2013年11月23日更新

#712『メタリカ・スルー・ザ・ネバー』

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『メタリカ・スルー・ザ・ネバー』
2013年11月22日より全国にて
配給:ポニーキャニオン
©2013 HIT THE LIGHTS, INC. ALL RIGHTS RESERVED.


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ロックを題材にした音楽映画はたくさんある。


その多くは、実在の人物の生涯を描いたドラマやミュージカル、
ドキュメンタリーだったりするわけですが、
この「メタリカ・スルー・ザ・ネバー」は、
メタリカのライブと青年が不思議な体験をする物語が同時進行するという、
一風変わった構成になっている。


物語の主人公は、メタリカのライブのクルーとして雇われた青年トリップ。


彼は、トラックがエンストしてしまい未着になっている大切なバッグを回収し、
ライブ終了までに会場へ届けるという仕事を頼まれる。


しかし、自分のワゴンに乗り込み街に出たトリップは、
不可解な出来事に巻き込まれる。


この物語とメタリカのライブ映像がどうシンクロするのか?
興味津々で見始めた。


まずは会場入りしたトリップが、次々とメンバーたちと遭遇する。


改造車で乗り付けてきたジェームズ・ヘットフィールド。
因みに車の改造はジェームズの趣味です。


ギターのチェックをしているカーク・ハメット。
ここで血がボタボタと垂れる意味不明な演出があるんだけど、
カークはオカルトが大好きなので、血を見せたかったのでしょう。


続いて、ウォーミングアップでベースを弾きまくっているロバート・トゥルージロ。
オイラは根っからのベース好き!って感じ。
このシーンで見られる壁が重低音によって膨張するエフェクトが良い。


最後はドラマーのラーズ・ウルリッヒ。
クルーとビジネスの話をしている。
メタリカのビジネス面の中心は、やっぱりラーズなのでしょう。


そんなメンバーたちの個性をさらっと見せる登場シーンは、
なかなか秀逸・・・だったんだけどねぇ・・・。


メタリカの曲の内容と物語の映像や展開がマッチすることもあるんだけど、
全てというわけではない。


まぁ、それは初めから無理だろうと思っていたし、
曲に合せて物語を構築していこうという意図は、
製作者側にそもそもなかったんでしょう。


で、あるならば、逆に物語をもっとどうにかすることが出来たんじゃねぇ?


言ってしまうと、物語がまるで面白くないんだなぁ。


ライブ映像と物語の切り替えは、
様々な演出が加えられていて、世界観が統一されてはいたんだけど、
ライブ映像が意味不明な物語によって、何度もブチブチと寸断されていくうちに、
「物語いらなくねぇ?」って。


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メタリカのポリシーは、先駆者であること。


それは音楽面だけでなく、映画製作でも揺るがない。


物語をなくしたら普通のライブ映画になってしまう。
ありふれた音楽映画ではないものを作りたい。


その意気込みはメタリカらしくていいと思うんだけど、
劇映画の要素を持ち込むならば、もう少し物語を大切にして欲しいっす。


一方、ライブの方はどうかと言いますと、
これが凄まじい。


最初から映画撮影を念頭に置いた巨大ステージ。
過去のスタジオアルバムのジャケットをモチーフにしたアートワーク。
パイロ、ライティング、映像投射を駆使した派手な演出。


どれもが規格外。


そして、何よりもメンバーたちの躍動感が凄い。


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ボーカルに深みが増したジェームズ。
体全体でドラムを叩くラーズ。
クールに決めるカーク。
身をかがめてブリブリとベースを弾くロバート。


カッコイイです。


んでもって、音!


聴き慣れたメタリカの曲を高音質、
さらに大爆音で“体感”できるのは、嬉しいの一言。


高音の抜けは良いし、重低音は腹に響く。


ちょーーーー気持ち良かったぁ。


ずぅっーとこの世界に浸っていたいと思ってしまった。


「Sad But Ture」など、ライブで演奏されながらも、
映画ではカットされた曲があるという。


完全版が見たい!!





さて、そんな「メタリカ・スルー・ザ・ネバー」ですが、
メタリカファンは、言われなくても見るでしょう。


こんな人がいるかどうかわかりませんが、
メタリカはそれほど聴かないけど、
ハードロック/ヘビーメタルは好きという人も、
見た方が良いでしょう。


では、メタリカファン以外にお勧めか?と問われると、
微妙・・・。


物語が面白かったら、新たなメタリカファンを増やせただろうに・・・。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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