2018年02月13日更新

パット・トーピー

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MR.BIGのドラマー、パット・トーピー逝く。


2月8日の日中に届いた突然の訃報。
オフィスのデスクで知り、愕然とした。


だって半年前の去年9月に日本武道館のステージに立っていたじゃないかっ!


死因はパーキンソン病による合併症。


勿論、パットがパーキンソン病なのは知っていた。


でも、同じくパーキンソン病を患っているマイケル・J・フォックスは、
パットよりもかなり前に発症し、今も生きている。


モハメド・アリは、42歳の時にパーキンソン病と診断されて、
74歳で没するまで生きた。


医学に疎い者として、
パーキンソン病が死に直結するような病だなんて、思ってもいなかった。


ゆえにパットの死は、唐突で衝撃的なニュースだった。


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MR.BIGは結成時、聴けばこの人とわかる歌唱力の持ち主であるエリック・マーティン、
超絶プレイで知られるポール・ギルバートとビリー・シーンがバンドを組むということで、
スーパーバンドの触れ込みだった。


実績、知名度のあった3人に比べると、
ドラマーのパットは、テッド・ニュージェントやインペリテリといった、
名の知られたバンドで叩いてはいたが、ちょっと地味な存在。


そのプレイも手数はそれほど多くなく、派手さ控え目。


でも間違いなくMR.BIGの屋台骨を支えているのは、パットだ。


良く動くビリー・シーンのベースに対して、
タイトなドラミングで呼応する。


この2人のリズム隊の凸凹コンビネーションによって、
MR.BIGにしか成しえないグルーブが生まれ、
上物のボーカルとギターが活きる。


そして、各メンバーの個性が一体となり、
MR.BIGという唯一無二のフィルターを通した楽曲が、
我々ファンの元に届けられる。


パットは、ここ最近の2枚のアルバムでは、
実際にドラムを叩いていないが、
パットの意見を採り入れて打ち込みがなされている。


もう4人揃ってのMR.BIGは、聴けない、見られない…。


パットがこの世を去った日の帰宅時に、
iPodに入れてあるMR.BIGの代表曲を聴きながら帰った。


そのドラミングはやはりタイトなんだけど、
安定していて、かつパワフル。


スネア、ハイハット、シンバル、タム、バスドラ。
どの音も力強い。


若い頃の写真を見るとメッチャ腕太い。
パワーヒッターなわけだ。


では、パットが技巧派ではないかというとそんなことはなく、
スティックコントロールやバスドラの連打は驚異的。





この映像を見ると、正確なリズムを刻む人間メトロノーム。


ついでに歌も上手い。





そして、何よりもパットのドラミングで印象的なのが、笑顔!


いつも楽しそうに、にこやかに叩いている。


本当にドラムが好きなんだろうなぁ〜。


そんな大好きなドラムが、
パーキンソン病によって思うように叩けなくなった時の絶望感は、
当事者でないと解り得ないけれど、
相当辛いということは想像に難くない。


発症時、パットはかなりナーバスになったそうだが、
病気と付き合って生きて行くことを受け入れてからは、
前向きになれたと言っていた。


2014年のアルバム「...The Stories We Could Tell」リリース時に開催された、
クラブチッタ川崎でのイベントに行ったんだが、
既にパーキンソン病に蝕まれていたパットは、
体調が優れないよで、ちょっと辛そうだった。


それでも集まったファンのために笑顔でいようとしていた。


パットは天才肌ではなく、努力の人であったという。


上手くいかなくても腐らず、少しずつでも前進していく。
そんな性格だからこそ病気になっても、
ファンの前、特に日本のファンの前では、
笑顔でいてくれたのでしょう。


MR.BIGにとって日本が特別な国であることは、
メンバー全員が口にしている周知の事実。


本国アメリカでの人気は、
1991年の2nd「Lean Into It」をピークに、
下降の一途をたどったが、日本では根強い人気を保ち続けた。


外タレは、東京と大阪のみの公演が多いが、
MR.BIGの来日ツアーは、全国主要都市を回る。


2011年4月7日、盛岡市民文化ホール(キャパ1500人)での公演は、
東日本大震災後、海外アーティストとして初めて東北で行ったライブだ。


「The World Is On The Way」は、
メンバーたちの日本への思いが詰まった落涙必至の震災支援ソング。





ファンはMR.BIGを愛し、バンドはそれに応えてくれた。


この記事を書くにあたり、MR.BIGの楽曲を聴き、
YouTubeでLIVEやパットの教則ビデオの映像を見た。


改めてMR.BIGの名曲の多さに感服。


そしてLIVE映像を見ると、
やっぱりパットは笑いながら叩いている。


パット、たくさんの感動をありがとう!


パットのことをイメージすると、
笑っている顔しか浮かばない。
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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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