2009年08月18日更新

#399 『ブラック・ウォーター』


ブラック・ウォーター

『ブラック・ウォーター』

8/22より銀座シネパトスほか全国にて
配給会社:プレシディオ
(C)Australian Film Commission and Black Water Films Pty Ltd 2007




休暇でオーストラリア北部へ旅行に出かけた姉妹と姉の恋人。
リバーフィッシングへ参加した3人は広大なマングローブへと到着するが、
突然、巨大なクロコダイルに襲われ・・・


キャストもスタッフも無名なオーストラリア映画。
普通だったらDVDストレートでしょう。


しかもワニが人を襲うっていうストーリー自体まるで新鮮味がない。


まず、80年代に映画に魅了された者として思い出されるのは、
捨てられたペットのワニが、
12年間の下水道暮らしを経て巨大化し、暴れまくるというアメリカ映画『アリゲーター』('80)。


宣伝文句は「誰でも12回は必ず飛び上がります」。


配給会社の東宝東和お得意のハッタリキャッチコピーなんだけど、
子供だった伊藤Pはどんな映画なんだろう!?ってドキドキしたんだよね。
で、テレビ放映で見てガックシ・・・みたいな良くあるパターンを経験した。


ちょっと前だと『U.M.A レイクプラシッド』('99)ってのがある。
U.M.Aってのは未確認生物のことなんで、U.M.A=ワニじゃない。


それでも巨大ワニをU.M.Aだと言い張る配給会社は、
やっぱり東宝東和。


ブリジット・フォンダ、ビル・プルマン、オリバー・プラットと、
何故かB級の割にはキャストが豪華なんだが、
中身はやっぱり・・・


他にも調べてみたらワニ映画はたくさんあった。


上記作品の続編『アリゲーター2』('90)、『U.M.A. レイク・プラシッド2』('07)、


『キラー・クロコダイル』('89)、その続編『キラー・クロコダイル 怒りの逆襲』('90)
『クロコダイル』('00)、またまたその続編『クロコダイル2』('01)、


そして、タイ産の『アリゲーター』('01)。
更にはトビー・フーパー先生も『レプティリア』('00)というワニ映画を撮っていた。


全部、劇場未公開。


なので、『ブラック・ウォーター』が劇場公開されたのはミラクルな出来事といえよう。


しかし、奇跡だけでは劇場公開には至らない。
何かあるはずだ!と、思ったら実話なんだと。


沼地版『オープン・ウォーター』ってとこか?


確かに、実際に起きうる話だ(いや、だから起きたんだって!)。


実話ということを知った上で本作を見ると、
見方が大分違ってくる。


実話だと思うと、より一層、「自分だったらどうしよう」って思いながら見てしまう。


ボートはひっくり返っている、逃げ場はマングローブの木の上のみ、
水は濁っていてワニがどこにいるのかもわからない。


リバーフィッシングに来ていることは誰も知らない。
他の船もボートも通る見込みはない。
武器もない!食べ物もない!!水もない!!!


ど、ど、ど、どうする!?


ごくごく普通の人間が(しかも女性)、
極限極地状態をどう打開したのか?


これが本作最大の魅力でしょう。


でも実話である弊害もある。


荒唐無稽に出来ないからあまり展開を広げられず、
ドラマとしての起伏を生み出せていない。


結局、同じことの繰り返しなんで、ちょっとダラッとしてしまう。


もう1、2回、違うタイプの山場を作って、テンポをよくすれば、
かなりスリリングで、鑑賞後、ドッと疲れる作品になったんじゃないかと。


あとね、こういう取り残され型映画によくある男女の意見の食い違いが、
本作にも登場する。


これをもっと突き詰めて欲しかったな。


極限状態だからこそ飛び出る本音の痴話喧嘩。
これ結構面白い。


男との女の性格の違いが良く出るんだよねぇ〜。


ポスター


クロコダイルとアリゲーターの違い

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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