2008年01月24日更新

#181 『母べえ』

山田洋次監督+吉永小百合なので、

“昭和に生きた心優しきお母さんの人情劇”


だと思って見たら、反戦色がかなり濃厚な作品で驚いた。




母べえ
『母べえ』
1/26より丸の内ピカデリー2ほか全国にて
配給会社:松竹
(C)2007「母べえ」製作委員会




でもよくよく考えたら、吉永小百合は原爆詩の朗読等、反戦活動を頻繁にしているし、
人々の日常をウィットに描くことの多かった山田洋次監督も、
近年は『出口のない海』の脚本を手掛けたりしていたことを思い出した。


納得といえば納得だ。


反戦だけでなく、当時の国家権力に対する批判もある。
舞台は第二次世界大戦突入前の昭和15〜16年。
ちょっとでも「反戦!」なんて言ったら、非国民で投獄。


掲示板サイト、投稿サイトに、
匿名で誹謗中傷なんでも書けちゃう現代とは大違いだ。


吉永小百合演じる母べえの旦那さんは物書き。
反戦思想があるということで、投獄されてしまう。


以降、主人不在の一家を母べえが支えることになる。


戦争になるかならないかの微妙な緊張感の中、
庶民の暮らしも徐々に変化が見られる。


特に食事。
当然、徐々に質素になる。


『ぜんぶ、フィデルのせい』(#180参照)でもそうだったように、
食事は生活の変化を表現するのに適している。


母べえ


一方、厳しい生活の中でも海水浴に出掛けたりする姿は、
現代の休日の過ごし方と大差なく、
へっーこんな感じだったんだと思った。


昭和15、16年の人々の日常生活を知ることが出来る。


そして、反戦色が強いといっても、山田洋次監督特有のユーモアも勿論ある。
その大部分を、浅野忠信が受け持っている。


浅野忠信が演じる山ちゃんは、主不在の一家を暖かい眼差しで見つめ、
いろいろと手助けをするが、ちょっとお茶目だ。


そんな山ちゃんは、年の差が大分あるにも関わらず、
ちょっと母べえに恋心を抱いたりする。


普通で考えると、かなり違和感があるのですが、
母べえを演じている吉永小百合が62歳とは思えない美しさなので、
意外と納得出来てしまう。


いやー、吉永小百合、本当に綺麗だわ。


実はこの作品を見て、つまらないとか、ダメとかはなかったんだけど、
テーマ性とかは、あんまり心には響いてこなかったんですよ。


一番、響いたのは吉永小百合の美しさでした。






『母べえ』
※浅野忠信 インタビュー 動画 テキスト


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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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