2012年07月25日更新

#671 『ダークナイト ライジング』

ダークナイト ライジング


『ダークナイト ライジング』
2012年7月28日より丸の内ピカデリーほか全国にて
※7月27日先行上映あり
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2012 WARNER BROS.ENTERTAINMENT INC. AND LEGENDARY PICTURES FUNDING, LLC


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ダークナイト(=バットマン)が夜の闇に消え、
一瞬にしてヒーローから逃亡者へとなってしまったあの日から8年。


ゴッサム・シティに覆面テロリスト、ベインが出現し、ゴッサムは再び恐怖のどん底へ。

隠居生活送っていたブルース・ウェインは、
再びケープとマスクを身にまとい、ベインを倒すべく立ち上がるが・・・。


ダークナイト ライジング


まさに待望という言葉が相応しい、待ちに待った三部作の最終章。


結論から言ってしまうと、残念ながら『ダークナイト』ほどの衝撃というか、
震えるぐらいの感動はなかった。


もう少しそこはじっくりと描写した方がいいんじゃない?というような演出もあったし、
そのタイミングでバットマン登場ですか?とか、
どうやって、ブルース・ウェインはここに来たの?とか、
ご都合主義的な展開もあった。
(まぁ、ヒーローものは、神出鬼没で良いという割切りもあるが・・・)


あと、表現が難しいんだけど、『ダークナイト』の時にあった、
ゴッサム・シティの人たちと共有できる要素が、今回あまりないんだよね。


対岸の火事というような感じで、そこまで感情移入できなかった。


しかし、だからといって『ダークナイト ライジング』がダメだったかというと、
そんなことは全く無く、素晴らしい作品であることは間違いない。


165分という長丁場を全くダレることなく、
高いテンションを保ったまま、一気に見せ切る。


これは凄いことだ。


ダークナイト ライジング


ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)を筆頭に、
執事のアルフレッド(マイケル・ケイン)、ゴードン市警本部長(ゲイリー・オールドマン)、
といったレギュラーメンバーは、それぞれ悩みを抱え葛藤する。
流石に3作目になるとキャラクターに愛着も沸いてくるので、その苦悩が心に染みる。
(特にアルフレッド・・・切ねぇ・・・)


敵か味方か分からないキャット・ウーマン/セリーナ・カイル(アン・ハサウェイ)、
ブルースに協力する大富豪のミランダ・テイト(マリオン・コティアール)、
正義感の強い警官ジョン・ブレイク(ジョゼフ・ゴードン=レヴィット)等、
新メンバーも作品に新たな息吹を持ち込んでいるし、
全員、大きな存在意義があり、見せ場もたっぷりある。


ダークナイト ライジング


そして、前作のジョーカーに変わる宿敵となるのがベイン(トム・ハーディ)だ。


初めてそのビジュアルを見たときに、
そっくりなビッグ・バン・ベイダーを見慣れていたせいか、
あまりパッとしない感じがしたんだが、
本編を見ると強烈な存在感を発揮している。


ダークナイト ライジング


ジョーカーが知能犯的な存在だったのに対して、
ベインはいかにも強そうな凶悪犯という風貌だが、
見た目どおり、とにかく強い。


あまり武器とかに頼らず、自分の肉体で勝負している点に男の美学を感じるね。
バットマンは、たまに楠木正成みたいに、姑息な手段を用いて戦うことがあるが、
それを取っ払って、ガチンコ勝負させたら確実にベインの方が強いでしょう。


更にベインは、頭もいい。


こんな相手にバットマンは、どう立ち向かうのか?
どうやって勝つのか?


この手のヒーローものは、敵が強ければ強いほど良い。


しかも、まるで黒澤明の『用心棒』のように、
ブルース・ウェインを一旦、ボロボロにしてしまうのだ。


こんな状態で戦えるのか?


逆境の中、強敵にいかにして勝つか?


当然、その方法は最後の方まで明らかにならないことなので、見ていて楽しい。


クリストファー・ノーラン監督は、ちゃんとツボを抑えているね。


ダークナイト ライジング


これ以外にも、キャットウーマンとバットマンの関係とか、
ベインの過去とか、あれとか、これとか・・・、
あまり語るとネタバレになるので詳しくは触れないが、
とにかくそれぞれのキャラクターの物語が、本筋にしっかりと結びついていて、
作品に奥行きを与えている。


あとは、いつもながらカラフルな色彩を抑えた映像が美しく、力強い。
崇高で重厚感がある。


唯一、キャットウーマンにだけポイントで鮮明な色を使っているのも心憎い。


これまた毎度だが、メカのデザインもクールでステキだ。


ダークナイト ライジング


この世界観に165分間も浸っていられるだけでも幸せだ。


そして、今回何よりも響いたのが、ハンス・ジマーによるスコア。
このスコア無くして『ダークナイト ライジング』は有り得ない。


メリハリの効いたスコアなんだけど、
ここぞというクライマックスの盛り上げ方は、素晴らしい。


特にラスト5分。
映像の展開と音楽の展開が見事にマッチングしている。
ここはかなり高揚した。


他にも語るべき点は多々あるが、百聞は一見にしかず。
とにかく少しでも本作に興味があるのならば、迷わず“劇場で”見て欲しい。


もちろん、『ダークナイト ライジング』単体でも十分楽しめるが、
出来ることならば、過去2作を見ておいた方が良い。
(当たり前の話だが・・・)


『バットマン ビギンズ』は、ずいぶん前に1度だけしか見ておらず、
記憶を呼び覚ますのにかなり苦労しました・・・。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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