2009年02月17日更新

#341 『チェンジリング』


チェンジリング

『チェンジリング』

2/20より日劇3ほか全国にて
配給会社:東宝東和
(c) 2008 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.




1928年、ロサンゼルス。クリスティン・コリンズの息子が失踪する。
5ヶ月後、イリノイ州で発見され、クリスティンの元に戻って来た息子は別人だった。


クリスティンは実の息子ではないと主張するが、
少年は息子だと言い張り、警察も聞き入れない。


クリスティンは息子を取り戻そうと行動に出るが、様々な圧力がのしかかり・・・


クリント・イーストウッド監督作品なので、見る前から安心はしていたんだけど、
予想以上に良い作品だった。


なんとなーく「誘拐」ものかなぁ〜と思いながらも、ほとんど予備知識なし状態で見たら、
いきなり“実話に基づく”と来て、それ以降も意外な展開が続き驚かされた。


イーストウッドは、メインテーマである母の愛の強さと信念だけでなく、
母と子の絆、腐敗した警察、権力VS人権、
そして、命の尊厳も描き、とっちらかりそうな要素を手堅く纏めている。


流石、イーストウッド。


チェンジリング


特にロス市警のやっている人権無視の愚行は、目に余る。


「何が自由の国アメリカじゃ!!」


息子であるとクリスティンに思い込ませようと、あの手この手を駆使するが、
どれもこれも説得力がないし、超強引。
そもそも、偽の息子を用意した理由が浅はかだし、
逆らうクリスティンには圧力をかけ、封じ込めようとする。


どんなに警察の主張が無茶苦茶で理不尽であっても、
クリスティンは国家権力に屈するしかない。


主人公がドツボにはまっていく過程をじっくりと見せられるから、
見ているこっちは歯痒くって仕方が無い。


どうやってこの苦境を打破するのだ!
頑張れ!クリスティン!!!


しかし、イライラさせられた分、クリスティンにとって事が良い方に転がると、
我々もより一層の喜びを感じることが出来る。


こうやって緩急をつけて、主人公に感情移入させる。


そして、このクリスティンVSロス市警だけでもお腹一杯なのに、
『チェンジリング』は次の展開がある。


そう、息子の行方である。


果たして息子は何処へ・・・?


それは劇場でご確認頂きたい。


何にしても、
イーストウッドって本当に陰惨な話が好きですな。


チェンジリング


タフガイ、巨匠というイメージだけど
根底にあるダークさってのが、本作にも出ている。


『チェンジリング』にはとある養鶏所が出てくる。
そこのフラッシュバックシーンとか、
78歳のおじいちゃんが撮る映像じゃないよ。


怖い、怖い・・・


陰鬱なのにエンターテイメントになっているし
社会派でもあって、きちんと軸になる人間ドラマがある。


見ているこちらもかなり気持ちをえぐられる。


凄い作品だ。


日本でも、過去にこの手の埋もれた事件が、ゴロゴロしているはずなんで、
そこに焦点をあてるような社会派映画が作られないかなぁ〜。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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