![]() 10/24よりTOHOシネマズみゆき座ほか全国にて 配給会社:東宝東和 (C)2009 Universal Studios. All Rights Reserved. |
1966年、イギリス。
北海に浮かぶ船クエンティンは海賊ラジオ局。
1日45分しかロックをかける時間がないBBCラジオに対する若者たちのストレスを発散すべく、
この海賊ラジオ局は24時間、ご機嫌なヒットチューンを流していた。
しかし、イギリス政府はこの海賊ラジオ局を疎ましく思い、
撲滅すべく動き出す。
かくして、海賊ラジオ局VSイギリス政府の戦いの火蓋が気って落とされた!
1966年といえば、
ビートルズがライブ活動を止めスタジオに篭りだし、
THE WHOが後のコンセプトアルバムの名盤「トミー」に繋がる「ア・クィック・ワン」を発表し、
エリック・クラプトンがブルースブレイカーズに参加し、
ローリング・ストーンズが「黒くぬれ」をリリースした頃。
ブリティッシュ・ロックが世界中を席捲していた時代だ。
しかし!この時、イギリスに民放ラジオ局は存在せず、BBCラジオのみで、
そのBBCはロックを1日45分しか流していなかった!!!
これが事実であることに、まずビックリした。
そして、本当に海賊ラジオ局が存在し、
『パレイーツ・ロック』の中で語られるように、
若者たちから絶大なる支持を得ていたこと、
そして、イギリス政府が法的な圧力をかけてきたこと、
これらが全て事実であることにも驚いた。
ロック好きとか言っておきながら、
この史実を知らなかったとは・・・なんとも情けない・・・
でも、こうしてこういうロックの歴史を知ることが出来た。
やっぱり映画は勉強になるね。
劇中、キンクス、ジェフ・ベック、ローリング・ストーンズ、ヤードバーズ、クリーム、
スモール・ファイセズ、THE WHOといったイギリスのアーティストたちの楽曲だけでなく、
シュープリームス、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、
アイズレー・ブラザース、オーティス・レディングといったアメリカ出身のロックというよりは、
R&Bの名曲もガンガンかかる。
しかしながら、
この頃の音楽はロックだ、R&Bだというようなジャンル分をあまりせず聴いていたので、なんら問題なし。
セックス・ドラッグ・ロックンロールではなく
シネマ・アルコール・ロックンロールな人生を歩んできた者として、
この手の作品が嫌いなわけがない。
ロックを聴いているだけで、気持ち良くなるね。
ジミ・ヘンドリックスの“The Wind Cries Mary”と
プロコル・ハルムの“青い影”が特に沁みた・・・。
確か、ジミヘンのこの曲は、
かつて「日曜洋画劇場」のスポンサーだったレナウンのCMで使用されていたっけ。
映画小僧は当たり前のように「日曜洋画劇場」を見ていたので、
何度もこのCMを目にした。
まだ、ジミヘンをちゃんと聴いたことのない頃だったけど、カッコイイ曲だと思った。
プロコル・ハルムの“青い影”は、映画『再会の時』でも使用されていて、
サントラ買って聴きまくった。
なんとも荘厳な曲です。
こうやって思い返すと、映画が入り口でロックを知ったという部分もあるなぁ。
小中の頃は、サントラ全盛期だったし。
とまぁ、ロックばかりの話をしておりますが、
『パイレーツ・ロック』はロックを抜きにしても、良く出来た映画だと思う。
多くのキャラクターが登場する群像劇で、
ストーリーの展開で見せるというよりは、
各エピソードを積み上げていく作品だ。
で、最終的にきちんとラストに集約させている。
上手いなぁ〜って。
しかも後半は、超大作でっせ!
更に幸せな気分になれる!
![パイレーツ・ロック](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/pr3.jpg)
監督と脚本を手掛けたのはリチャード・カーティス。
『ラブ・アクチュアリー』もそうだったけど、
こういう脚本を書けるのはやっぱり凄いと思う。
各キャラクターの個性が際立っていて、
それ自体がコメディとして成立している。
DJたちの間で繰り広げられる60秒クイズとか下ネタ(排泄物ネタ込)とか、
本筋とはあまり関係ないんだけどかなり笑えた。
キャスティングもバッチリ。
『あの頃、ペニー・レインと』で伝説的なロック・ライターを演じたフィリップ・シーモア・ホフマン、
『スティル・クレイジー』でしなびたロック親父を素敵に体現したビル・ナイと、
この2人だけで“ラブ・ロック!”てな感じで、説得力が増す。
他にもリス・エヴァンス、ケネス・ブラナー、ケネスの元妻エマ・トンプソンと、
実力派が多数出演。
![パイレーツ・ロック](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/pr2.jpg)
ちょっとムサイ役者もバンバン出てくるけど、
みんなドンピシャではまっている。
ただ、客が呼べるスターがいない・・・
作品的にターゲットが限定されてしまう可能性が高いし
田舎のおばちゃん、おじちゃんが知っているような知名度のあるスターも出ていない。
この映画を当てるのは、相当難しいんじゃないかな。
でもね、「私、ロック知らないしぃぃぃ」とか、
「知っている人が出ていないしぃぃぃ」とかいった理由で、
本作をスルーしてしまうのは本当に勿体無い。
ポイントはロックを知らなくても、出ている役者を知らなくても、
『ラブ・アクチュアリー』の監督作品なので
見れば幸せな気分になれる!ってところかな?