2008年04月25日更新

#215 『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』

いやー、強烈な作品だった。


映像、演技、音楽、スケール、何もかもが圧倒的だった。




ゼア・ウィル・ビー・ブラッド
『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』
4/26よりシャンテ・シネほか全国にて順次公開
配給会社:ウォルト ディズニー スタジオ モーション ピクチャーズ ジャパン




20世紀初頭、油田掘削で財を成したダニエル・プレインヴュー。
欲にまみれた彼の破滅までの道のりを描いた人間ドラマ。


ファーストショット。
鉱山が映し出され、サイレンようなスコアがかかる。
もうここからガーンって感じ。


何かが起こる。
そんな予感がする警告音。


ここから約数十分間、セリフは一切無い。


黙々と穴を掘るプレインヴュー。
石油掘りがいかに危険な作業であるかを、
淡々と描いているのだが、とてつもない緊張感がある。


凄いよ、このオープニングは。
ここだけでも必見だ。


そして、プレインヴューは石油の掘削中に事故で死んだ仲間の子供、
H.W.を引き取り、とある町で石油を掘り当て莫大な財産を手中に収める。


H.W.への期待と失望と溝。
町の狂信的な牧師イーライ・サンデーとの確執。


石油という名のドス黒い液体に浸かり、
富と権力を欲しいままにするあまり、
次第に疑心暗鬼を募らせ、誰も信じられなくなり、破滅へと突き進むプレインヴュー。


冒頭から終わりまで、抑制の効いた映像の中、時に感情と石油を爆発させつつ、
絶妙な緊迫感を維持しながらプレインヴューの生き様を一気に見せる。


吸えるものは、石油でも金でも人でもミルクシェイクでもなんでも吸い尽くす!!


I dirnk it up!


すべて吸い尽くした時、果たしてプレインヴューは・・・・


本当に滑稽で、可哀相なプレインヴュー。
孤独な男は哀れよのぉ。
彼の姿を見て、人間こうなっちゃいかんと思った。


ゼア・ウィル・ビー・ブラッド


本作でアカデミー主演男優賞を受賞したダニエル・デイ=ルイス。
こりゃ、誰も勝てないよ、ってぐらい凄まじい。


『ギャング・オブ・ニューヨーク』でもそうだったけど、
何をしでかすかわからない、
狂気じみたオッサンを演じさせたら天下一品だね。


是非、いつかジャック・ニコルソンと気狂い合戦を繰り広げて欲しい。


戦いといえば、
プレインヴューと対立する牧師を演じたボール・ダノも相当キモイ。
なよなよしているくせに、ナルシストで貪欲でしたたか者で負けず嫌い。


ある意味似た者同士の2人の戦いは今年のベストバウトになるかもしれない。
教会での洗礼シーンとか凄すぎて可笑しいもん。


役者たちの演技だけでなく、セット、美術、衣装、撮影、
どれもが素晴らしい。


特にレディオヘッドのジョニー・グリーンウッドが手掛けた音楽。


前もアカデミー賞の予想の時に書いたけど、
なんでノミネートされないの?ってぐらい良かった。


先述のサイレンもそうだし、
なんでこのシーンにこの音楽を!?と思わせておいて、
実はその後を暗示させる劇盤の付け方には唸るばかりだ。


衝撃のラストシーンの後のエンドロールでかかる音楽の使い方なんて、
本当にセンスがあると思う。
グリーンウッドの音楽なくして、本作は絶対に成立しない。


ito_20080425_03.jpg


さてさて、『ブギーナイツ』、『マグノリア』で群像劇を撮ってきた
ポール・トーマス・アンダーソン監督が、
『パンチドランク・ラブ』以来、5年ぶりに撮った本作。


得意の群像劇を封印し、クラシック映画的なアプローチをとりながらも、
奇抜なアイディアとユーモアに満ちたPTA色が、色濃く反映されている。


いやー、伊藤Pレベルの文章力では、
とてもこの映画の凄さを伝えることが出来ないっすよ。


“百聞は一見に如かず”
是非、劇場で“体感”して欲しい一本。


で、見たらコレを見て下さい。
(絶対に本作を見てからにしてくださいね!)

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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