2006年09月19日更新

#125 「自分探しの映画」

今年は“女性の自分探し映画”が多い。


以前も本コラムで触れた「嫌われ松子の一生」、「初恋」、「やわらかい生活」等々。


9月にも同じようなテーマ性を持った作品が登場する。


恋の訪れを待つフリーター(池脇千鶴)とデリヘル嬢(中村優子)、結婚に憧れるOL(中越典子)と過食症のイラストレーター(岩瀬塔子)。この性格バラバラの4人が繰り広げる自分探求映画「ストロベリーショートケイクス」。

同世代の女性が見たら結構グサグサ刺さるであろうエピソードが結構ある(らしい)。

デリヘル嬢が、男友達から言われる一言が強烈に痛かったり、結婚願望OLが取る行動が、劇中の加瀬亮(あんた最高!)同様、うざいと思えたり、またそのOLがそういう男に引っかかってしまうもどかしさとか、女同士のいがみ合いとか、男の伊藤Pが見ても「ある!ある!!」って思ってしまうほどリアルだったりする。

そんな“痛い女性”が出てくるのですが、彼女たちが負けずに、戸惑いながら、傷つきながら生きていく姿には勇気を貰える。カミングスーンTV女性スタッフは見た方が良いな。

さて、もう一本は実話ベースの「フラガール」。昭和40年、福島県常磐。鉱山人員削減と暗い影を落とす町の活性化のために、“常磐ハワイアンセンター”建設プロジェクトが立ち上がる。

目玉となるフラダンスショーで踊るのは町の炭鉱娘(蒼井優、静ちゃんほか)。彼女たちを教えるために東京から呼び寄せられる元花形ダンサーの平山先生(松雪泰子)。お堅い町の面々が反発を示すなか、果たして無事にオープンできるのか?フラダンスは大丈夫なのか!?という笑いあり、涙ありのお話。

そして、今回のコラムのテーマである、“自分探し”なのですが、平山先生は“訳アリ”で、自暴自棄だし、蒼井優演じる紀美子も家を飛び出し、行き場を失っている。町の炭鉱娘たちも、町に押し寄せる不景気の波に不安を抱いている。

そんな彼女たちがフラダンスを教え、習い、踊ることにより、互いを理解し、やがて自分の居場所を見つけていく姿を、時に厳しく、時にユーモラスに、そして、爽やかに描いている。


いやー、今のところ伊藤P、2006年度邦画ベスト1です。


狙った泣かせ所はある。でもあんまり嫌らしくなくて、素直に泣ける。

そして、最大のポイントは、松雪泰子も蒼井優も静ちゃんも、ダンスシーン代役無し!マジでやっています。これが最大の感動です。

何かに熱中することによって、自分の居場所を見つけられたってことっすかね。

知り合いのキャリアウーマンが、「私なんて居なくても別に世の中は困らないし、誰かが私の代わりに仕事をしてくれると思う」と言ったことがある。

伊藤Pもそういった心境を経験をしたことがあるので、その女性の気持ちが凄く良くわかった。

“自分探し映画”が多いのって、今の日本社会の現状を表していると思う。きっと女性に限らず多くの人が、そういう情況に悩んでいるってことなんでしょう。

今回紹介した2作品は、勿論、悩み無用の人が見ても色々と感じる事のできる作品だけど、悩みを抱えて苦しんでいる人たちに、是非見てもらいたいな。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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