2008年11月26日更新

裏#69 『D-WARS ディー・ウォーズ』


dwars

『D-WARS ディー・ウォーズ』

11/22より有楽町スバル座ほか全国にて
配給会社:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
(C)2007 Younggu Art Co.,Ltd.All Rights Reserved.




元コメディアンの韓国人監督が撮った巨大生物ものパニック映画(韓国映画)。


えっ?なんで、巨大生物と表記するかって?
それはね、配給会社が伏せてくださいって言うからだよ。


まぁ、この手の巨大生物系の映画では、それが何であるかを隠す宣伝は常套手段だ。
『クローバーフィールド/HAKAISHA』だって、『GODZILLA/ゴジラ』だってそうだった。


伊藤Pはこの映画の存在をかなり前から知っていたし、
巨大生物が何であるかも認識していた。


情報伝達力の迅速化の現代で、隠す宣伝を守り抜くのは困難だ。


Dwars
どうみたって蛇じゃんかよ




情報といえば、この映画の出来がすこぶる悪いということも一緒に耳に届いた。


「シム・ヒョンレ監督は韓国のウェーヴェ・ボル」というような記事があったりして、
かなりダメ臭漂っていたのですが、いや〜、酷いね。
ストーリーテーラーとしてはウェーヴェ・ボル以下だよ。


シム・ヒョンレ監督が書いた脚本は、ものの見事に破綻している。
破綻どころの騒ぎではない。
意味が判らない。


“なんでアンタがその事実を知っているのよ!”というご都合主義のオンパレードだし、セリフも陳腐。


よくこんな酷い脚本書けるなってぐらいお粗末。


仮にストーリーを要約して書きなさいと言われても、
正確に伝える自信がないよ。


巨大生物がキーパーソンの女を追いかけるんだけど、
余裕で追いついているじゃないのさ。


“何故そこで食わん!!!!”と何度思ったことか・・・


役者の演技も・・・


dwars3.jpg
僕たち私たち大根役者です!




とにもかくにも突っ込み所が有りすぎて、手に負えないよ。
というか、何をどう突っ込んで良いのかさえも判らない。


パクリぽいシーンも沢山あるんだけど、指摘する気も失せる。


本当に酷いよ。


こんな企画でよく出資者がいたなって思ったら、
シム・ヒョンレ監督はコメディアンとして大成功を収めていたから、
腐るほど金があるんだってさ。


自分の金で好きなようにトンデモ映画を作る。
確かにウーヴェ・ボルと同じだね。


でもさ、ボルとじゃ製作費のケタが違う。
この映画の製作費約35億円(3200万ドル)っすよ。


で、ボルの場合は作っても、ちゃんと劇場公開されずビデオスルーなんだけど、
『D-WARS ディー・ウォーズ』は、韓国で2007年最高の5,000万ドルという興行成績を残している。
これは韓国の歴代興行収入で5位(当時)の数字。


アメリカでも公開され、1,100万ドルのヒットを記録している。


当初、シム・ヒョンレ監督がアメリカで、しかもロサンゼルスでこの映画を撮影したといったら、
全ての人に無理と言われたそうな。


そりゃそうだ。
こんな脚本だもん。


でも、シム・ヒョンレ監督は周囲の反対を押し切り、スタッフをクビにまでして、
単身アメリカに乗り込み、
シュワルツェネッガー・カルフォルニア州知事にロサンゼルスでの撮影を懇願。


これが何故か受け入れられ、ロサンゼルスのオフィス街を封鎖。
戦車まで持ち込むことに成功した。
ロサンゼルスで市街戦の撮影がなされたのは、9.11以降初めてのことらしい。


おい、シム・ヒョンレ、シュワちゃんに幾ら渡したんだ!?


ガッツと資金はボル以上。出来上がった作品はボル以下。


こんな酷い過ぎる映画でも大ヒットする。


何が起きるかわからない映画業界。
益々ロマンを感じたね。


シム・ヒョンレ監督
僕、アメリカンドリームを達成したよ!


※『D-WARS ディー・ウォーズ』 シム・ヒョンレ監督 インタビュー

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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