2010年08月26日更新

DVD#019 『ニューヨーク,アイラブユー』

ニューヨーク,アイラブユー

『ニューヨーク,アイラブユー』

8/27 DVD セル【3,990円(税込)】
発売・販売元:アミューズソフト
(C)NY5,LLC-All Rights Reserved.




岩井俊二(『スワロウテイル』)、シェカール・カプール(『エリザベス』、
ミーラ・ナーイル(『モンスーン・ウェディング』)、チアン・ウェン(『鬼が来た』)、
ブレット・ラトナー(『ラッシュアワー』)、アレン・ヒューズ(『ザ・ウォーカー』)、
更にはナタリー・ポートマンといったバラエティかつ国際色豊かな監督たち11人が、
豪華俳優を迎えて撮った短編を、
ランディ・バルスマイヤー(※1)が一本の作品にまとめたアンサンブル・ムービー。


ニューヨークを舞台に、様々な人たちの「愛の形」が綴られている。


各短編の間に“つなぎ”の映像がインサートされ、
バラバラな話を有機的につなぐという手法を取ってはいるが、
オムニバスであることには変わりないと思う。
(違うって言う人もいると思うが・・・)


オムニバスの最大の欠点は、時間が限られているため、
じっくりと丹念に描き切れないこと。


そのため、あまり物語そのものにのめり込めないし、
作り手も見る側のご想像にお任せいたします的な作りにする傾向が強い。


本作にも突然ファンタジーな要素が出て来たり、
「だから何?」という結論に至るエピソードがあったりする。


一本の作品だったら、「じっくりとあれは何だったんだろう?」と考察する気にもなるが、
洞察力が必要な作品が細かく何本もあるとなると、考える暇もないし、気力も萎える。


残念ながら『ニューヨーク,アイラブユー』もそうだった。
どのエピソードにも深みを感じることが出来なかったし、
見ている間はそれなりに面白いけど、結果、どうでも良い話がチラホラと。


中には余韻に浸りたいエピソードもあったけど、
浸る間もなく次の話が始まってしまう。


しかしながら、そうは言っても本作は決して退屈はしない。


それは各エピソードが短いので、飽きが来る前に次の話に移っていくからだろう。
テンポが良い。


また、各エピソードの合間に入る“つなぎ”が流れを作ってくれるので、
ブツブツとイチイチ思考が寸断されずに済む。


この“つなぎ”が、本作において重要な役割を果たしていることが良く分る。


そして、退屈しない最大の理由は、豪華スターの出演だろう。


ブラッドリー・クーパー
ヘイデン・クリステンセン
レイチェル・ビルソン
アンディ・ガルシア
ナタリー・ポートマン
オーランド・ブルーム
クリスティナ・リッチ
マギー・Q
イーサン・ホーク
アントン・イェルチン
ブレイク・ライブリー
シャイア・ラブーフ
スー・チー
ロビン・ライト・ペン
クリス・クーパー
などなど。


全員やその大多数が一堂に会することはないけど、
それでもこれだけのメンツが次々と顔を出せば、それだけで嬉しくなる。


中でも、ジュディ・クリスティー(『ドクトル・ジバゴ』)、
ジョン・ハート(『ミッドナイト・エクスプレス』)、
ジェームズ・カーン(『ゴッドファーザー』)、
イーライ・ウォーラック(『荒野の七人』)、
クロリス・リーチマン(『ラストショー』)、
バート・ヤング(『ロッキー』)
といった超大ベテランたちの元気な姿を見ることが出来るのは、嬉しい限り。


ジェームズ・カーン、イーライ・ウォーラック、アンディ・ガルシアは、
「ゴッドファーザー」シリーズの出演者たち。
何だか感慨深いものがある。


もしもこの映画が無名の役者を使っ作られたとしたら、
ちょっと見るのしんどかったと思う。


タイトル通り、ニューヨークへの愛情が感じられる作りになっているので、
ニューヨークが好きな人にはたまらないでしょう。


様々な国や人種の監督と俳優たちが描くラブストーリーというコンセプト自体が、
ニューヨークそのものを象徴している。


なおDVDには、
スカーレット・ヨハンソンが監督し、劇場公開時にカットされた短編も収録されている。


(※1)ランディ・バルスマイヤー
 『ガープの世界』(80)のタイトルデザインを手掛けた後、『戦慄の絆』(88)、
 『ゴースト ニューヨークの幻』(90)の視覚効果を担当。
 その後も『シカゴ』(02)のタイトルデザイン、
 『プラダを着た悪魔』、『リトル・チルドレン』(06)の視覚効果の監修と製作、
 『ファクトリー・ガール』(06)では第2班監督と撮影を担当するなど、
 多彩な才能を発揮している。

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.t-shirt-ya.com/blog/cgi/mt-tb.cgi/1845

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)




リンク

プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
Powered by
Movable Type