2009年12月22日更新

#440 『アバター』


アバター

『アバター』

12/23よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給会社:20世紀フォックス
(C)2009 Twentieth Century Fox. All rights reserved.




『タイタニック』から12年。


いつの間にやら撮らざる巨匠となったジェームズ・キャメロンが、
構想に14年、製作に4年を費やし、3億ドルという巨費を投じて作り上げた超大作。


映画小僧だった頃、一番好きな監督としてジェームズ・キャメロンを挙げていた。


『ターミネーター』は、友達とレンタルビデオで何度も見た。
それでも飽き足らずビデオをダビング屋でダビングしてもらい、また何度も見た。


集英社「週刊少年ジャンプ」の早朝試写会に当選して日本劇場で見た『エイリアン2』は、
眠気を吹っ飛ばす面白さで、そのダイナミックな熱い演出に歓喜した。


物語の素晴らしさは勿論、子供の視覚を刺激するに十分なSFX、重火器による銃撃戦、
“まだ続くの?”ってぐらい、しつこいクライマックス。


この2作品で完全にジェームズ・キャメロンの虜になった。


ジェームズ・キャメロン
ジェームズ・キャメロンとサム・ワーシントン


その後の『アビス』、『ターミネーター2』、『トゥルー・ライズ』も公開されれば、
すぐに劇場へ見に行った。


常に驚異の映像を見せてくれたジェームズ・キャメロンは、
スピルバーグ以上に新作が楽しみな監督だった。


そして、『タイタニック』である。
全世界を感動の渦に巻き込み、
興行的にも未だその記録を破られていないこの名作を見た時、実はがっかりした。


重火器による戦いもない、ロボットも登場しない、クリーチャーも出てこない、
ない、ない、ない。
なんにもない!


確かに映画としては素晴らしい出来なのかもしれないけど、
いつもジェームズ・キャメロンの作品にあったテイストがかなり欠落している。


悲劇的なラブストーリーなんてキャメロンに求めちゃいない。


なんだかキャメロンが大人になってしまい、
置いてけぼりを食らった気分に陥ってしまった。


はっきり言って、迷惑なファン心理が作用してしまったのだ。


そんなキャメロンが、長い歳月を経てやっと取り組んだのが、
『アバター』という作品であると聞こえて来ても、
また自分の求めているキャメロン作品とは違う気がして大して興味を持てなかった。


そして、今年に入り、届いたビジュアルや映像にはジャングルや青い生き物が写し出されていて、
“なんじゃこりゃ?”ってな感じで、期待値はあまり上らなかった。


アバター


でもキャメロン監督作だから見なきゃいけないという義務感はある。
期待せずに見ることを決める。


マスコミ試写会もやらなさそうだし、
公開日前日の12月17日に3Dで前夜祭をやるというから、
その先行上映でみようと思っていたら、公開日が18日から12月23日にずれた。


22日会社の忘年会じゃん!
23日、24日はクリスマス・パーティじゃん!


“見られるのは最短で25日かぁ〜”なんて考えていたら、
2Dバージョンだけど見られる機会を頂けた。


ありがとうございます。


と、前置きが長くなりましたが、
まずジェームズ・キャメロンに謝りたい。


期待しなかった私が馬鹿でした。


そして、お礼を申し上げたい。
素晴らしい映画をありがとう。


本数はあまり見ていないけど、
今年のお正月映画の中で、ブッチギリの面白さと満足感を味わうことが出来た。


アバター


22世紀。地球の資源を食い潰した人間は、
パンドラという星の森の地下資源を採取するため、
そこに住むナビィという先住民たちを懐柔しようとする。


その任務を担ったジェイクは、
人間とナビィの遺伝子を組み合わせた“アバター”と呼ばれる新たな肉体に意識を接続し、
森へと潜入する。


ところがナビィたちと交流を持ったジェイクは、
やがて彼らに感化され、自らを難しい立場へと追い込んで行く。


『フェイク』+『ダンス・ウィズ・ウルブズ』てな感じ。


確かに映像は凄いんだけど、正直、前半はちょっとたるいし、物語の大筋は読める。


しかしながら、ブルトーザーが登場する辺りから物語は一気にヒートアップ!


単純な物語だからこそ、キャメロンらしい細かい捻りが冴え渡る。
ってことが中盤以降に分かる。


前半から中盤に散りばめられた数々の布石を、結末に向けて見事に回収。
怒涛のクライマックスは圧巻の一言。


過去のキャメロン監督作品に登場するメカや乗り物、武器を踏襲したアイテムがガンガン出て来るし、
セルフオマージュぽい演出があって、思わずニンマリ。


「あっ!『ターミネーター』だ!」
「あっ!『エイリアン2』だ!」
「あっ!『トゥルー・ライズ』だ!」
ってね。


アバター


キャメロンお得意の強いヒロインも健在だ。


『タイタニック』チックな禁断の愛もあり、
長年のキャメロン監督ファンは勿論、
キャメロン=『タイタニック』な人たちにも十分アピールできる内容。


純粋な気持ちで映画を追いかけ、
ワクワクしながら見ていた頃に完全に引き戻された。


なんだか嬉しくなっちゃって、涙が出て来ちゃったよ。


見た直後にもう一回見たいと思った映画は、ここ最近、中々ない。


必ずもう一度見ると誓う。


まずは今回2Dだったから3Dで見なくては!


アバター


で、これから見る方々は、なるべく3Dで見ることをお勧めします。


「このシーンは、これが飛び出すのかな?」なんて思いながら見ていて、
何度も3Dで見たいと思った。


常に新しい技術を取り入れ、観客を驚かせる。
そんな飽くなき挑戦を続けてきたジェームズ・キャメロンの集大成とも言うべき作品。


改めてキャメロンは凄い!と思った。


もう一回見たいけど、
やっぱり次回作も早く見たい!!


今度はあまり我々を待たせないで欲しい。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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