2013年10月15日更新

Def Leppard 「VIVA!Hysteria」Disc1

10月9日、デフ・レパードの超名盤「Hysteria」の完全再現ライブを収録した、
Blu-ray(DVD)+2CDの「VIVA!Hysteria」が発売された。


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オープニングナンバーはなんだろう?とか、
次の曲なんだろう?とか、
そういうのがライブの楽しみの一部だと思っており、
最近流行の名盤完全再現とか、あんまり好きじゃない。


なので、2013年3月から4月にかけて、
ラスベガスのハード・ロック・ホテル&カジノで全11公演、
デフ・レパードが「Hysteria」の完全再現ライブをやると聴いた時に、
正直、「君たちもかい・・・」とあまり興味をそそられなかった。


しかし、こうしてソフト化されると、
ファンとしては、見ない、聴かないわけにはいかない。


ライブソフトとしては、89年に発売された「In the Round In Your Face」以来、
実に24年ぶり。


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LDで持っているのですが、プレイヤーがなくて、遺物と化しています・・・


まずBlu-rayからと思ったのですが、PCのソフトのアップデートがうまくいかず、
諦めてCDから聴くことに。


聴きながら書きます。


1曲目「Women」。
歓声の後、スタジオ盤よりも若干長い、
右のチャンネルから聴こえるフィル・コリンのギターのフィードバックが期待感を煽る。


リック・アレンによるハイハットのカウントの後、
図太い音のイントロのウンギャーギャーン、ウギャギャァ〜ァンにゾクッとして、
その後のリック・サヴェージ(以下、サヴ)のベース音にゾクゾク。


スタジオ盤に比べるとゆったりとしたテンポ。
低音が利いており、どっしり感が増す。


前作のライブアルバム「Mirror Ball」同様、半音下げなので、
スタイオ盤以上に、そう感じるのかもしれない。


ジョー・エリオットの声は、やや抑え気味なんだけど伸びやか。


若い頃は無理して張り上げていたけど、
それではいずれ喉が壊れ、ボーカル生命が短くなる。
だから歌い方を変えたんじゃないかと思う。


スタジオ盤とは微妙に違うフィル・コリンとヴィヴィアン・キャンベル(以下、ヴィヴ)のバッキングや、
サビでのヴィヴの馬のいななきのようなフレーズなど、
生のライブではスルーしてしまうような細かいアレンジに気付けるのは、ライブ盤ならでは。


そして、コード進行に合せた、アドリブを許さないギターソロ。
「Hysteria」収録曲の多くが、ギターソロでアドリブが利かない。
それもこのアルバムの特徴。


良く聴くとヴィヴによるアウトロのギターソロに、
バッキング以外にギターのピロピロ音が聴こえる。


会場でヴィヴのギターのエフェクトが回った音の様。
今の技術ならこういう音は消せそうなものだけど、
返って臨場感があるから残したのかな?





1曲目から聴きどころの満載の「Women」に続き、
2曲目の「Rocket」


イントロSEで悶絶。


跳ねたドラムのリズム、アルベジオのギター、浮遊感のあるギター。
落ち着いたボーカル、美しいコーラス。
もうたまりません。


特にこの曲は特にサヴのベースの音とリックのドラムによる後ノリのハネたリズムが冴える。
音色も心地よい。


「Rocket」は、ライブでは長くなったり、アルバム通りだったり、短くなったりするが、
果たして、この「Hysteria」完全再現ライブではどちらのバージョンか!?


個人的にはロングバージョンがお好みだが・・・、


残念ながらオリジナルアルバム盤。
まぁ、アルバム完全再現なんでね。


それでも「Rocket」に関しては毎度のことですが、ギターソロがもう筆舌に尽くしがたい。





3曲目の「Animal」は、若干走り気味。
前の2曲がゆったりだし、食い気味の曲なので、これぐらいの疾走感がちょうどいい。


この曲もリズム隊のWリックが、安定していていいね。


俯きながら正確なリズムを刻むリック・アレンの姿が目に浮かぶ。


それにしても気持ちがいいなぁー。


CDでも、「お兄ちゃん、ちょっと見たら、エロ本」のところとか、
合いの手入れちゃうよねぇ。





爽やかなデフ・レパードらしいロック・チューンのアウトロの時点で起こる歓声は、
ボボベーンのSEで、さらに大きくなり、
美しい・・・美しすぎる、Dm7 → Gm7 → C7sus4 → Fadd9のアルペジオが鳴る。


2012年の来日公演よりも、はるかに声の出ているジョーの歌が心に染み入る。
惚れるよ。


Aメロあとの泣きのギター。
痺れるよ。


Bメロのコーラス、ギターによるハーフミュートを活かしたオブリガート。
ヤベェよ。


で、キャッチーな歌詞とリフ、キメのサビでしょ・・・。
泣くよ。


本当に凄い曲だ。


何度も聴いている曲なのに、何でこんなに毛穴が開くのだろうか?
これぞ名曲。


こんな凄い曲が、時たまセットリストから外される。
どんなバンドだ、デフ・レパード!





リック以外、全員歌えるってのは、
本当にこのバンドの強みだなぁーって思う。


ライブを見て、コーラスがスゲェーっと思ったのは、
イーグルスなんだけど、デフ・レパードも負けていない。


最後の方のリフレインで、フィルがお得意というか、手グセのフレーズが入る。
こういうのも好き。


ライブだと、アウトロでヴィヴが、凄まじいギターソロを奏でてくれるんだけど、
完全再現ということで残念ながら今回はなし。


「Love Bite」の後、初のMC。


ジョーによる「協力頼むよ!」という要請を受け、
「Step inside walk this way you and me baby!」の後、
観客が「Hey!hey!」。


熱い!!!


この曲はライブではスタジオ盤にある
「Step inside walk this way you and me baby!」なしで始まることが多いので、
スゲー新鮮だった。


イントロの後、一瞬の間があってからジョーのボーカル。
このメリハリも素晴らしい。


至ってシンプルな曲なんだけど、スケール感がある。


数あるデフ・レパードのヒットソングの中でも、
屈指のライブ映えする曲だと思う。


こんな凄い曲が5曲目で登場してしまうのが、
「Hysteria」の完全再現ならでは。


それにしてもツインギターによるギターソロが悶絶級!
同じフレーズを弾いているのにこうも違うか!!



別バージョンのPVも存在しますが、やっぱりコッチでしょう!


CDだとよくわからんが、会場大盛り上がり必至の「Pour Some Sugar On Me」が終わると、
お決まりのジョーによるヴィヴの紹介から、「Armageddon It」。


イントロでアルバムバージョンにはない、ハーフミュートや、
ピッキングハーモニックスを取り入れている。


コマカケェーアレンジ。


これまでフィルのギターの音が前面に出ているような気がしたが、
この辺りからヴィヴのギターも鳴りだす。


なんか、2011年の来日公演もこんな感じだった。


ヴィヴは、ちょいちょいスタジオ盤にはないフレーズを弾いており、
「Armageddon It」は、比較的ヴィヴらしさを出せる曲のように思う。


それにしても、何度聴いても、ギターソロ前のキメと、
「Women」同様、アドリブを許さないギターソロがたまらない。


ブリッジも好きだ。


ちゅうか、全部大好き!





続いては「Gods of War」なのですが、
ここでジョーが、「親友のスティーヴ・クラーク!エレクトロニックギター!」とシャウトした後、
ギターソロ


これは「In the Round In Your Face」でステーヴ・クラークが奏でた、
恐らくアドリブであろうギターソロ。


今回のライブで、ステージのバックスクリーンに「In the Round In Your Face」の映像が、
映し出されるという話は耳にしていた。


映像無しでも、この粋な演出にもう感涙です。


ハイハットのあとベース、そして、あのギターフレーズ。


ヴィヴが弾いているのは分かっている。
でもね、「In the Round In Your Face」の時のスティーヴが、
脳内シアターに映し出されてしまう。


そして、涙。


一連の印象的なリフのあと、
歌が始まった瞬間に左のチャンネルから小さい「キャッー!」という歓声が聴こえる。
気持ちわかります。


ジョーのボーカル、コーラス、リズム隊も本当に素晴らしい。


メンバー全員が、スティーヴを想いながら弾いている。
それが伝わる。


実はここで何度も、何度も、何度も、この曲の頭に戻して再生し直した。
現時点でハイライト。
一向に次の曲「Don't Shoot Shotgun」に辿り着かない。


こんな調子じゃ、一番好きな収録曲「Hysteria」では、どんな感情に陥るんだ?


「Gods Of War」の豪快なSEの後、ライブでは聴いたことのない「Don't Shoot Shotgun」。


このライブアルバムを聴いて気が付いたんだけど、
序盤は、ちょっと「Pour Some Sugar On Me」に似た構成だ。


ボーカルから始まり、間があり、リフ。
そして、ミディアムテンポ。


バンドの特徴であるハーフミュート、ミニマル・アルペジオと、
実はいかにもデフ・レパードらしい曲だったんだな。


なんで今までライブでやらなかったんだろう。


「Hysteria」の収録曲でライブでやらないといえば、
次の「Run Riot」もそう。


スタジオ盤の「Don't Shoot Shotgun」からの間髪入れずのイントロがめっちゃかっこいい。
だからここはつなぎが大切!


がっ!


あぁぁ、間があった・・・。
ハイハットから始まった。


でもこれはこれでかっこいい。


ちゅうか、この曲の重低音はなんだ?
こちらのオーディオ設定変えていないのに、
低音がブリブリで、ボーカルが引っ込んでいる。


「Gods Of War」とは明らかに違う。


俺の耳がおかしいのか?


その引っ込んでいる感じのジョーのボーカルですが、
スタジオ盤とは明らかに違う歌唱法を取っている。


理由はやはり喉の保護なんでしょう。


そんな細かいことはともかく、
お初のライブ盤となる「Run Riot」。
生でみてぇ!!!


先のジョーだけでなく、メンバー全員が、
落語でいうところのクスグリ的なものを入れている。


大きくは崩さないけど、ちょっとアレンジ。


そして、そして、わしの人生で最大に重要な曲。


「Hysteria」。


冷静には聴けません。


こんなにもすべてがビューティフルな曲があるだろうか?


言葉になりません。
文章に出来ません。





ということで、次。


メタル無頼漢・佐藤アサトが、
ずーーーーーーーーーーとライブで聴きたいと言っていた「Excitable」。
果たして・・・。


SEはスタジオのまんま。
このSEとライブの生音の接続が、違和感あるようなないような・・・。


いや・・・ないか。


フィルのフランジャーがかかったギターの音色がいい。
スタジオ盤の雰囲気を醸し出している。


SEを多用する曲なので、リズムがずれると大変なことになりそう。
故に、リックのリズムテンポの維持が要になる曲なのかな。


数あるデフ・レパードの曲の中でも異彩を放つ一曲で、
実はあまり好きな曲じゃなかったんだけど、
何時の頃からか、違和感なく聴けるようになった。


そんな思い出のある「Excitable」の次、
ラストを締めくくるのは、
ネルソンの「Love And Affection」!!!!



メタルファンからは総スカンだけど、結構好きです。


というオヤジボケは無視。


この曲も「Don't Shoot Shotgun」「Run Riot」同様、
今ではほとんどライブでは演奏されない曲なんだけど、
ライブ音源としては、日本盤「Hysteria」のボーナストラックとして模様が収録されている。


バンドとしても、とても久しぶりに演奏したんじゃないかな?


ジョーのボーカルも良いんだけど、
フィルとヴィヴの低いパートのコーラスが、
おぉ!と思える一瞬。


短いフィルのギターソロからバッキング戻る流れは、
ライブだからこそ。


キャッチーなギタメロ、ウタメロ、安定したリズム隊。
曲のメリハリ。
感動的なサビの盛り上がり。
ライブバンド、デフ・レパードらしい。


そして、この曲で本編はラスト。


好きなアルバムはたくさんある。
でもこの「VIVA!Hysteria」を聴いて確信した。


人生でもっとも好きなアルバムが「Hysteria」であることを。


イーグルスの「Hotel California」でも
ドゥービー・ブラーザーズの「Captain And Me」でも
ビートルズのアルバムでもない。


俺はデフ・レパードの「Hysteria」が最も好きだ。
好きで、好きでたまりません。


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自宅の壁にもレコード飾っています。


多分、今後、これだけ愛せるアルバムには、
一生出会うことはないと思う。


俺の葬式で、お経の代わりに、「Hysteria」を流して欲しい。
これは時期を見て遺書に書くと決めた。


そんな「Hysteria」LOVEのラスベガス公演は、
まだ終わっていません。


アンコール。


いつものライブだったらアンコール前の「Rock Of Ages」が、
アンコールの幕開け。


曲の流れも「Hysteria」完全再現だと置き場が代わり、聴き手の印象も変わる。


まぁ、どこに置いても、この曲は盛り上がりますよ。


最強のロックアンセムのフィードバックに続き、
そのまま間髪入れずに始まる「Photografh」。


この「Rock Of Ages」から「Photografh」への流れは、
普段ライブでやらない曲をやる以上の新鮮さを放っていた。


デフ・レパード=この曲というイメージがあり、ナツメロ扱いされるので、
あまり「Photografh」をデフ・レパードの代表作と謳いたくないんだけど、
やっぱり名曲だなぁ。


さてさて、アルバム「VIVA!Hysteria」ですが、
聴いた結果、感じるところが多々ありました、


「Women」「Rocket」は、始まった!というカオス。


「Animal」は、ちょっと馴染んで定番盛り上がり。


「Love Bites」は、感涙。


「Pour Some Sugar On Me」「Armageddon It」で笑顔。


「Gods Of War」で嗚咽。


「Don't Shoot Shotgun」「Run Riot」で新鮮。


「Hysteria」で、思い出プレイバック


「Excitalbe」で、再びアッパー。


「Love And Affection」で、しっとりと気持ちよく終わる。


1枚のアルバムを通して、いろんな気分にさせてくれる。
本当にとんでもないアルバムなんだなって、
改めて痛感させられた。


スタジオ盤「Hysteria」は、キャッチーでありながら、
何度聴いても新しい発見があった。


この完全再現のライブ盤も、新規発見と驚きに満ちていました。


正直、「VIVA!Hysteria」は、
デフ・レパードのファンじゃないと手に取らないと思う。


まぁ、この文章もファン以外読まないでしょう。


でも、未聴の方がもしも読んでくれたなら、
「Hysteria」を買って、聴いて欲しい。


願わくば、音が凄まじく良くなった
デラックス・ディションをご購入頂きたいのですが、
そこまで金をかけらないのであれば、
旧規格のCDは、BookOffやDisc Unionで500円以下で入手可能です。
(残念だけど仕方ない。)


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で、メイビー、最初は「どこがいいの?」と思うはず。
小生もそうでした。


そこで、今の時代に合せて、youtube併用を推奨。


ライブでもPVでもいいから、「Hysteria」収録曲の映像見て下さい。


お勧めは、「In the Round In Your Face」!



これで馴染んで、またCD聴いて下さい。


よく「Hysteria」は、モンスターアルバムと評されるんだけど、
それは2000万枚という天文学的な売上を記録したことによるケースが多い。


でもね、売った数字じゃなんだよね。


「VIVA!Hysteria」を聴くに、
発売から25年経っても、未だに進化出来て、
人々が求めていることがわかる。


そこがモンスター。


だから、聴いて欲しい。


追記


「In the Round In Your Face」をyoutubeで改め見たのですが、
当時のバンドの勢いを象徴するかのようなファストリズムが良いし、
カット多用の編集も素晴らしい。


今のライブ映像ってのっぺりとしていませんか?
ライブ映像を作っている制作会社は、これ見た方が良いと思う。


「VIVA!Hysteria」のDisc2は追って書きます。

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コメント (3)

こんにちは、検索でたどりつきました、
デフ・レパードに詳しいかたの記事を探していたのですが、
こちらの記事をうちのブログ本文にリンクしてもよろしいでしょうか、
問題があればご連絡ください、
よろしくお願いいたします。

伊藤P:

リンクの件ですが、いかがわしいサイト等でなかれば全く問題ございません。
よろしくお願い致します。

pacopage:

ビートルズ大好きの47歳ですが、これ、屈指のアルバムだと思います。パイロメニアも素晴らしかったんですが、それをはるかに超える素晴らしいアルバムだと思います。デフレパードはこの2枚で・・・

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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