2009年11月16日更新

#430 『イングロリアス・バスターズ』


イングロリアス・バスターズ

『イングロリアス・バスターズ』

11/20よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給会社:東宝東和
(C)2009 Universal Studios. ALL RIGHTS RESERVED.




第二次世界大戦末期、
ホロコーストによって多くのユダヤ人が犠牲となっていたナチス占領下のフランス。


ナチス撃退のために組織された“名誉無き野郎ども=イングロリアス・バスターズ”の活躍と、
ナチスによって家族を虐殺された映画館の女性館主の復讐を描く。


いやー、これ程までに爽快な気分になれるハリウッド産娯楽エンターテインメントは久しぶりだ。


とても面白かった。


最近のハリウッド映画は時代を反映するものが多く、
いろんなメッセージを入れちゃうから、娯楽に徹し切れていない。


それはそれで大好きなんだけど、
単純明快で突き抜けたハリウッド映画も見たいよね。


イングロリアス・バスターズ


監督は言わずと知れたクエンティン・タランティーノで、
主演ブラッド・ピットという中々興味深い顔合わせだ。


タランティーノが超たのしそーに演出し、
ブラピが喜々としてバスターズのリーダーを演じている。


そんな撮影現場の光景がガンガンにスクリーンから伝わってきて、
こっちも楽しい気分になる。


イングロリアス・バスターズ


冒頭から会話、会話、会話、ひたすら会話。
それに伴うカット割、カット割、カット割。


いかにもタランティーノだ。


前作の『デス・プルーフ in グラインドハウス』のガールズトークは、
正直ダラダラしていたし、意味不明で退屈だったけど、
今回はセリフひとつひとつが意味深だ。


セリフ、そして、表情から、
心理や真意を読み取らなくてはならないサスペンスフルな会話劇が多く、
全く飽きが来ない。
というか、その探り合いがスリリングで面白い。


残酷シーンや銃撃シーンもアナログで良い。
とはいうものの、普通に痛い描写なので苦手な人は要注意だ。


二つ隣りに座っていた女性は、頭皮を剥ぐシーンやバットで殴りつけるシーンで
過剰に反応して、ビックン、ビックン身体を動かしておりました。


でも、タランティーノのファンの中には、
そんな過激な描写に対して、物足りないと思っている人も結構いるそうだ。


今回、この一般向けとファン向けの中間を取ることが、
タランティーノの狙いだったように思う。


イングロリアス・バスターズ


結構、タランティーノって、
残酷描写を含め、自分の好きなモノを入れすぎちゃって
独りよがりになるところがある。


そして、そのタランティーノの“趣味”を分かる人だけが喜ぶ感じ。


しかしながら『イングロリアス・バスターズ』は、
今まで以上に、観客に向けて作られている感じがした。


大作感溢れる映画で、主役に老若男女が知るブラピときたら、
より大衆受けする路線を取るのが得策でしょう。


その甲斐あって、本作は北米で歴代タランティーノ作品ナンバー1の大ヒットを記録した。


とは言っても、迎合ばかりしている訳ではなく、
彼が大好きなマカロニ、西部劇、B級、C級といった要素は多分に入っている。


いたるところでタランティーノ節を炸裂させながら、
サスペンス、ミステリー、アクション、コメディ、ラスブトーリー、戦争といった感じで、
一つのジャンルに収まらない娯楽作品を作り上げてしまった。


恐るべしタランティーノ。


ブラピを筆頭としたキャストも超魅力的。


ブラピに負けないぐらいの大役である女性映画館主ショシャナを演じるのはメラニー・ロラン。


イングロリアス・バスターズ


見る前は「誰やねん?」って感じだったけど、
素敵な女優さんですね。


家族をナチスに殺害された憎しみと復讐心。
そして、同胞に対する愛。


様々な感情を見事に表現していて、ウルトラ感情移入してしまった。
儚いぜぇ。


そんなショシャナの家族を殺害し、数年後ショシャナと気付かず、
運命的な再会をするランダ大佐に扮しているのは、クリストフ・ヴァルツ。


イングロリアス・バスターズ


冷酷でしたたかなランダ大佐を豪快にキモ悪く演じている。


その他、、
『ドリヴン』(俺にとっては『ノッキン・オン・ヘブンズ・ドア』ではなく、『ドリヴン』だ!)の
ティル・シュヴァイガーや、
『ホステル』の監督として有名なイーライ・ロスらが、
イングロリアス・バスターズの面々を個性豊かに演じている。


そして、もう一人のヒロインで、
二重スパイの女優ブリジット役のダイアン・クルーガーが美しい。


この女優さん、メチャクチャ脚が綺麗で、
実は【伊藤Pの部屋】の2007年度「最優秀御身脚賞」を受賞している。


美しい御身脚をもっと見せて欲しいなぁーと思っていたら、
タランティーノはその脚に穴を開け、そ、そんなことを!!!!!!


このシーンで、先述の二つ隣の席の女性は激しく悶絶していましたが、
伊藤Pは違う感情を持って悶絶しておりました。


男性はイングロリアス・バスターズの男気に惚れ、
女性は映画館館主ショシャナの愛と復讐に涙する。


そして変態的な脚フェチにもたまらない。
そんな逸品だった。


タランティーノの作品は全部見ていますが、
一番好きかも知れません。


もっと見たい!と思わせるほど、
アッという間の2時間32分でした。


イングロリアス・バスターズ


■『イングロリアス・バスターズ』
※メラニー・ロラン インタビューテキスト
メラニー・ロラン

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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