2008年07月02日更新

#243 『クライマーズ・ハイ』

昔、おばあちゃんが言いました。


“暑い夏には熱いものを飲みなさい”


そして、今、伊藤Pが言います。


“暑い夏には暑い映画が見なさい”


昨日取り上げた『ホット・ファズ』もHOTだけど、
『クライマーズ・ハイ』も熱い。




クライマーズ・ハイ
『クライマーズ・ハイ』
7/5より丸の内TOEI1ほか全国にて
配給会社:東映、ギャガ・コミュニケーションズ




1985年8月12日。
群馬県御巣鷹山に散った520名の命。
日航機墜落事故を追いかけた地方新聞社の記者たちの壮絶なる1週間を描いた人間ドラマ。


今から5年前、横山秀夫の原作を読んだ時の興奮が忘れられない。
この本は伊藤Pの生涯ベスト5本に認定された。


映画と原作は違うとはいえ、『終戦のローレライ』、『亡国のイージス』など、
生涯本の映画化がことごとく失敗こいているので、
『クライマーズ・ハイ』も気が気じゃない。


しかも、監督は誰あろう、


“原作を読んでいないと理解できない映画を作る天才”原田眞人。


「うわぁぁぁ・・大丈夫かいなぁ〜」と不安大先行の状況で鑑賞開始。


冒頭の小川のシーンのセリフが無茶苦茶聞き取り難く、
“やべぇ、出た原田眞人節。2時間半これ?”
という失望感に襲われるも、以降はモリモリ盛り返し!


素晴らしかったっす。


細かい編集、振れまくるカメラ、セリフの応酬と、
原田眞人節を炸裂させながらも、原作にあるポイントを上手く散りばめ、
一本の線にしてドラマチックに盛り上げてくれました。


組織の中で上と下とに挟まれながら苦悩し、
部署間や上司との軋轢と戦う主人公悠木。
それについていく部下や仲間たちの姿に、原作同様、目頭が熱くなりました。


地方紙の弱みと強み。
プライドと意地。


熱い。本当に熱い。
こういう情熱と信念を持って仕事をしている人が一体、今の日本にどれほどいるのか?
(伊藤Pは・・・・あはははははっ!笑って誤魔化そう)


堤真一演じる悠木と、同僚の等々力役遠藤憲一との居酒屋バトルとか、
喧嘩しているのに根底に流れる仲間の絆を感じてしまう。
う〜、たまんねぇよぉぉぉ。あちぃぃよぉぉぉ
この言い争いがあるから、後の展開がよりグッくるんだよねぇ。


熱い人たちを見ている観客も熱くなる。


伊藤PはGyaOのスタッフ数名と一緒に見たのですが、
鑑賞直後、原作と映画に関する熱い思いを記したメールが飛び交った。
それ程熱い。


クライマーズ・ハイ


全権デスクを任せられた悠木は、やり場のない怒りをゴミ箱にぶつけて、
思いっきり蹴飛ばす。


この映画がヒットして、多くの人が見てくれたら、
日本の企業で怒りながらゴミ箱を蹴飛ばす、
『クライマーズ・ハイ』ゴッコが流行るかも!


そうだ!熱くなれ!!
社内ヒートアイランド現象だ!!


やっぱり仕事には誇りを持たないといけない!!


日本を活性化させるのだ!!


って、違うベクトルに向かってしまいましたが、
本当に熱い作品です。
久しぶりにしびれましたよ、原田監督!


クライマーズ・ハイ


でも、、ちょっとだけ残念な点もある。


原作にあったもっとも好きな、


「何で山に登るんだ」
「下りるために登るんさ」


というセリフがかなり軽視されていること。


この言葉は本当に重要だ。


このセリフは、人生の縮図を表していると感じた。


人生いろいろあるけど、人はそれを乗り越えて強くなっていく。


その困難が山であり、登ったら降りる。


山を登った達成感。
困難を乗り越えた達成感。


人生はそれの繰り返し。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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