2011年05月19日更新

#581 『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』


『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』

『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』


5/20より丸の内ピカデリーほか全国にて
配給会社:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
(C)Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.



鳴り物入りで製作されたレニー・ハーリン監督の超大作『カットスロート・アイランド』(95)の大失敗から、
海賊映画は面白くない、当たらないというジンクスが、
まだ色濃く残っていた2003年に公開された『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』。


今までの海賊映画の定説を覆し、大ヒットを記録した本作は、
ストーリーに捻りがあったし、アクション、VFXも充実。


それまでブロクバスタームービーにはあまり縁のなかったジョニー・デップが、
海賊船のキャプテン・ジャック・スパロウ役で出演したのも新鮮だったし、
将来の成功を予感させるオーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイといった、
フレッシュなキャストの魅力も相まって、老若男女が楽しめる海賊映画だった。


しかし、大ヒットを受けて同時製作された『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』(06)、
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』(07)は、どうもいただけなかった。


大ヒット作の続編ということで、なんかテキトーというか・・・。


特に『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールドエンド』は、激が付くほど退屈だった。

延々3時間近くもダラダラとどうでもよい話を見せられる拷問みたいな映画で、
2007年の洋画ワースト1にしたほどだ。


なので、シリーズ第4弾『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』が
作られるというニュースを耳にしても、あまり興奮も期待もしなかった。


てな感じで、本作を待ち望んでいた世界中のファンとは、
大分温度差がある精神状態で見たのですが・・・。


■ストーリー
今回は、海賊ジャック・スパロウ、
ジャックのライバルとして名を馳せたが、いまや英国王の手先となったバルボッサ、
ジャックの元恋人アンジェリカとその父で悪名高き伝説の海賊・黒ひげ、
そして、スペイン軍が、永遠の命をもたらすという“生命の泉”を求めて競い合うという内容。


海賊映画なんだから、お宝を探すだけの単純明快な物語で構わないんだけど、
“生命の泉”が欲しいという各人の動機が、ちょっと弱いように思った。


中でもジャック・スパロウが顕著で、どうしてもの必要性が感じられないから、
あんまり盛り上がらない。


あと、旅に出てから目的の島に着くまでがかなりダルくって、睡魔くんと戦った。


poc2011kurohige.jpg


■アクション、スペクタクル
本作の予告編を見た時に、「派手さがない」と感じたんだけど、
その印象通りで、シリーズの中で最も地味。


序盤の舞台となるロンドンでは、馬車チェイスやチャンバラなどそこそこ魅せるが、
あとは大したアクションはないし、
これぞジェリー・ブラッカイマー的なド派手なスペクタクルもない。


単なる爆発や高所からのダイブだけじゃ物足りないッス。


海賊映画なのに、海上での戦いがないのも残念だし、
ブラック・パール号がちゃんとした形で登場しないのも寂しい限り。


poc2011basya.jpg


■キャスト
本作の顔であるジョニー・デップは、やはりかっこいいし、カリスマ性も健在。
流石に4作目ともなると、新しさを求めることはなかなか出来ないが、
ジャック・スパロウは、ここまできたらもうマンネリでいいのでしょう。


常連組バルボッサとギブスをそれぞれ演じたジェフリー・ラッシュ、
ケヴィン・R・マクナリーの続投は嬉しいが、オッサンなんで華やかさに欠ける。


今回、ペネロペ・クルスが初参加しているんだが、
撮影中妊婦だったからか、あまり見せ場もなく、
一人でオーランド・ブルーム、キーラ・ナイトレイの穴を埋めることは出来なかった。


前作のチョウ・ユンファみたいなゲスト的な大物の出演もなく、
やっぱり地味なのである。




■ロブ・マーシャル監督
監督は前三作を撮ったゴア・ヴァービンスキーから、
『シカゴ』、『SAYURI』、『NINE』を手掛けてきたロブ・マーシャルにスイッチ。


「パイレーツ・オブ・カリビアン」みたいなタイプの作品の監督を務めるとは思いもよらず、
監督に決まったというニュースを耳にしたときは驚いたし、ちょっと違和感を覚えた。


海賊映画なのに活劇が足りないのは、ロブ・マーシャルだからか?


実のところ、見ている最中は、ロブ・マーシャル監督作品というのをほとんど意識しなかったんだけど、
本作のキーポイントの一つである宣教師と人魚の恋の下りは、
ゲイであるロブ・マーシャルのらしさが出ているかもしれない。


宣教師も人魚も疎外されており、いわばマイノリティな立場だからね。


poc2011ningyo.jpg


そんなこんなで、トータルでいうとボチボチな感じですが、
良かったと思えるところもあった。


■良かった点
・上映時間が2時間21分と過去最短



1作目は2時間23分で今回とあまり変わりないが、
2作目は2時間30分、3作目に至っては2時間49分と回を追うごとに長くなっている。


絶望的につまらなかった3作目の印象が強く残っているので、
今回、短くなってよかったです。


・ハンス・ジマーのスコア
気分を高揚させるメインテーマは、4作目だし、
バラエティ番組でも頻繁に使われているので、すっかりお馴染みだ。


耳にすれば、多くの人がすぐに「パイレーツ・オブ・カリビアン」だと判るという点からすると、
「インディー・ジョーンズ」や「スター・ウォーズ」のテーマと同じぐらいの領域なのかもしれない。


・宣教師と人魚を演じた役者
宣教師を演じたのはイギリスの新星サム・フランクリン、
人魚役はフランスで活躍するアストリッド・ベルジェ=フリスベ(多分、一生覚えられん・・・)。


二人とも超魅力的だったのかと問われると、別にそうでもないんだけど、
『パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち』でブレイクし、
あれよあれよとスターへの階段を駆け上がっていたオーリーとキーラのようになって欲しいのだよ。


きっと第5作目もあると思うんで、引き続き出演して、オーリーとキーラに続いてください。
そんな思いと期待を寄せておきます。


・最後のオチ
ネタバレにならない程度に書きますが、
最後、「この後、どうするんだろう?」というちょっと気になる終わり方をする。


しかし、ラストのラストで、「そういうことか!」となる。


poc2011main_2.jpg


そんなこんなで、
『パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド』よりは面白かったですが、
今回、『パイレーツ・オブ・カリビアン/生命(いのち)の泉』をじっくり鑑賞することが出来なかった。


その要因は3D。


ほんとーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーに、
煩わしい限り。


これに関しては別途書きますが、
XpanD方式を採用している劇場では、見ない方が良いと思います。


集中して鑑賞なんてできやしないよ。


酷かった。


【裏部屋】「3D映画」

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コメント (1)

なな:

いきなりスミマセン^^;
周りに見た人がいないので質問したいのですが・・

人魚と宣教師・・・どうなったのですか?結局宣教師は死んだのでしょうか?それとも続編にまた登場するとか?

割と色々なストーリーがあり、全体にまとまりが悪かったような気がします、でも結構面白かったです^^。
お話にあったように3作目が超最悪、無駄な時間多すぎの作品だったのでどうかな?と思ってたもので。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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