『ハンガー・ゲーム』
2012年9月28日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給:角川映画
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僅かな富裕層のみが住むことを許された都市キャピトル。
冷酷な支配者たちは、かつて自分たちに反乱を起こした12の地区から
それぞれ「ゲーム」に参加する男女2人を選出する。
選ばれた者たちは、最後の1人になるまで戦い続けなくてはならない。
この命を懸けた「ハンガー・ゲーム」は、全国でテレビ中継され、
そしてその勝者は巨額の富を得ることが出来るという。
第12地区に暮らすカットニスは、
不運にも選ばれてしまった幼い妹の代わりに、自ら出場を申し出る。
同じ地区から選ばれたピータと共に、命と愛、
そして人間性と生き残りの葛藤のなか、戦いに挑む。
スーザン・コリンズのベストセラー小説の映画化で、
2012年3月に全米公開され、4週連続ナンバー1を記録。
2012年9月26日時点で、全米で4億ドル(歴代13位)、
全世界では6億8000万ドルを稼ぎ出しているメガヒット作。
アメリカではちょっとした社会現象にまでなったようなんだが、
日本ではちょっと盛り上がっていない感じ・・・。
でも、それも致し方ないかなと思う。
まず設定が、深作欣ニ監督によって映画化された某有名ベストセラー小説と似ている。
アメリカでは多くの若者が原作を含め『ハンガー・ゲーム』を支持したようだが、
我々は既に10年以上前に、若者同士が殺しあうというあの衝撃を経験している。
しかも、日本の某ベストセラー&映画は、いきなりクラスの学生全員が孤島へと拉致され、
そこで仲間同士の殺戮を繰り広げることになる。
申し訳ないが、インパクトはこっちの方が大きい。
殺戮ゲームがテレビやネットで放映、配信され、視聴者が熱狂するという近未来の世界観に関しては、
古くは『ローラーボール』やシュワちゃんのピチピチ衣装が素敵な『バトルランナー』、
割かし最近だと『デス・レース』なんてのがあるんで、新鮮味はあまりない。
設定、世界観がどこか似てしまうのは、
これだけ多くの映画があれば、まぁ、仕方がないんだけど、
『ハンガー・ゲーム』をそれを差っ引いても、正直、微妙と言わざるおえなかった。
カットニスが、妹の代わりに「ハンガー・ゲーム」に参加することになり、
最先端都市キャピトルに行く下りとか、マッタリし過ぎていて、
これから殺戮ゲームに参加するという緊迫感がない。
キャピトルの描写に至っては、全く感性が合いませんでした。
ここに暮らす住民のメイクとか着ている服とか、
「???????」でしたね。
この他、開会式のパレードで炎に包まれながら入場するカットニスとか、
申し訳ないけど失笑だった。
その前だったか、後だったか忘れたが、
公開トーク番組でのインタビューシーン&クルクル回転も、見ていて寒かった。
そんなこんなで、ダラダラっとトレーニングして、やっとこさサバイバルに突入。
ここまで何分の時間を要したのだろうか?
丁寧に描くのは大切なことだけど、
それでテンポや緊迫感がなくなってしまうのはどうかと思う。
そして、肝心のサバイバルシーンですが、
ひとつひとつの戦いそのものは悪くないんだけど、
どれもが単発で、クライマックスに向かって連鎖的な盛り上がりをみせてくれない。
『ハンガー・ゲーム』では、カットニスの視点だけに絞った演出をしている。
これは恐らく手法としては間違っていないんだけど、どうしても話が広がらない。
であるならば、物語なり仕掛けなりをもっと工夫して盛り上げていく必要があるんじゃないかと。
なんだか全部予定調和で、唐突なのですよ。
最後の方に出てくる化け物みたいなのとかどうなんだろう?
ものすごい違和感を感じた。
なんでもアリ状態。
“ゲーム”なんだから、“ルール”があって然るべきなのにない。
ネタバレになるから書けないけど、ゲームの最後の最後の下りのルール無視は酷すぎる。
いくらなんでも、あれはないでしょう。
参加プレイヤーたちのキャラクターも生かしきれていない。
前半まったりしていたのに、実は各キャラクターの掘り下げがあまり成されていなかったんだなと、
ゲームが始まってから気付かされた。
それでも少しは印象的なプレイヤーはいるにはいた。
ゲームの途中、カットニスは窮地を助けた最年少プレイヤーの少女ルーだ。
しかし、結局、彼女の扱いも中途半端だった。
物語にメリハリをつけるために、もっと活用して欲しいキャラクターだった。
あと、カットニスと同じ地区からの参加者であるピータ。
こいつが別の悪い意味で印象に残った。
ピータくんはどうしようもありません。
敵対するグループに取り込まれたり、カットニスを頼ったり、恋しちゃったり。
貴様は何がしたいのだ!
カットニスとの恋の下りなんて、ペラッペラだぞ。
そして、あまりにも弱すぎる。
貴様はスペランガーかっ!
最後まで、カットニスに守られまくっているだ。
『スノーホワイト』もそうだったけど、
このところ“男には頼らん!!!”的なヒロイン映画が多い。
確かに現実も、男よりも女性の方がいろんな面で強かったりする。
今年のロンドン・オリンピックなんかも、女性選手の活躍が目立った。
世の中的にそういう時代なのかもしれないが、
あまりにもヒロイン至上主義的なんで、男としては見ていてちょっと辛いね。
そんな強いヒロイン・カットニスを熱演したのは、ジェニファー・ローレンス。
決して美人じゃないんだけど、ムチムチしていてなんだか不思議な色気を撒き散らしている。
珍しいタイプの女優さんかもしれないが、
あんまり好みじゃない・・・。
でも、最新作のスリラー『ボディ・ハント』では、
タンクトップ姿で酷い目にあったり、戦ったりするようなので、
タンクトップフェチとしては、そっちに期待するとするか。
そんなジェニファー・ローレンスですが、
日本での一般的な知名度は“抜群に”ない。
出ている俳優に知名度がなくても、
映画の中身がよければ『最強のふたり』のようにヒットすることもある。
『ハンガー・ゲーム』は、中身が・・・。
そんな感じで、設定も物語もヒロインも受け入れがたく、
見ていてちょっと辛かった。
しかも上映時間2時間23分だよ。
この手の映画で、2時間半弱もあるってどうなんでしょう?
こういう無駄に長いのはマイケル・ベイだけにして欲しい。
小さい頃から洋画で育ってきた者として、夏以降やや盛り返しつつあるものの、
やはり以前ほどのパワーを感じられない洋画を応援したいという気持ちは多分にある。
これは偽りのない気持ちです。
でも、『ハンガー・ゲーム』に関しては、うーん・・・ごめんなさい・・・。
コメント (1)
ごめんなさい、この映画に関して相当ペラッペラな印象を受けたようですが、
むしろこのレビューのほうがペラッペラな表面しかとらえてないように感じてしまいました。
ダメな印象を受けたと記されてる内容ですが、私はむしろ意図的に巧みな狙いをもって構成されてると感じました。
ダメダメのピーターくんは、ラストに彼女が彼に対する興味を失う描写ですべて表現されているのですが、彼は意図的に弱くて頼りないヒーローを演じてます。完璧なヒーローとヒロインではダメなのです。視聴者がもっと人間の弱さやドロドロした部分を受け入れながら見るように仕組まれています。
ラストのゲーム設定がころころ変わるのに関しても、完全に意図的なものです。
政府に振り回され、結局はどうあがいても誰も勝者にはなれない、という弱者の悲惨な姿をわかりやすく表現しています。
投稿者: 匿名 | 2013年02月24日 01:49