2009年01月28日更新

#331 『チェ 39歳 別れの手紙』


チェ

『チェ 39歳 別れの手紙』

1/31より日劇1ほか全国にて
配給会社:ギャガ・コミュニケーションズ
(C) 2008 Guerrilla Films,LLC−Telecinco Cinema,S.A.U.All Rights Reserved




ベニチオ・デル・トロとスティーヴン・ソダーバーグが、
革命家チェの生きざまに迫った二部作の後編。


第1部『チェ 28歳の革命』はキューバ革命に焦点を当て、
『チェ 39歳 別れの手紙』は、キューバでの政治的な地位を捨て、
ボリビアで革命に身を投じたチェの姿を描いている。


まず、『チェ 28歳の革命』を見た人は、そのあまりの作品テイストの違いに戸惑うかもしれない。


画面のサイズ(シネマスコープとビスタサイズ)も質感もまるで違う。
テイストを変えたことで、両作品に別の意味あいを持たせている。


前者は、横長で映像有効面積が広いシネマスコープの特性を活かした迫力ある戦争アクション大作で、
チェの輝かしい栄光を、
後者は、極限状態に置かれ忍びよる敵と死をサスペンスフルに描いている。


成功と失敗。
明と暗を描き分けている。


両作品見るに越したことはないんだけど、単体でも鑑賞に支障がない作りになっている。


ただサイズや質感は違えど、前作同様、過剰な説明はなく、淡々と話は進んで行くので、
チェ率いる革命軍が孤立していく時代背景は、事前に知っておいた方が良いかな。
(簡単に言うと、あてにしていたボリビア共産党の協力が絶たれたため)


チェ


キューバ革命の英雄が革命を信じて、異国の地で命を散らす。
ヒロイックなんだけど過剰な演出はない。


だからチェの生き様を客観的に見ることになる。


個人的には、己の信念を貫き通すチェの強い意志は凄いと思った。
自分だったら、挫折、妥協している。


この信念が多くの人たちに感銘を与えているのでしょう。


でも、一方で死んだら人間お終い。
他の選択肢はなかったの?とも思ってしまった。


核となる信念を曲げず、別のやり方で人々を統率し、
自らが思い描いた理想郷を模索するという道もあったんじゃないかなぁ〜って。


チェに限らずだけど、そんなことが出来たらいいなってね。


それからチェを演じたベニチオ・デル・トロの気迫の演技は凄かった。
ただならぬオーラが漂っていた。


チェ


カンヌ映画祭で、主演男優賞を受賞したけど、アメリカでは総スカンを喰らってしまった。
デル・トロ自身も全編スペイン語の映画であることから、
アメリカでの批評、興行が心配だった
らしいんだけど、危惧した通りになってしまった。


そりゃそうだろうなって。
アメリカ人が、キューバ革命の英雄の映画を見たがるとは思えないもん。


で、最後に一言。


2作品併せて4時間半。
流石に疲れた・・・


一気に見た方が細かい繋がりとか理解し易いかなって思ったんだけど、
前述の通り、それぞれ独立した作りになっているので、
日を分けて見ても、あまり支障がなかったな・・・


※『チェ 28歳の革命』の感想

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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