2009年10月19日更新

#422 『パイレーツ・ロック』


パイレーツ・ロック

『パイレーツ・ロック』

10/24よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて
配給会社:東宝東和
(C)2009 Universal Studios. All Rights Reserved.




1966年、イギリス。


北海に浮かぶ船クエンティンは海賊ラジオ局。
1日45分しかロックをかける時間がないBBCラジオに対する若者たちのストレスを発散すべく、
この海賊ラジオ局は24時間、ご機嫌なヒットチューンを流していた。


しかし、イギリス政府はこの海賊ラジオ局を疎ましく思い、
撲滅すべく動き出す。


かくして、海賊ラジオ局VSイギリス政府の戦いの火蓋が気って落とされた!


1966年といえば、
ビートルズがライブ活動を止めスタジオに篭りだし、
THE WHOが後のコンセプトアルバムの名盤「トミー」に繋がる「ア・クィック・ワン」を発表し、
エリック・クラプトンがブルースブレイカーズに参加し、
ローリング・ストーンズが「黒くぬれ」をリリースした頃。


ブリティッシュ・ロックが世界中を席捲していた時代だ。


しかし!この時、イギリスに民放ラジオ局は存在せず、BBCラジオのみで、
そのBBCはロックを1日45分しか流していなかった!!!


これが事実であることに、まずビックリした。


そして、本当に海賊ラジオ局が存在し、
『パレイーツ・ロック』の中で語られるように、
若者たちから絶大なる支持を得ていたこと、
そして、イギリス政府が法的な圧力をかけてきたこと、
これらが全て事実であることにも驚いた。


ロック好きとか言っておきながら、
この史実を知らなかったとは・・・なんとも情けない・・・


でも、こうしてこういうロックの歴史を知ることが出来た。
やっぱり映画は勉強になるね。


劇中、キンクス、ジェフ・ベック、ローリング・ストーンズ、ヤードバーズ、クリーム、
スモール・ファイセズ、THE WHOといったイギリスのアーティストたちの楽曲だけでなく、
シュープリームス、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、
アイズレー・ブラザース、オーティス・レディングといったアメリカ出身のロックというよりは、
R&Bの名曲もガンガンかかる。


しかしながら、
この頃の音楽はロックだ、R&Bだというようなジャンル分をあまりせず聴いていたので、なんら問題なし。


セックス・ドラッグ・ロックンロールではなく
シネマ・アルコール・ロックンロールな人生を歩んできた者として、
この手の作品が嫌いなわけがない。


ロックを聴いているだけで、気持ち良くなるね。


ジミ・ヘンドリックスの“The Wind Cries Mary”と
プロコル・ハルムの“青い影”が特に沁みた・・・。


確か、ジミヘンのこの曲は、
かつて「日曜洋画劇場」のスポンサーだったレナウンのCMで使用されていたっけ。


映画小僧は当たり前のように「日曜洋画劇場」を見ていたので、
何度もこのCMを目にした。
まだ、ジミヘンをちゃんと聴いたことのない頃だったけど、カッコイイ曲だと思った。


プロコル・ハルムの“青い影”は、映画『再会の時』でも使用されていて、
サントラ買って聴きまくった。
なんとも荘厳な曲です。


こうやって思い返すと、映画が入り口でロックを知ったという部分もあるなぁ。
小中の頃は、サントラ全盛期だったし。


とまぁ、ロックばかりの話をしておりますが、
『パイレーツ・ロック』はロックを抜きにしても、良く出来た映画だと思う。


多くのキャラクターが登場する群像劇で、
ストーリーの展開で見せるというよりは、
各エピソードを積み上げていく作品だ。


で、最終的にきちんとラストに集約させている。
上手いなぁ〜って。


しかも後半は、超大作でっせ!


更に幸せな気分になれる!


パイレーツ・ロック


監督と脚本を手掛けたのはリチャード・カーティス。


『ラブ・アクチュアリー』もそうだったけど、
こういう脚本を書けるのはやっぱり凄いと思う。


各キャラクターの個性が際立っていて、
それ自体がコメディとして成立している。
DJたちの間で繰り広げられる60秒クイズとか下ネタ(排泄物ネタ込)とか、
本筋とはあまり関係ないんだけどかなり笑えた。


キャスティングもバッチリ。


『あの頃、ペニー・レインと』で伝説的なロック・ライターを演じたフィリップ・シーモア・ホフマン、
『スティル・クレイジー』でしなびたロック親父を素敵に体現したビル・ナイと、
この2人だけで“ラブ・ロック!”てな感じで、説得力が増す。


他にもリス・エヴァンス、ケネス・ブラナー、ケネスの元妻エマ・トンプソンと、
実力派が多数出演。


パイレーツ・ロック


ちょっとムサイ役者もバンバン出てくるけど、
みんなドンピシャではまっている。


ただ、客が呼べるスターがいない・・・


作品的にターゲットが限定されてしまう可能性が高いし
田舎のおばちゃん、おじちゃんが知っているような知名度のあるスターも出ていない。


この映画を当てるのは、相当難しいんじゃないかな。


でもね、「私、ロック知らないしぃぃぃ」とか、
「知っている人が出ていないしぃぃぃ」とかいった理由で、
本作をスルーしてしまうのは本当に勿体無い。


ポイントはロックを知らなくても、出ている役者を知らなくても、
『ラブ・アクチュアリー』の監督作品なので
見れば幸せな気分になれる!ってところかな?

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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