2012年09月25日更新

ディープツアー2012 稲城 PART1

昨年の夏、ナレーターの佐藤アサトと訪れた鎌倉。
その散策過程を綴った、3部作「ディープツアー2011 鎌倉」


一部の方々から「おもしろかった!」「またやって欲しい!」というご意見やご要望を頂きまして、
嬉しい限りでございました。


そんな一部の方々のニーズにお応えすべく、というか、自分の欲求を満たすべく、
8月某日の土曜日、「第2回佐藤アサトと行くディープツアー」を決行しました。
(決行日は「小伝馬町」散策の翌日)


今回、まず訪れた地は、東京都稲城市にある「京王よみうりランド駅」。


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今年は巨人が強かったので、ジャビット君に会いに行こうかと思いまして…って、
ワシはダメ虎ファンだよ!


まず最初の目的地は「ありがた山」。
ここには約4000体を超える石仏群がある。


関東大震災後の復興計画の区画整理の際、引き取り手がなかった文京区駒込周辺の無縁仏を、
某宗教団体が、1940から3年間に渡り今の地に運び込んだという。


運び手は、駒込でリアカーに石仏像を積み、引いて歩き、多摩川を舟で渡り、
またリアカーでこの山まで運んだ。
その距離、30キロ弱。
その数4000体。
気が遠くなるような話だ。


運搬中、不審がられた際には、「ありがたや、ありがたや」と唱えて事なきを得たことから、
「ありがた山」と呼ばれるようになったらしい。


そんな「ありがた山」の写真をかつて雑誌で見て、
その神秘的で圧倒的な光景に惚れてしまいました。
ゆえに、一度、訪れたいと思っていた地だった。


石碑や石仏が大好物な佐藤アサトも、是非ということで意見一意に至った。


待ち合わせは、朝10時に「京王よみうりランド駅」。


佐藤アサトは前日の夜に、小生の悪友でもあるI氏と飲みに行ったので、
ちーと不安だったが、9時半ごろ「10時ちょい過ぎに到着します」というメールが届き一安心。


しかし、こちらが駅に到着して待っていると、
「げっー、急行が止まらない!京王永山までいっちゃう」というメールが。


yahoo!の路線とか、ジョルダンの乗換案内とか、ナビタイムとか、
路線案内いくらでもあるでしょうに…。


結局、佐藤アサトが「京王よみうりランド駅」に降り立ったのは、10時20分ぐらい。
こちらはちゃんと調べておりまして、10時ちょっと前に到着していたから、30分弱待ちぼうけ。


待てない性分なので、昔ならキレていたんだろうけど、「全然いいよぉ〜」って。
大分心が広くなりました。


聞いたら午前3時頃まで飲んでいたらしい。
アホと思う反面、すごい体力だとも思う。
ワシには無理だ。


合流後、さっそく「ありがた山」を目指す。


ネットで場所を事前に調べたところ
駅の近くにある「妙覚寺」の脇道を上がり、墓地を超えた先と書いてあったので、
「妙覚寺」に行ってみる。


ほどなく「妙覚寺」の入口に到着。


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「妙覚寺」は、室町時代に第12代将軍・足利義晴が開山した寺で、宗派は禅宗の臨済宗。
一度、火事で焼失し、現在の建物は1796年に再建したものだという。


そんなことが書いてある説明板の脇にある階段を登ると境内に至り、
右手に墓地へと続く階段があったので、駆け上がる。


上がったところから「よみうりランド」へと通ずるゴンドラが見えた。


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「京王よみうりランド駅」では、結構な人数が下車していたんだが、
そのほとんどが水着一式が入っているビニール製のバッグを持っていたので、
「よみうりランド」目当てだろうと予測。


案の定、誰もこちらの方面には足を運んでいませんでした。
きっとこれからプールを楽しむ行楽客が、あのゴンドラの中に乗っているのでしょう。


もう一つの階段を登り、墓地を抜けるとこの先に石仏群がありそうなそれらしき藪が。


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蚊やらなんやら虫がぶんぶん飛んでいるし、蜘蛛の巣もそこらじゅうに張っていたんだが、
構わず突き進む。


しかし!道がなくなった!!!!


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「ありがた山」は、区画整理事業地区域に引っかかっているという情報がネットに出ていた。
ネットに掲載されている「ありがた山」の訪問記事は数年前のものばかりで、
もしかしたらここ1、2年の間に既に取り壊されたのかも?
という嫌な予想が頭を駆け巡ったが、単に道を間違えた可能性もあるので、ひとまず下まで降りることに。


境内に戻ると墓地とは反対側に門があり、門前に山へと続く道があった。


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たぶんこれだ!


で、門の真ん前は、絶賛開発中だった・・・。


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そして、門の横には、悲しき立て看板が・・・。


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も、もしかしたら、やっぱり既に取り壊されている!?


確認しなけばと急ぎ足で坂を登っていく。
天気は晴天。
汗ダクダク。


佐藤アサトは、額から玉のような汗を吹き出し、「しんどいっす」と早くもゼロゼロ状態。


朝の3時まで飲んでいた報いだ。


間もなく墓地が出現。
間違いない!この上だ!


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さらに急坂を登るとありました!
石仏群が!


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向かって右側に山道があり、登りながら写真を撮りまくる。


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湿地帯でもないのに、なぜかカエルがいました。


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途中、ゴミ拾いをしているのか、一人の男性がいたので、
「こんにちは」と声をかけるも、言葉にならないような「うぅぅ」という返事のみ。


なんだか感じが悪いのですが、気にせず、
頂上まで登ると慰霊塔(?)が3つ建っていました。


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頂上からは稲城の街並みが見渡せる。
なかなかの絶景です。


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この高さですから、佐藤アサトの息も上がっちゃうわけです。


この頂上の右の方に、ハイキングコースがあるのですが、
開発区域ということで、現在は立ち入り禁止。


しかしながら、先ほどの男性はガン無視で、
扉を開けて奥へと立ち入って行きました・・・。


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「監視カメラ作動中!」「処罰あり!」という警告文もあったのですが、
そんなものには動じない、なかなかの強者のようです。


さて、石仏群ですが、中央に階段があり、そこを下りながら石仏を撮影。
こちらが左側、


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こちらが右側。


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そして、中央を貫く階段から見た慰霊塔。
太陽光がより神秘さを際立てます。


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石仏を細かく見てみると、柔和な仏様の顔が印象的なもの。


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長年の歳月を経て風化してしまったもの。


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先の震災の影響でしょうか、倒壊してしまっている墓石。


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骨壺がちょっと露出しちゃっているお墓。


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4000体以上もあるというのに、どれひとつとして同じではない。


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本当に凄いなぁ〜と驚嘆していると、佐藤アサトがとある墓石の前で熱心にスマフォで何かを検索していた。
「どうしたの?」と聞くと、「いやー、調べたら凄い人の墓があるんですよ」と返ってきた。
その凄い人の墓石がこちら、「海軍少将四元賢助之墓」。


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四元賢助は、海軍兵学校教官として山本五十六や、
第29代・第30代連合艦隊司令長官の豊田副武を教えた人物。


なんでこのような方が、無縁仏ばかりのこの地に葬られているのだろうか?


それにしてもこういう墓石に気が付き、すぐさま調べる佐藤アサトに感心。


ここに限らず、石碑って漢字が難しくて、何を書かれているのかわからないから、
あまりちゃんと彫られている文字を読むことがない。


同じ散策好きでも、微妙に着眼点が違う。
それがかえって良いのかもしれない。


中央の階段を降り切って、石仏群の入り口に戻ると、着いた時は石仏群に目を奪われ気が付かなかったが、
向かって左側に社があった。


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社に祀られていた石仏の前には井戸が。


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飲水として利用できるということで、なかなか綺麗です。


しかし、その横には、中国の汚染された川のような色合いの池が。


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どうやったらこんな色になるのでしょう?


この井戸の対面にはお地蔵さんが祀られていた。


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こちらも井戸のよう。
どうやら稲城は水が良いようだ。
だからカエルがいたのかもしれない。


既に「ありがた山」に到着してから、30〜40分経っており、
そろそろ次の場所に移動しないとならないのだが、
なんだか名残惜しい。


そんな思いもあってまた下の方から石仏群をなめるように撮ったら、
ちょっと不思議な写真が撮れた。


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真ん中の下の方に赤い光の玉が写っている。


さっきの石仏群の中央を貫く階段から慰霊塔を捉えた写真にも、
同じような赤い玉が写っていた。


おそらく太陽光の反射かなにかで写り込んでしまったんだと思うのだが、
この写真の場合、光の玉が草の後ろ側にある。


後で写真をチェックした際に発見した時は、
もしかして!?なんて思ったりもしたけど、
この写真を抜きにしても、「ありがた山」は本当に神秘的で、圧倒的で、
今まで見たこともないような光景でした。


区画整理事業地区域ということで、
近い将来、この石仏群が綺麗さっぱり無くなってしまう可能性がある。


なんでも道路をつくるらしんだが、
わざわざここを潰して作る必要があるんですかね?


他に予算回した方がいいんじゃないの?
それこそ、そんな事業費があるのならば、別の形で市民に還元するなり、
東日本大震災の被災地に寄付した方が良くないか?


渋滞とかあるのかもしれないが、
渋滞緩和ってそんなに重要なのだろうか?


外環自動車道に関しても、同じなんだけど、
環境や自然を破壊し、今住んでいる人たちを立ち退かして、道路を作る。
確かに便利で時間も短縮される。


でもこの少子高齢化で、車を持つことにステイタスを感じなくなっている若者が多くなっていて、
ますますその傾向に歯止めが利かなくなってくるであろうこの日本に、そんなに道って必要なのかな?


関東大震災の復興という名の下の区画整理によって行き場を失い、
やっとのことでこの地に来た無縁仏たちが、
再び区画整理によって、行き場がなくなるなんて…。


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もしも本当に「ありがた山」の区画整理が決行されたら、
無縁仏たちよ、「平将門の首塚」のように関係者たちを呪ってしまえ!!!


って思ってしまうぐらい、
このまま保存して欲しい場所でした。


そんな思いが馳せる場所を後にし、次の目的地「威光寺」へと向かう。


「威光寺」は「ありがた山」から徒歩5分ぐらいと近いのだが、
その途中、なかなか味のある看板あった。


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完全に色あせてしまったズラの看板。
「若さをプレゼント」という一文がなんとか読み取れる。


いい加減、剥がそうよ・・・と思っていると、
同じ塀にこれまた凄い看板が。


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申し訳ないが、この2連発は、佐藤アサトと大爆笑だった。


すさまじい笑いを提供してくれた塀を過ぎると、
すぐに「威光寺」に辿り着いた。


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「ディープツアー2012 稲城 PART2」に続く。

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コメント (4)

☆ほし:

初めまして。

ありがた山の画像を拝見しました。
この画像の中に池の写真がありますね。“中国の川のように汚い”と言ったような説明があり、黄色くなった池の写真があります。
この池の黄色い状態ですが、水の中まで濁ってるのか、それとも黄色いものが水面に浮かんでるように汚いのか、どちらの状態であったかお分かりになりますか?

写真だけでは何とも判断しにくいのですが、もしかすると大変に珍しい生物の可能性がありそうです。

何か分かりましたら、ぜひともお教えください。

伊藤P:

ほしさん

コメントありがとうございました。
ご質問の件ですが、黄色い何かが水面に浮かんでいたかと記憶しています。
秋の季節なら落ち葉かな?と思えるのですが、真夏なので植物でもないような・・・。しかも池には屋根がついていたので、落ち葉である可能性は低いかなと。プランクトンでしょうか?

ブログにも書いた通り、隣り、そして対面の井戸には、黄色い物体はありませんでした。


☆ほし:

黄色いものは、水面に粉状のものを一面にまき散らしたように見えませんでしたか? あくまでも写真からの予測でしか無いのですが、ヒカリモのように見えます。もしヒカリモであれば、東京では第2の産地と言うことになるのですが。
調布市の実篤公園は、ヒカリモですっかり有名になりました。
“実篤公園、ヒカリモ”で検索すると多くの写真が見られます。比較なさってみてください。

伊藤P:

ほしさん

実篤公園、ヒカリモで調べてみました。またヒカリモでも画像検索してみました。私がありがた山で見たのは、まずヒカリモで間違いないと思います。

珍しい生物に対して、汚染された川のようという表現をしてしまいました・・・。

実篤公園は、私の行動範囲内の場所なので、機会があったら行ってみたいと思います。とはいえ、ヒカリモはシーズン限定のようなので、ちゃんと時期見ていかないといけませんね。

とにもかくにも、貴重な情報ありがとうございました!

こういう展開もあるんですね。
びっくりしました。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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