2012年11月29日更新

#683 『007 スカイフォール』

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『007 スカイフォール』
2012年12月1日よりTOHOシネマズ日劇ほか全国にて
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
skyfall©2012 Danjaq, LLC, United Artists Corporation, Columbia Pictures Industries, Inc. All rights reserved.


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ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンド第3弾にして、「007」シリーズ50周年記念作品。


節目の作品だから製作陣は気合入りまくりで、冒頭のアクションシーンからフルスロットル。


「007」といえば、オープニングタイトル前のアクションのシークエンスは定番だが、
今回は「これってクライマックスじゃないの?」ってなぐらいアクションのつるべ打ち。


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そして、オープニングタイトルの直前にとんでもないことが起きるのだ。


毎回、旬のアーティストが歌うオープニングソング。
本作ではアデルが担当しており、歌もシャーリー・バーシーみたいでかっこいいし、
映像も印象的なんが、「早く続きを!!!」と「24 -TWENTY FOUR-」ばりの渇望感に見舞われた。


そして、オープニングタイトル明けは、散々含みを持たせて“次回に続く・・・”となるも、
次の回を見たらその含みがあまり大したことがないという「24 -TWENTY FOUR-」と同じような展開ではあったんだが、
それを差っ引いたとしても、50年の歴史を誇る「007」史上、最も衝撃的な幕開けだと思った。


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その後も某施設が爆破されたり、ボンドの運動能力が著しく落ちたりと意外な展開が待ち受けていた。


ダニエル・クレイグを主役に迎え製作された『007/カジノ・ロワイヤル』でシリーズを刷新し、
リスタートを切ったわけだが、本作ではさらに今までと違う「007」を作り出そうとしている。


この他にもボンドガールが今までの立ち位置と若干異なっていたり、
お馴染みのキャラクターが若返りを果たしていたりする。


でもって、そのキャラクターが若返りしているのにも意味がある。
最終的に“何か”に繋がるのである。


これにはオールドファンも喜ぶと思う。


この他にもオールドファンが歓喜する要素がいくつかある。
オールドファンが楽しめるということは、シリーズの伝統的なアイテムを取り入れているということなんだが、
面白いことに、それが今の「007」には新鮮なのだ。


新しいけど懐かしい。


そしてそれらがストーリーにきちんと寄与しており、単なるセルフオマージュに終わっていない。


さらに今回の物語は、超単純なのだ。


シンプルなストーリーに伝統と新しさが入り混じったハイブリットな映画だ。


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新旧ブレンドは、本作の舞台となる都市にも言える。


ボンドはトルコ、マカオで活躍する。


トルコは『007/ロシアより愛をこめて』、マカオは『007/黄金銃を持つ男』にそれぞれ登場する。


特にマカオは、いやおうなしに『007/黄金銃を持つ男』を思い出させる怪しさを醸し出していた。


で、今回、ボンドは中国に渡り、ボンドはあるスナイパーと格闘を繰り広げるんだが、
ここでの演出がたまらなくかっこいい。


監督はサム・メンデスなんだけど、こんなちょっとサイケ、且つテクノな演出が出来るんですね。


まるで万華鏡でした。


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そんなサム・メンデスらしからぬ演出に酔いしれたわけですが、
一方でサム・メンデスらしさもたくさんあった。


やっぱりドラマを描くのがうまい。
作品に深みが出る。
物語が単純なのに・・・。


前作『007/慰めの報酬』のマーク・フォースター監督も人間描写に長けていた。


この二人以前は、アクション畑の監督が多かったけど、
今後は両方がきちんとこなせる人じゃないと、「007」の監督は務まらないんじゃないかな?


そして、良い監督には良い俳優が集まる。


Mを演じるジュディ・デンチはもちろんのこと、
レイフ・ファインズ、アルバート・フィニーといったイギリスを代表する名優が要所で出演。


そんな中、敵役を演じたのが、ハビエル・バルデム。


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『ノーカントリー』で悪役をやらせたときの不気味さは実証済みだが、
本作では『ノーカントリー』とは違った何をしでかすか分からない男を見事に演じ切っていた。


ハビエル・バルデム演じるシルヴァは、Mに対して複雑な感情を抱いているんだが、
正直、その思いはちょっと気持ちが悪い。
それでも納得させられてしまうんだらからね・・・。


そんなシルヴァと対峙するボンド。
演じるのはもちろんダニエル・クレイグ。


なんだかんだと『007 スカイフォール』の素晴らしさを綴ってきましたが、
結局のところ、ダニエル・クレイグに尽きるのです。


『007/慰めの報酬』の時も惚れましたが、ますます惚れました。


とにかくかっこいい。


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映画を見て、主人公に憧れを抱かなくなって久しいが、
ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドには、
若き頃に感じたヒーローへのときめきを感じてしまうのです。


本作を鑑賞してから3日間位引きずりました。
ジェームズ・ボンドを。


本当に素敵な俳優さんだ。


そして、そのダニエル・クレイグ演じる「007」第4弾が今から楽しみで仕方がない。


多分、本作鑑賞後に誰もが抱く感想だと思う。


主役よし、悪役よし、脇役よし、アクションよし、ドラマよし、映像よし。
さらに伝統的なシリーズとしての役目もきちんと果たす。
こんな作品にはなかなか巡り会えませんよ。


「007」ファンはもちろんのこと、
あらゆる人に見て頂きたい。
傑作でした。


■関連記事
『007/慰めの報酬』
※ダニエル・クレイグ、オルガ・キュリレンコ、マーク・フォースター監督 取材記

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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