2008年04月15日更新

#209 『大いなる陰謀』

停滞する対テロ戦争。
戦火のアフガニスタンで高地を占領する新作戦を推し進め、勝利に導き、
政界での地位をより確固たるものにしようと試みる、野望に満ちたアーヴィング上院議員。


突然、アーヴィングの執務室に呼ばれ、彼から新作戦についての情報をリークされ、
更に好意的な報道をするように促されるベテラン女性ジャーナリスト、ジャニーン。


学生たちに世の中のために何が出来るのかを、
執拗に投げかけ続けるカリフォルニア大学教授のマレー。


マレー教授から無関心でいることは愚かなことだと諭される学生トッド。


マレー教授の教え子で、志願兵としてアフガニスタンの戦地で、
高地占領作戦に従事するアーネストとアーリアン。


それぞれの物語が1本の線に結ばれた時、我々が目にする光景とは?




大いなる陰謀
『大いなる陰謀』
1/18より日劇1ほか全国にて
配給会社:20世紀フォックス映画
(c)2007 Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.




トム・クルーズ、メリル・ストリープ、ロバート・レッドフォード3大スター共演!!


・・・・・・


共演じゃないじゃん。


トムとメリルは絡むけど、トムとレッドフォードは無し。


メリルとレッドフォードはかつて『愛と哀しみの果て』があるからまだいいけど、
トムとレッドフォードは初コラボ。
なのに共演シーン無し。
普通、見たいだろう。


大スターの共演シーンがないからか、物語のラストも感動的に集約しない。
残念だ。


また、彼らの登場シーンは、トムとメリルは執務室、レッドフォードが教授部屋。
ほとんど動かない。


アフガニスタンに赴くアーネストとアーリアンの動きのあるシーンが、
随所にインサートされるけど、会話中心に物語が進行し、ちょっときつい。


特にレッドフォードのパートは、イマイチ会話の内容がピンとこない。
オレ、日本人だからさ・・・


とはいうものの、アメリカが今、置かれている状況が良く判る。
その状況が、誰によってもたらされ、動かされ、そして、どう報道されるのか。
それに対して、未来を担う若者たちが何を考えているのか。


特にトムとメリルのパート、
たった一人の野心が、多くの人々の命に関わるという恐怖と、
正確な情報を伝えることの出来ない報道業界のジレンマ。
これはとても興味深かった。


9.11直後、政府がどう動き、どう報道され、どう世論が動いたのか?
それが正しかったのか、間違っていたのか?
そして、再び同じことを繰り返すのか?を問い掛けている。


イラク戦争が現在進行する中、今のアメリカの是非を問う作品は多くある。
『大いなる陰謀』もそんな一本でしょう。


あと、本作を見たら、
トム・ハンクス主演『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』 (5/17公開)も見て欲しい。
出来れば、『チャーリー』→『大いなる陰謀』の順番が望ましいんだけど、
公開の順番が逆だから仕方なし。


『チャーリー』は、現在の反アメリカ的中東情勢の要因に触れている。
『大いなる陰謀』は、その後を描いている。


『チャーリー』に出てくるとあるシーンでの、あの判断がもしも違っていたら、
『大いなる陰謀』でアーネストとアーリアンは、
アフガニスタンなんかに赴任することもなかっただろうに・・・
繋がっているんだよね。


『チャーリー』は実話。
『大いなる陰謀』はフィクションだけど、リアリティのある話だ。
アーヴィング上院議員みたいな人はいるだろうと思い至る。


たった一人の人間によって、世の中が大きく揺れ動く。
そう思うとおっかないな・・・

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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