2008年06月03日更新

#226 『築地魚河岸三代目』

ちょっと前に、『築地魚河岸三代目』というタイトルで、
大沢たかおが魚屋エプロンを身に着けて、
魚を抱えながらニカッと笑っているビジュアルの試写状が届いた。


制作・配給を確認すると松竹。


人気コミックの映画化だというけど、そのコミックを知らない伊藤Pは、
「なんなんだこの映画は?」ってのが第一印象。


誰に向けて作られた作品なのだ?
松竹はどこへ向かっているのだ?
物凄い疑問を感じた。


個人的なポイントは田中麗奈が出演していることぐらいだったんだけど、
その田中麗奈の取材が出来るかも、ということで見に行った。




築地魚河岸三代目
『築地魚河岸三代目』
6/7より丸の内ピカデリー2ほか全国にて
配給会社:松竹




自分の仕事に違和感を感じていたエリートサラリーマンが、
恋人の実家である築地魚河岸の仲卸店を手伝おうことになる。
慣れない環境に悪戦苦闘するも、やがて自分が失っていた大切なものに気付き始める。


物語もありきたりで、新鮮味がない。
宣材物(宣伝材料:ポスター、チラシなど)もマイナスな印象を与えている。


でも、見たら人情劇として普通に面白かった。
逆に今時、これだけベタな映画は珍しいし貴重かも。


ラストの展開が、ちょっと強引なので、
個人的には“違うだろう!”って思うところもあったけど、
“悪い人が出てこない”定番人情劇で、かなり好感の持てる作品だった。


なーんて思っていたら、公開する前にシリーズ化が決定した。


築地魚河岸三代目


松竹のシリーズものといえば『男はつらいよ』。
しかし、このギネス記録を持つシリーズは、渥美清の死によって終焉を迎える。


その穴を埋めたのが、『釣バカ日誌』。


『男はつらいよ』と併映されたこの作品は、
その作品の面白さが評判となり、
『男はつらいよ』の後継作品としてシリーズ化されていく。


しかし、重要人物であるスーさん演じる三國連太郎は、現在85才。
浜ちゃんこと西田敏行も、数年前に大病を患って休養した。


松竹側もそろそろ次の国民的人気シリーズを考える必要があったわけだ。


日本映画の発展を考えれば、ウェルカムだと思う。


ただ、とても心配だ。


『男はつらいよ』は、元々テレビシリーズだった。
寅さんが蛇に噛まれて死ぬというラストに対して、視聴者からの抗議が殺到。
仕方なく映画化の話が浮上。
しかも、松竹はかなり渋った。


ところが、これが松竹最大の人気シリーズになった。


『釣バカ日誌』も、最初は『男はつらいよ』の併映で、
松竹も大して力を入れていなかった。
でもファンが後押しして、今に至っている。


当たり前といえば、当たり前の話なんだけど、
『男はつらいよ』や『釣バカ日誌』は、ファンが国民的映画にしたわけだ。


でも、今回はファンより先に、松竹が“国民的映画”と決めてしまった。


これで上手く行くかなぁーって。


築地魚河岸三代目


国民的映画はあった方が良いし、
『築地魚河岸三代目』も内容的に成り得る可能性を秘めているけど、
ファンの後押しあってこその“国民的映画”だと思うんだよね。


10月に公開される『釣りバカ日誌』と同時上映にして、
ファンに認知させてから徐々にスライドさせた方が良かったのでは?






『築地魚河岸三代目』
※田中麗奈 インタビュー 動画テキスト

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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