2008年08月20日更新

#264 『グローバル・メタル』

“ヘヴィ・メタルは何故、嫌われるのか?”
というメタル・ファンだったら、一度は考えるこの疑問に、
熱烈なメタル・ファンにして、人類学者であるカナダ人のサム・ダンが、
学術的に挑んだドキュメンタリー『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』


この作品の取材やプロモーションで、
世界各国を回ったサムと共同監督のスコット・マクフェイデンは、
メタルなど聴かれていないと思っていた国々にも、メタルが浸透し、
さらにはその国ならではのシーンを形成していることを知る。


このメタルのグローバル化を追ったのが、
メタル・ドキュメンタリー第2弾となる『グローバル・メタル』だ。




グローバル・メタル
『グローバル・メタル』
8/23よりアミューズCQN(レイト)ほかにて
配給会社:アミューズソフトエンタテインメント




まず、その取材力と分量が凄い。
ブラジル、日本、中国、インド、イスラエル、イランなどで、
両監督曰く、取材したテープの分数は350分に及んだそうな。


それを93分にする・・・ひいぃぃぃぃぃだね。
こりゃ大変だ。


そんな苦労もあってか、なかなか良くまとまっている。


伊藤Pは高校生の時に友達の影響で、ハードロック/ヘヴィ・メタル(HR/HM)を聴き始めた。
メタリカ、モトリー・クルー、イングヴェイ・マルムスティーン、
スレイヤー、スコーピオンズ、アイアン・メイデン、ガンズ&ローゼス、
デフ・レパード、ヴァン・ヘイレン、ボン・ジョビ、スキッド・ロウなど。
こうやって並べると、結構、王道ですな。


聴き始めた理由は、このジャンルの曲をを聴いて“背中に電流が走った”から。
まぁ、単にカッコイイと思ったんですね。


それに対して『グローバル・メタル』に登場する国々の中には、
命がけでこの手のジャンルを聴いている人たちが登場する。


独裁政権、貧富の差、宗教的支配といった、
その国にある様々な社会問題に対して発せられる、
支配下層の人々の声を代弁するのがメタルなわけだ。


深刻で切実。
怒りやフラストレーションを爆発させだけでなく、
自分たちの存在意義を主張する大切なツールになっている。


グローバル・メタル


この映画に登場する若者たちと伊藤Pの年齢が同じ頃、
伊藤Pは新宿で開催されていた伊藤政則氏主催の『HM SOUNDHOUSE』に赴き、
能天気にヘッドバンキングしながら、エアギターに興じていた。
タバコの箱をエファクターに見立てて、ギターソロ前に踏み込んだりしてね。


うーん・・・日本は恵まれている!


そんな日本のメタル・シーンも『グローバル・メタル』に登場する。
サムが出掛けたのは渋谷にあるロックバー。
そこでは酔っ払ったおじさんたちが、
ディープ・パープルの「ハイウェイスター」を聴きながら、
大合唱&エアギターをしていた。


同じ日本人として“うわぁ〜、メッサ恥ずかしい”と映画を見た時は思ったんだけど、
あれ、伊藤Pも10数年前に同じ様なことやってるじゃんって・・・


あと、X JAPANを筆頭としたヴィジュアル系メタル・バンドと、
メタル・ファンとの差別化と関係性にも言及している。


本作でX JAPANのYOSHIKIがインタビューに応えていて、
KISSから影響を受けたと発言している。


KISSの影響の下、一世風靡したX JAPANだけど、
KISSを聴く日本のメタル・ファンで、X JAPANも聴く人はあまりいなかった。


というか、どちらかといえば嫌っていた。


硬派なラウドネスやアウトレイジが、日本のメタル・ファンに受け入れられたの対して、
例えメタルの要素があったとしても、X JAPANを始めとするヴィジュアル系は別物だった。


X JAPANのファンの方には申し訳ないのですが、
伊藤Pも当時、絶対に聴こうとしなかった。


このいがみ合いに似た関係性のそもそもの発端は、
メタル雑誌「BURRN!」の編集長(当時)酒井康が、
聖飢魔兇離▲襯丱爐法0点」を付けたことに始まるのでは?と思っている。


で、この複雑な関係性をサム・ダンは面白いと思いつつも、
なかなか理解できなかったようだ。


元メガデスのマーティン・フリードマンは、流石に良く判っていて、
この映画の中で的確な解説を披露している。


グローバル・メタル


メタル・ファンじゃない人からしてみたら、
チンプンカンプンかもしれなし、どーでも良い話かもしれないけど。
(そもそもメタル・ファンじゃない人は、この記事をそんなにジックリ読まないよね)


まぁ、このようにですね、日本でも日本なりのメタル・シーンがあり、
他の国にも独自の文化を形成していて面白いってことが、
『グローバル・メタル』を見れば判る。


特に中国。


中国らしい経緯でメタル文化が浸透し始めている。
これは是非、本編でご確認下さい。


まぁ、恐らくメタル・ファン以外にはなかなかリーチしない作品だと思う。
自分もヒップホップとかラップとかのドキュメンタリーを好んで見るかっていったら、
否だもんね。


でも、異国の地でどのようにメタルが聴かれているかだけじゃなくて、
各国の文化や状況も併せて知ることが出来る。


ドキュメンタリーの良いところは、自分たちの知らなかったことを、
1時間半から2時間の間で学べるってことだ。


そのドキュメンタリーとしての役割は十分に果たしていると思うので、
メタルに興味がない人でも、楽しめるし、興味深く見てもらえるでしょう。


『グローバル・メタル』
サム・ダン監督&スコット・マクフェイデン監督 インタビュー テキスト
サム・ダン監督&スコット・マクフェイデン監督 取材記
盟友佐藤朝問氏の超ながーい『グローバル・メタル』の感想

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『メタル ヘッドバンガーズ・ジャーニー』に続く、メタルファンの監督によるドキュメンタリ。 前作がヘヴィ・メタルの起源や特徴から「なぜヘヴィ・メタルは嫌わ... [詳しくはこちら]

コメント (4)

ひさりん:


「メタルヘッドバンガーズ・ジャーニー」から観てみようと思いました!
リンクの張られていたTシャツの話もおもしろかったです★
(すごくよくわかる!!)

更新楽しみにしてまーす♪

伊藤P:

>ひさりんさん


コメントありがとうございます!
Tシャツの話がわかるということはメタル・ファンですか?


メタル・ファンだったら、『ヘッドバンガーズ』同様、よりメタルの知られざる1面に触れることが出来ると思います。


本当にメタルは奥深い!


>更新楽しみにしてまーす♪
あっざーす!
頑張ります!

ひさりん:

好きです★

雰囲気的にはサマソニ好きなのですが
ラウドパークも行っちゃいます。
今年はモトリーが来るみたいですね!

こんなメタルドキュメント映画があるなんて
しりませんでした。ありがとうございます。

伊藤さんのブログではいろんなジャンルの作品が
紹介されているので、好みの偏りの矯正にもなる様で
気持ちいいです!!

では、DMCの方にいってきます〜〜

伊藤P:

>ひさりんさん

度々のコメントありがとうございます。
メタル好き何よりです!
メタルが好き=仲間ですからね!


実は久しくコンサートなるものに行っておらんのですよ・・・
でも、デフ・レパード&ホワイトスネイクは行きます!


ホワイトスネイクはともかく、デフ・レパードのライブでは、
確実に泣くだろうな・・・


モトリーは、新譜をちょっと視聴したのですが、
ボーカルがヴィンスとはいえ、なんか違和感を感じ買いませんでした。


逆にエクストリームの新譜は、まさにエクストリームの音でした。
1曲聴いて、ションベンちびりそうになりました(嘘)。
彼等も来日ですね。


往年のメタル・バンドが復活したのは嬉しいんだけども、
彼等が解散・老人化した時を考えると・・・


やっぱり今の若いメタルたちも聴いておかないと、
Xデイが来た時に、心の隙間を埋めるバンドがなくなってしまうぅぅぅ。
と、最近ちょっぴり危惧しております。


そんなこんなで「DMC」をご覧になりましたら、
是非ご感想を!

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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