![]() 12/19よりシアターN渋谷ほか全国順次公開 配給会社:ブロード・メディア・スタジオ、ポニーキャニオン (C) 2007 WWE Films, Inc. |
死刑宣告を受けた囚人10名が孤島に集められ殺し合い、
生き残った一名が自由の身になれる。
彼らの命がけの壮絶バトルを描いたアクション映画。
この戦いの模様を伝えるメディアがインターネットに変わったくらいで、
同じ様な内容の映画は既にいくつか存在する。
目新しさはあまりないし、出演者たちのネームバリューとその設定から、
誰がどんな役割でどう物語が展開されるのかも大体想像がつく。
かと言って退屈する訳でもない。
アクションもCGを使わず、
昔ながらの本物のアクションを目指している。
なので、“昔はこの手のジャンルあったなぁ〜、なんか懐かしいなぁ〜”
なんて思いながら見ていた。
![監獄島](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/kangoku2.jpg)
ただせっかく有りきたりの設定にするなら、
もう少しスティーブ・オースチン演じる主人公を魅力的にして欲しかったかな。
まぁ、キャラクターの深みのなさも80年代を踏襲してるちゃしているのかも。
逆にヴィニー・ジョーンズが演じた敵役の方が、
キャラクターとして面白く印象にも残った。
で、本作の主演スティーブ・オースティンは、
アメリカのプロレス団体WWEのスター選手。
何度かWWEを離脱しているうえ、現在は事実上引退していて、
俳優、レフェリーとしてWWEと契約を交わしている。
WWEは、プロレス興行だけでなく映画製作にも積極的に取り組んでいて、
本作は、ケイン主演のスプラッタ・ホラー『シー・ノー・イーヴル 肉鉤のいけにえ』('06)、
ジョン・シナのアクション『ネバー・サレンダー 肉弾凶器』('06)に続く、
WWE FILM製作第3弾となる。
このWWFは、アングル(試合を面白くするために予め用意された筋書き)や、
ギミック(アングルを面白くするためのプロレスラーのキャラクター)が売りの団体。
試合以上に、選手やビンス・マクマホン社長や美人マネージャー、
他の企業の実業家(ドナルド・トランプとか)たちまでをも巻き込んだ人間ドラマが面白かったりする。
その演出は、視聴率を取るために時として過剰となる。
更に人気に陰りが見えると選手をバッサリと切ってしまうドラスティックなところもある。
つまり、選手は視聴率を取るためのコマでしかないのだ。
その辺は、ドキュメンタリー映画『ビョンド・ザ・マット』で詳しく描かれているので、
興味があればご覧頂きたい。
視聴率大好き!なWWEが、アクセス数を稼ぐために、
人を人と思わないような過激な映像を
インターネットで流すことの是非を問う作品を製作しているのが面白い。
現在はWWEに所属しているものの、何度か辞めていることから察するに、
スティーブ・オースチンは、会社に対して色々と不満があったに違いない。
この映画の脚本を持って来たのはスティーブ・オースチンらしいので、
彼なりのメッセージがこの映画に込められているのかも。
あるいは、テレビよりも過激な映像が何の規制もなくネットで配信されていることに対して、
驚異を感じたのかもしれない。
![監獄島](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/kangoku3.jpg)
私は富豪のTVプロデューサー。ビンス・マクマホンのような存在です。
因みに本作は、最近のアクション映画にしては珍しく、
内容の割りにそれほど直接的な残酷描写がない。
それすらも何か意味があるのでは?と勘ぐってしまう。
なーんて、ことはどうでもよくって、
全てに至ってオーソドックスな作品であり、
113分間頭を空っぽにして楽しむべき映画でしょう。
※残酷な描写が少ないと書いているが、本作はしっかり“R15+”指定。
本当に今の15歳以下の映画ファンは恵まれていない。
この映画が少年・少女へどれだけ悪影響を与えるのかね?