2011年06月17日更新

#589 『ロスト・アイズ』


ロスト・アイズ

『ロスト・アイズ』

6/18よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国にて
配給会社:プレシディオ
(C)Rodar y Rodar Cine y Television, S.L / A3 Films, 2010




『パンズ・ラビリンス』「ヘルボーイ」シリーズのギレルモ・デル・トロが、
製作総指揮を務めたスパニッシュ・ホラー。


いや、ホラーじゃないな・・・。
全然、怖くないからね。


ジャンル分けするのならば、サスペンス映画かなと。


角膜手術を終えたばかりの全盲の女性サラが、自宅で首吊り自殺をした。


サラの双子の妹フリアは、姉の死は「他殺ではないか?」という疑問を抱き、
独自の調査を始める。


やがて、フリアはサラに恋人と思われる男性がいたことを突き止めるが、
誰もが口を揃えて「彼の顔を見ていない」「覚えていない」を言う。


そして、調査を続けるフリアも次第に視力を失い始めるとともに、
不審な男の人影がチラつき出し・・・。


ロスト・アイズ


盲目の人が主人公のサスペンス映画は、過去にもいくつかある。


古くはオードリー・ヘップバーン主演の『暗くなるまで待って』(67)、
ちょっと前だと、オキサイド・パン&ダニー・パン監督のタイ映画『THE EYE【アイ】』(03)、
そのリメイクとなるジェシカ・アルバ主演の『アイズ』(08)、
集団失明パニック・サスペンス、フェルナンド・メイレレス監督作 "_blank">『ブラインドネス』(08)などなど。


田中麗奈が盲目の女性を演じた『暗いところで待ち合わせ』という日本映画もある。


ロスト・アイズ


『ロスト・アイズ』がこれらの作品と違うのは、
主人公フリアの視力が段々と落ちていくという点かな。


更にフリアは一度視力を失ってから、再び見えるようになる。
それを敵に悟られないようにする展開も、今までにないパターンだと思う。


カメラがフリアの目線となり、
フリアの視力が落ちていく過程を観客に見せたり、
ある男性の顔を全く映さないなど、なかなか凝った演出が施されている。


が、しかし!


全く怖くないのだよ・・・。


目が見えなくなる恐怖を主人公と共に味わうという点では、
『ブラインドネス』の方が100倍怖かった。


男性の顔を映さない演出も、顔が出た瞬間、「だから?」ってな感じで、
あまり効果的とは思えなかった。


そして、致命的なのが、ヒロイン。


フリアを演じるのは、『海を飛ぶ夢』、『永遠のこどもたち』などに出演していたベレン・ルエダ。


ロスト・アイズ


演技力は申し分ないのだが、いかんせん、年齢が・・・。


1965年生まれなので、この映画の出演時は44〜45歳。


あまり女性の年齢をどうこういうつもりはないけど、
サスペンス映画のヒロインにするにはちょっと薹(とう)が立ち過ぎているでしょう。


喜ぶのは熟女芸人ぐらいか?


ところが、熟女芸人以外にも喜ぶ奴がいたんだな。


それは誰であろう、サラとフリアを付け狙う本作の犯人君だ。


盲目の熟女が大好きなストーカーで、
オツムも完全にいかれている。


サラとフリアに対するマッドな思いと行動は、
ほとんどギャグ状態。


「おいおい、お前さんは何がしたいんだよ」って、
笑いながら突っ込んでしまいましたよ。


ネタバレになるから書けないけど、
盲目フェチとなるトラウマも、
あまりの内容に失笑してしまった。


いや〜なかなかのサイコ野郎でした。


もしも見るのなら、
悲しき犯人君のキャラを楽しもう!という姿勢で見るのが良いでしょう。


「私にとって、本当に奇跡のような作品だ」というデル・トロのコメントがあるんだけど、
ホンマでっか!?


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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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