラリア人の監督。
原作者はアメリカ人。
オーストラリア人と日本人とアメリカ人の技術スタッフ。


新しい映画制作制度のもと、様々な国の人々が参加し、ロケが困難な東京で映画を作る。
チャレンジ精神に満ちた作品であることは間違いないんで、
もしも続編を作るのであれば、
もっとスリリングで観客をグイグイ引っ張るような物語を練り上げて欲しいなぁと思う今日の頃であります。


『レイン・フォール/雨の牙』
※椎名桔平 インタビュー テキスト

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コメント (1)

ぶちょ:

うぇ?!

結構期待してたけど、あぅぅぅ。
けど、観にいこうっと♪

目覚めのばっちりメイクみたいし(笑)

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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