2009年09月10日更新

#408 『キラー・ヴァージンロード』


キラー・ヴァージンロード

『キラー・ヴァージンロード』

9/12より全国東宝系にて
配給会社:東宝
(C)2009 「キラー・ヴァージンロード」製作委員会




結婚式前日に誤ってアパートの管理人を刺殺してしまった沼尻ひろ子は、
“どうしても結婚がしたい!”ということで、遺体をスーツケースに入れ、
盗んだ車で青木ヶ原樹海へと向かう。


そこで、男に振られまくり、自殺を試みるも死に切れない女、小林福子と出会い、
2人の珍道中が始まる。


キラー・ヴァージンロード


冒頭からいきなりアクの強いミュージカルで幕を開ける。


監督の岸谷五朗は『FROGS on Screen』というミュージカルの演出も手掛けているし、
奥さんはプリプリの奥居香だし(って、これは関係ないか・・・)、
ミュージカルが出てくるのは必然なのかもしれないけど、
このジャンルが苦手なので一瞬たじろいだ。


しかしながら、全編ミュージカルではなかったので、
一安心したものの、アクが強いというか、妙なテンションが常に全編を支配している。


そのテンションとは言ってしまえば、“悪ノリ”。


あまりの馬鹿馬鹿しさに、
「天下の東宝もこの手の映画を配給するんだ」と妙な関心をしてしまった。


さっきまで青木ヶ原樹海にいたのに、道路の標識が秩父という、、
ジャック・バウワーの如き、不可能な移動を含め、
そんなんあるわけないじゃん!的な要素がてんこ盛りなんだけど、
まぁ、ナンセンスコメディなんてこんなもんでしょう。


問題はコメディとしては、あんまり笑えないってことかな。


ひろ子と福子の行動が笑えないので、
あまりギャグが成立しないのが残念だ。


ひろ子を演じた上野樹里は、コメディエンヌとして評価が高いけど、
今回は役柄的に振り切れていないような気がする。


キラー・ヴァージンロード


それはひろ子の役がそういう役だから仕方ないのかもしれない。
イマイチ、ひろ子に好感が持てなかったんだよね。
どっちかといえば、イライラする。


上手くいかないのを笑いにするのが、
この手のコメディの真骨頂だと思うんだけど、
それが出来ていない。


そして、福子役の木村佳乃は、どう見てもコメディという感じじゃない。
鋭い眼差しだからか、どこか怖い。
軽い感じになるべきシーンが、重くなってしまう。


一番のギャグは、スーツケースに跨ったひろ子と福子が、
雑木林を滑り落ちるシーンだね。


キラー・ヴァージンロード


これって、木村佳乃が出演している三井住友銀行の、
「ご利用は計画的に!」とあんまりかわんなくねぇ?って。


「お問い合わせは0120-923-923!」って、
出来の悪いセルフパロディみたいで、笑ってしまった。


それでも90分間、一気に見せてしまう勢いがある。


笑えないけど、決して退屈するというわけではない。


コメディとしては物足りないけど、ロードムービーとして見れば、
上野樹理は適役だと思うし、
木村佳乃の新しい一面も見られる。


キラー・ヴァージンロード


脇役だけど、寺脇康文も中々、ナイス。
最初、寺脇さんだって分からなかった。


この役は、昔だったら間違いなく竹中直人がやっていたに違いない。


それはともかく、上野樹理、寺脇康文、小倉久寛、小出恵介、小松彩夏、
ついでに主題歌の福山雅治、
更には監督の岸谷五朗までアミューズ所属。


スターダストに負けてなるものか!


という感じでしょうか?


あっ、これは映画の中身とは関係ないですね。


正直、鑑賞直後に内容というか、見たことすら忘れちゃうんだけど、
見ている最中はそれなりに楽しめる。


そんなライトな作品でした。


旬な女優が出ているし、ポップな感じだし、軽いし、上映時間短いし、
デート・ムービーとしては最適なのではないでしょうか?


特に初デート・ムービーは、これぐらいが無難でしょう。


なんて書いていたら、なんか嫌なこと思い出した。


大学1年生の時、初デートで何を血迷ったのか、
ホウ・シャオシェンの『戯夢人生』を選んだことあってさ・・・。


上映終了後、2人とも“どよぉ〜ん”って雰囲気で、
もろクリスマスの時期だったんだけど、
ディナーも無いまま日比谷シャンテ前で別れた。


その後、その子と進展は・・・


あるわけない!


以降、デート時には慎重な作品選考が行われるようになったのであります。


しかしながら、厳選した割には、実りはなったな・・・、
そんな俺の青春。

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コメント (1)

なおみ:

そう言えば、岸谷五朗さんとバライティー番組に出ている時、樹理さんが納得ゆくリハーサルが出来ていなかった心境を話していましたね。恩人の五朗さんに対して、後で考えると無意識でしょうが、遠慮があったみたいな、納得いく答えを戦わせて導くことが出来なかったみたいですね。
嫌われたくないという思いでしょうか?
映画で今一、主人公に命を吹き込めなかったのはそれが原因か?
考え過ぎなら良いが・・・?

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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