2013年01月29日更新

#685 『アウトロー』

アウトロー

『アウトロー』
2013年2月1日より丸の内ピカデリーほか全国にて
配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
©2012 Paramount Pictures. All Rights Reserved.


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ピッツバーグ近郊。
白昼にライフル射殺事件が発生し、5人の被害者が出た。


その犯人として元米軍スナイパーのジェームズ・バーが逮捕された。


証拠がすべて揃えられ、真犯人はジャームズ・バー以外に考えられない中、
彼は黙秘を続け、「ジャック・リーチャー」を呼ぶことを要求する。


警察が元軍の秘密捜査官だったリーチャーの身元を掴めないでいると、
突如リチャーが姿を現した。


そして、リーチャーは事件の矛盾点を突き、真相に迫っていくが・・・。


トム・クルーズ主演のハードボイルドアクション。


人気低迷期に製作された前作『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』で、
チームプレイを前面に押し出し、“トム様俺様”色を少し薄めたトム。


結果、『ミッション・インポッシブル/ゴースト・プロトコル』は全世界で大ヒット。


「まだまだ俺ひとりでいけんじゃネェ?」ってことで、
トム様一枚看板復活作。


outlawtom.jpg


今回、トムが演じたのは、ジャック・リーチャーなるアウトロー・ヒーロー。
己の正義に従い、そのためには手段を選ばない。


頭脳明晰、優れた洞察力があり、格闘技術に長け、
射撃やドライビング・テクニックにも秀でいている。


どんな危機的状況に陥っても決して動じない。
余裕の笑みすら浮かべる。


一体全体、イーサン・ハントとどこが違うんだ!?
『ナイト&デイ』の主人公ともあんまり変わらんのでは!?


こういうキャラクターをトム・クルーズが演じると、
その佇まい、所作のひとつひとつから「俺ってすげぇ」臭が滲み出る。


そして、確信犯的な上半身裸のシーンもある。


ザッツ・トム様俺様映画。


でも、私はトム様俺様映画が嫌いではありません。


80年代から活躍している俳優の中で、
トム様はいまだに一枚看板で大作に出演できる数少ない俳優だ。


つまりムービースターなんです。


30年近くも主役を張り続けていたら、
そりゃ、浮き沈みもあるでしょうよ。


それでも“トム様俺様”を貫こうとする姿には感動します。


『ナイト&デイ』の時は、さすがにニヤケ面が辛かったけど、
『アウトロー』ではあまりニヤケ面は出さないし、
相変わらずスタントは全部自分でこなすという役者魂を見せつけてくれる。


outlawcar.jpg


そういうトム様の姿勢は、いつみても素晴らしいと思うのです。


そんなトム様ムービーですが、トム様以外の要素も悪くない。


ハードボイルドだけあって、70年代のポリスアクションとか探偵モノの匂いがした。


故に、現代的な超ド派手なアクションはないんだけど、
それが返って心地よかった。


見せ場のひとつであるカーチェイスも、
ジャンプするとか、オフィスを突っ切るとか、無茶苦茶なシーンはない。


それが『ブリット』や『フレンチ・コネクション』へのオマージュのような気がした。


物語は事件の重要ポイントをバッサリと切り捨てる大胆さがあり、
ちょっと面食らったけど、真犯人に行き着くまでの過程を分かりやすく丁寧に描いている。


この辺は『ユージュアル・サスペクツ』の脚本家クリストファー・マッカリーが、
本作の脚色と監督を手掛けた結果か?


ヒロインは『007 ダイ・アナザー・デイ』でボンドガールを演じたロザムンド・パイク。


outlawroza.jpg


正直、個人的には、可もなく不可もなくなんですが、パツキンでボインで聡明。
これもやはりハードボイルド。


製作陣は相当ローレン・バコールを意識したに違いありません。


それにしても、デカ乳を強調する服で立ち回るのは、逆セクハラです。


一方で脇を固める男優陣は、
リチャード・ジェンキンス、ロバート・デュヴァルという大ベテラン勢に、
『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のデヴィッド・オイェロウォと激シブ。


特にロバート・デュバルの大活躍は、嬉しい限り。
やんちゃなジジィが銃をぶっ放す姿が、こんなにも爽快だとは!
(あっ、もちろん、映画の中での話ですよ。最近、アメリカでは哀しい射殺事件が多過ぎます)


outlawrobart.jpg


また、『アギーレ/神の怒り』や『フィツカラルド』で知られるドイツ人監督、
ヴェルナー・ヘルツォークが重要な役で不気味に登場。


敵役を演じたジェイ・コートニーも健闘。
あくの強い共演者たちにまったく引けを取らない。


次回作はブルース・ウィリス主演の『ダイ・ハード/ラスト・デイ』。
ジョン・マクレーンの息子役を演じ、父親と一緒に大事件に巻き込まれるという。


こちらも楽しみです。


outlawjay.jpg


ちゅうことで、トータル満足のいく作品だったんだけど、
俺様トム様が鼻につく人はダメだろうし、
CGバンバンの豪華で派手なスペクタクルシーンに慣れてしまった若者たちには、
ちょっと物足りないかも・・・。


トム・クルーズは「ミッション」に続いて、新たなシリーズ化を狙っていたようなんだが、
アメリカの成績はボチボチで、続編の製作が危ぶまれているとのこと。


ただ、海外の成績が良ければ、可能性はあり!らしいので、
日本でのヒットを祈るばかり。


ぜひとも続編を作って頂きたい。
ロバート・デュヴァルが、もっと見たいのです。


トム様じゃないのかい!!


と、上手くも、面白くもない一人ノリツッコミ。


お後がよろしいようで。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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