2012年08月07日更新

#673 『ローマ法王の休日』

ローマ法王の休日


『ローマ法王の休日』
2012年7月21日よりTOHOシネマズ シャンテほか全国にて順次公開
配給:ギャガ
©Sacher Film. Fandango. Le Pacte. France 3 Cinema 2011


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ローマ法王の逝去を受け、次の法王を選出する「コンクラーヴェ」が開催された。


ヴァチカンの広場には、各国のマスコミとカトリック教徒たちが集まり、
歴史的瞬間を今か今かと心待ちにしていた。


なかなか票がまとまらず、何度も何度も投票が繰り返される中、
新法王に任命されたのはダークホースのメルヴィルだった。


しかし、メルヴィルはローマ法王という重圧に耐え切れなくなり、
ローマの街へと逃げ出してしまう・・・。


ローマ法王の休日


『息子の部屋』でカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞したナンニ・モレッティ監督作品。


ナンニ・モレッティの作品は今まで一本も見たことがなかったんだが、
なんか気難しいイメージがある。


確か、『息子の部屋』で来日した時に、
既に決まっていた個別の取材を全てドタキャンしたんだよね。


記憶は定かじゃないんだが、来日中に何かしらしでかしているのは確か。
宣伝担当者は災難だなぁ〜って、思ったことはよく覚えている。


今回、『ローマ法王の休日』で、初めてナンニ・モレッティ監督作を見たわけだが、
シニカルな笑いが満載で、やっぱりこの監督は癖があると感じた。


ローマ法王の休日
向かって左がナンニ・モレッティ監督(精神科医役で出演)


まず、冒頭の次期ローマ法王の候補者である枢機卿のほとんどが、
ローマ法王になりたくなって思っているのが笑える。


「神様、どうか私をローマ法王に選ばないで下さい」って祈っている。


滑稽だ。


さらに「コンクラーヴェ」開催中に外出をしようとする枢機卿も登場。
携帯を返してくれれば連絡が取れるだろうって・・・。


これまた滑稽だ。


そして、今まで全くノーマークだったメルヴィルが、
突然、多くの投票数を得る。


間違いなく組織票でしょう。


酷い話だ。


で、メルヴィルは、ローマ法王というプレッシャーに押し潰されて逃亡するわけですが、
その間、ヴァチカンの報道官は、ローマ法王不在を隠蔽する。


影武者に選ばれた人物は、飲んで食っての日々。


なるほど、ヴァチカンにはご馳走がたくさんあるようだ。
だから枢機卿は、みーーーーーーーんな恰幅がいいんだねぇ〜。


という感じで、節々にヴァチカンに対しての「毒」が散りばめられている。


こういうの、嫌いじゃない。


ローマ法王の休日


さて、逃げ出したメルヴィルは、ローマの人々と触れ合うことで、
己の人生やローマ法王の存在意義を見つめ直していく。


ヴァチカンへの風刺が面白かったのに対して、
このメルヴィルの下りは、ありきたりで今一歩という感じ。


そして、メルヴィルは最後にある決断をするわけだが、
これがどうやら賛否両論のようだ。


個人的には、「有り」だと思う。


ネタバレになるから、その理由は詳しく述べないけど、
メルヴィルが下した決断は、
ナンニ・モレッティ監督なりのメッセージが込められているのは明らかだ。


これがまたシニカル。


なんか、ちょっと前の日本の首相たちと重なってねぇ・・・。


そして、選ぶ方の無責任さもあるんってことを改めて痛感しました。




■「エンタメ〜テレ 最新映画ナビ」
『ローマ法王の休日』ナンニ・モレッティ監督インタビュー
ナンニ・モレッティ監督
→これが、なかなかスリリングな内容です。
 インタビュアーがツワモノです!

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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