2018年10月26日更新

デフ・レパード 2018年10月24日(水)日本武道館 ライブレポート

2018年10月24日(水)日本武道館で行われたデフ・レパードのライブへ行ってきた。


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今回は名盤「Hysteria」収録曲を"全部"演奏するという触れ込み。
そんなライブへ一緒に参戦したのは、メタル仲間の3名。


デフ・レパードをこよなく愛する後輩のゴッチ。
長崎から遠征してきたK先生。
歩く「BURRN!」ことN博士(Twitterのアカは“せんちねる”)。


K先生とN博士は、盟友のナレーター佐藤アサトの大学時代の同級生で、
2011年のデフ・レパード来日公演で知り合った後、
主にメタルを通じて交流し続けている大切な友人だ。


メタルの輪を作った当事者である佐藤アサトは、仕事のため不参加だった。


チケットはウドー会員であるゴッチにお願いして、
ウドー会員先行で小生とK先生の分を一緒に取ってもらったんだが、
当日、武道館の己の座席に到着して慄いた。


東側1階席の一番奥で、壁に張り付いた席だった。
席の真ん前は通路だ。


2階席の出っ張りが邪魔で、ステージ全景を見ることができない。


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上の写真は小生の席から前方に出て撮影したもの。


この席が14,000円もするS席ですか!?
この席とアリーナ席が同額ですか!?


しかも後からチケットを購入したN博士の方が、
ステージ真ん前の視界良好の席ってどういうことですか!?


ウドーさん、たのんまっせ!


ゴッチとK先生と合流し、雑談をしていると、
12月5日発売のベスト盤「THE STORY SO FAR」の宣伝が、
ステージのバックモニターに流れた。


「Vault」('95)
「Best of Def Leppard」('04)
「Rock of Ages: The Definitive Collection」('05)


一体、何枚ベスト出せば気が済むのだ…。


しかも「THE STORY SO FAR」収録の未発表曲が「Rock On(Radio Remix)」で、
新曲がディペッシュ・モードのカバー「Personal Jesus」。


全アルバムを持っている身としては、
この2曲のために約3,500円は出せん。


で、客電が落ちて歓声が沸き起こり、
その「Pesonal Jesus」が大音量で場内に流れ出した。





初めて聴いたけど、うーん、この曲は微妙だ…。
デフ・レパードがディペッシュ・モードをカバーする理由がよく分からない。


そのままフルで流れた後、
アルバム「Hysteria」収録曲のSEを短めに編集した効果音集に続いて、
ギターの長いフィードバックが鳴り響く。


そして、フィル・コリンが、
お馴染み「Women」のイントロをタメタメで弾くと、
会場は割れんばかりの大歓声。


しかし、小生の席が奥まっているからか、
全体の音が聞こえてこない。


特にヴィヴィアン・ギャンベルのギターがまるで聞こえない。


そして、ステージ全体を見渡せない。


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目の前が通路のため、
開演に間に合わなかったお客さんを誘導するために
ペンライトをかざした係員が頻繁に通り過ぎる。


この席、あかんわ…。


と、嘆いたところで状況が改善されるわけでもないので、
とりあえず「ウィメーン!ウィメーン!メェーン!メェーン!」と、
武道館の片隅で叫んでみる。


フィルのアルバム通りの素晴らしいアウトロのギターソロが終わると、
間髪入れずにアルバム収録順となる「Rocket」のSEが鳴り響く…。


やっぱり“完全再現”なんだ…。


今回の来日公演のポスターには、
「全世界2,5000万枚越えのセールスを誇る最高傑作
 『ヒステリア』全曲再現!」と記されていた。


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“完全再現”ではなく“全曲再現”である。


“完全再現”とは、
「ライブでアルバムの曲順通りにそのまま演奏すること」であると認識していたし、
一般的にもそういう定義で浸透していると思う。


わざわざ“全曲再現”と表現しているのに意味があるのか?


小生はあると思った。


アルバム通りには演奏せず、
「Hysteria」収録外の曲も交えつつ、収録曲全部を演奏すると解釈した。


小生は以前よりこのブログでも書いているが、
あまり“完全再現”が好きではない。


「どういう順番に演奏するのか」は、
ライブの醍醐味のひとつだと思っている。


オープニングの曲はなんだとか、
この曲からこの流れ!?みたいなのが楽しいのだ。


それが例え生涯の1枚として挙げられる「Hysteria」であったとしても、
“完全再現”はあまり魅力を感じられない。


デフ・レパードの来日情報を知った当初、
「Hysteria」“完全再現”だと言われ、
さらにチケット代は前回よりも数千円アップの14,000円だったので、
初めてデフ・レパードの来日公演に行くのを躊躇した。


ところが、宣伝ポスターを見ると、
“完全再現”ではなく“全曲再現”である。


「デフ・レパード レア曲演奏リクエスト」でも書いているが、
“全曲再現”という言葉によって参戦を決めた。


しかし、たまにライブで演奏するロングバージョンではなく、
アルバム通りに奏でられた「Rocket」の次に、
「Animal」が演奏された時点で、
小生が身勝手な解釈をしていたのだと否応なしに突き付けられた。


これは完全に“完全再現”だ。


しかし、ボヤいたところでどうなるわけでもないので、
とりあえず、手拍子しながら「ウォォ!」と叫ぶ。


デフ・レパードのライブでは、
必ず演奏される人気曲なだけあって、
会場は大盛り上がりだった。


お次は「Love Bites」。
ヴィヴィアンのエンディングソロ無し。


まぁ、“完全再現”だから仕方ないよね…。


2階席の梁が邪魔で、
バックスクリーンの映像がほとんど見えなかったんだけど、
「Love Bites」の時に流された映像は、
前回の来日公演のものと全く一緒だった。


そして、「Pour Some Sugar On Me」。
通常ならばライブ本編の締めを担う曲。
盛り上がらないわけがない。


アルバム通りに演奏しなくてはならないので仕方はないが、
なんだか5曲目でこの曲というのが勿体ない…。


「Pour Some Sugar On Me」を終えて、
ジョー・エリオットが初めてMC。


花道に立ったヴィヴィアンの名前をコールし、
「Armageddon It」のイントロリフが奏でられる。


楽しそうにギターを弾くヴィヴ。


2013年、ホジキンリンパ腫と診断されて、
かなり心配したが、
見た感じ全く癌を患っているようには見えない。


病気とうまく付き合っているのだろう。


そして、この曲は「Love Bites」同様、
コーラスが素晴らしい。


ノリノリのロックチューンに続いて、
「Gods of War」のイントロSEが鳴り響き、
場内がざわめく。


イントロを聴いただけでゾクゾクする。


そのまま「In the Round In Your Face」での
スティーヴ・クラークの音源に引き継がれていく。


バックスクリーンには在りし日のスティーヴの映像が映し出されているだが、
小生の席からは見えませんでした。


まぁ、何度も見ている映像だからいいや。


リック・アレンのハイハットに続き、リック・サーヴェジがベースラインを奏で、
ギターがメロディックなリフが被る。


またもやゾクゾク。


しかし何度聴いても素晴らしい構成力の名曲だ。


最近、デフ・レパードはこの手の大作を作らない。


「名ソングライターであったスティーヴがいないから無理」
というような意見を述べているファンがいたが、
単純に時代が求めていないんだろうな。


クレバーなジョー・エリオットは、音楽業界の傾向にとても敏感だから。


そして、「Don't Shoot Shotgun」。
これまで何度もデフ・レパードのライブに行っているが、
この曲を生で聴くのは初めて。


楽器陣は音量抑え気味でボーカルが目立つ印象だが、
中間のギターソロは、ガツン!とくる!
燃えるね!


初「Don't Shoot Shotgun」の後もお初の「Run Riot」。


本日、一番楽しみにしていた曲だ。


アルバム通りに「Don't Shoot Shotgun」からすぐに繋げてほしかったが、
5秒ぐらい間があった。


残念!


それでもイントロが奏でられた瞬間、血がたぎった。


いやー、かっこいいわぁ。


大して早いリズムじゃないんだけど、
デフ・レパードの中では疾走曲でしょう。


キメからのギターソロがヤバイ!
アルバム完コピだけど…いや、完コピだからヤバイのかっ!


ヒートアップした後は、しっとりと「Hysteria」。


小生の人生を変えた一曲。


この曲に出会わなかったら、ギターを弾いてみたいと思わなかった。


この曲に出会わなかったら、大学生の時に軽音楽部には入らなかった。


この曲に出会わなかったら、出会うことがなかったであろう大切な人たちがいる。


横にいるゴッチ、K先生、同じ会場のどこかで見ているN博士がそうだ。


この日、仕事をしている佐藤アサトとは出会っていたかもしれないが、
ここまで仲良くはならなかっただろう。


特別な曲の後は、「Excitable」。


スタジオ盤と全く違わぬちょっとエロいSEから、
バンドの生演奏の繋ぎは完璧。


リック・アレン良い仕事しています。


良い仕事いえば、
本日のジョー・エリオットの喉は絶好調。


数年前のライブで声の衰えを感じたこともあったけど、
喉を酷使しない歌唱法に変えたからか、
「Excitable」のエンディング前、
かなり高音パートも難なく歌いこなしていた。


スタジオ盤だとフェイドアウトだが、
ライブではキメキメキメで終わらせる。


そして、アルバム「Hysteria」のラストを担う「Love And Affection」。


1984年12月31日の大晦日、
交通事故によって左腕を失ったドラマーのリック・アレン。


リックは不屈の闘志で復活し、
1986年ドニントンで開催されたモンスターズ・オブ・ロックの舞台に立った。
(いや、座ったか…)


その時に演奏されたのが「Love And Affection」。
アルバム「Hysteria」が発売される前のことだ。


以降、この曲がライブで演奏されることは、
アルバム「Hysteria」の“完全再現”が実施されるまで、
ほとんどなかった(はず)。


今、リック・アレンは、
どんな思いでドラムを叩いているのだろうか。


「Love And Affection」が終わり、大歓声の中、
メンバーたちは一旦、バックステージへ。


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特に銘打たれてはいないが、
ここからは第二ステージといった趣に期待!


ライブ盤「VIVA!Hysteria」では、
本編後のアンコールで「Rock Of Ages」「Photograph」をやって終わりだったが、
Ded Flat Birdとして、デフ・レパードの面々が、
「Hysteria」以外のアルバムから、レア曲を中心に演奏している。


今回、「Burrn!」とのコラボ企画で、
レア曲を募集していたし、
一体、どんな構成で、何の曲を演奏してくれるのか興味津々だった。


待つこと数分、メンバーが再びステージに現れる。


「ドウモアリガトウ、トウキョー!楽しんでるかい!?」
「イエェー!!」


お決まりのやり取りの後、
ジョーがリック・アレンを紹介。


「えっ!?『Rock Of Ages』!?」と思ったら、
「Let It Go」のイントロが奏でられた。


良かった!


「Rock Of Ages」「Photograph」をやって終わりかと心配したぞ。


ザッツ・ブリティッシュ・ロック!
シンプルに始まり、中盤に様々な展開を見せる。


ギターソロでは、フィルとヴィヴが弾きまくり。


エンディングはドラムがタメにタメてから、
フィルが超高速フレーズをこれでもかっ!と引き倒す。


こりゃ凄いわ。


会場が温まったところで、
そのままアップテンポな曲が続くのかと思ったら、
「When Love And Hate Collide」。


うーん、なんか曲順があんま良くないなぁ。


でもって、この曲を聴くと、
大学3年生の時の失恋を否応なしに思い出すのであります。


もう歳も歳なんで、感傷に浸ることはありませんが…。





以前、この曲を来日公演で聴いたときは、
ジョーの声が全く出ていなかった。


この日もちょっと厳しいところがあったが、
頑張っていました。


そして、フィードバックをハイハットがそのまま引き継いで、
「Do you wanna get rocked?」


なんだこの流れは?


でもいいや、デフ・レパード屈指のお祭りソングだもの。


こぶしを掲げて「Let's get,let's get,let's get rocked!!」。


最高のロックアンセムだ!


さぁ、次はなんだ!
レア曲はまだか!


と、ここでジョーがリック・アレンをコールして立たせた。


って、ことは!?


「Gunter glioben glauchen,globen!」


「Rock Of Ages」だぁ…。


2曲続けてのロック・アンセムに、
そりゃ会場は大盛り上がりですよ。


でも「Rock Of Ages」のお出ましということは、
残すところ「Photograph」のみってことなんじゃないんですか?


そんな心配が頭を支配し、
「Rock Of Ages」の世界に入っていけない自分がいた。


「Rock Of Ages」のアウトでフィルがソロを弾き、
長ーい、長ーいフィードバック。


あぁ、もう予想通りだわ。


“ジャジャジャジャジャ、ジャジャジャー”


「Photograph」が始まった。


つまり終わりってことだ。


ジョーが「カモン、シンギン!」っていうから、
「ふぉとぐら〜ふ」って、出もしない高音コーラスをがなったさ。


でも、わたしは、違う叫び声を上げたかった。


「(これで終わっちゃ)いや〜だぁ!!!!!!!」


そんな「Rattle and Hum」…魂の叫びは届かなかった。


終わっちゃった!!!!!


圧倒的に物足りない!


時計を見ると1時間半ちょっとしかやっていない。


チケット代、14,000円だぞ!!!


ガンズみたいに3時間やれとは言わないが、
短すぎるだろう。


これ以上、持ち曲がないのならまだわかる。


でもあなたたちには、
それこそ別のセットリストでもうひとつ公演が出来てしまうぐらい、
まだまだ沢山の名曲があるではないか。


それから「Burrn!」とのコラボ企画のレア曲はどうした!?


まさか「When Love And Hate Collide」がレア曲!?


アッシにとっては、いや、デフ・レパードのファンにとっては、
レア曲じゃないでしょ。


前回の大阪公演でもやっとるがなぁ。


おいら、自分なりに一生懸命考えて投票したんですけど!


【関連記事】
「デフ・レパード レア曲演奏リクエスト」


嘘企画に踊らされた。


デフ・レパードは小生にとって特別なバンドであり、
現役バンドでは一番好きといっても過言ではない。


演奏は上手いし、
場内が爆発的に盛り上がるライブも毎回楽しみにしている。


それは今でも変わらない。


今回、席が悪かったのは、バンドのせいではない。


“全曲再現”は“完全再現”ではないと解釈してしまったのは、
招聘元のウドー音楽事務所が用いた言葉の綾であり、
これもバンドの預かり知らぬところでしょう。


それらを差っ引いたとしても、
今回はデフ・レパードのライブで、初めてのガッカリだった。


レア曲は、ウドーと「Burrn!」の連動企画であったが、
フィル・コリンが来日直前のインタビューで、
この企画で言及しているので、バンド側公認の企画であったはず。


であるならば、やっぱりちゃんと企画を成立させて欲しかった。


あと、バックステージに流れる映像が、前回のツアーの時のものの流用で、
映像がない曲が演奏される時は、
リアルタイムのライブ映像の“画出し”が流されていた。


昨今のデフ・レパードのライブは、
演出が作りこまれており、完全にパッケージ化されている。


簡単に演出を変えるのは難しいのかもしれないが、
前回とマンマ同じ映像で、ないものはその場のライブ映像ってのは、
手抜き感が否めない。


そして、何よりも演奏時間が短い!


これだけの高額チケットで、90分はないよ。


ラスベガスで「Hysteria」完全再現をやった時は、
デフ・レパードのメンバーが、Ded Flat Birdというバンド名で、
前座を務めて、代表曲とレア曲を織り交ぜて演奏している。


それを知っているからこそより不満が募る。


前回の来日公演と、
DVD「and there will be a next time...LIVE FROM DETROIT」を見て、
デフ・レパードのライブの型に嵌った感を薄々察知してはいたが、
それがますます進んでしまったようだ。


次回の来日公演があるのならば、
凝った演出はほどほどで良いから、
ライブ感重視でせめて120分ぐらいはやってほしい。


愛を込めて、切に願う。


IMG_0767.jpg


2018年10月24日(水)@日本武道館 セットリスト
01.Women
02.Rocket
03.Animal
04.Love Bites
05.Pour Some Sugar on Me
06.Armageddon It
07.God Of War
08.Don't Shot Shotgun
09.Run Riot
10.Hysteria
11.Excitable
12.Love And Affection

-Encore-
13.Let It Go
14.Love And Affection
15.Let's Get Rocked
16.Rock Of Ages
17.Photograph

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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