2011年06月27日更新

#592 『ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版』(爆音上映)


ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版

『ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版』

7/2よりシアターN渋谷ほか全国にて順次公開
配給会社:シナジー
(c)1982-PROMOTOUR,B.V. 




吉祥寺バウスシアターの名物イベントである爆音映画祭。


その名の通り、通常の映画用音響ではなく、
ライヴ音響システムを使用した迫力のライヴ・サウンドで上映する映画祭だ。


そして、第4回となる爆音映画祭2011のオープニングを飾る
『ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版』を見に行った。


1981年に行われ、200万人以上の動員を記録したストーンズの3年ぶりとなるアメリカン・ツアーのうち、
アリゾナ州のサン・デビル・スタジアムの屋外のショーと、
ニュージャージー州のメドーランズ・ブレンダン・バーン・アリーナの屋内のショーの模様を
記録したライブ・ドキュメンタリー映画だ。


監督は、『帰郷』、『チャンス』などを手掛けてきたハル・アシュビー(88年に他界)。


デジタルリマスターされる前の本作をテレビで見たのはいつのことか、
記憶が定かでは無いんだが、多分高校生ぐらいの時だと思う。


当時はバリバリのビートルズ派で、あまりストーンズに詳しくなかったからか、
どんな曲を演奏していたのかとか、細かいところは全く覚えていない。


ただ、カッコイイのカッコ悪いのかよくわからない、
凄いセンスの衣装で踊っているミック・ジャガーの姿は、
かなり強く印象に残っていた。


ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版


あと、会場を飛び交う風船ね。


そんな程度の記憶しかなかったし、
今と昔のライブの撮り方の違いの確認や、
当時の熱気を感じたかったから、
今回、何十年振りかに見られるのを楽しみにしていた。


しかも爆音だからね。


まず、本編はメンバーたちが、
サン・デビル・スタジアムのステージに上がるところから始まる。


メンバーと一緒に観客を会場へと連れて行くかのようだ。


オープニングは、
66年に発表されたアルバム「アフター・マース」に収録されている「UNDER MY THUMB」。

ミック、キース・リチャーズ、ロン・ウッド、チャーリー・ワッツ、みんなワケェ!!


キースには皺があまりないし、
チャーリー・ワッツには髪の毛がある!(テッペンはハゲているけど)


そして、みんな良い体をしている。
特にキースは、ドラッグまみれだったのが嘘のような筋肉質な肉体を披露している。


ザ・ローリング・ストーンズ レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー HDリマスター版


60年代〜70年代初頭のストーンズといえば、
ブライアン・ジョーンズの死、死者を出したフリーコンサート、オルタモントの悲劇とか、
ダークなイメージが強かったが、
80年代のストーンズは、健康路線!


でも、キースとロンはガンガン、ステージでタバコ吸いまくっている。


そんな中途半端さがまたカッコイイ。


もちろん、ビル・ワイマンは動かない!


2曲目のタイトル曲「LET’S SPEND THE NIGHT TOGETHER」以降は、
ツアーの直前発売されたアルバム「刺青の男」の収録曲を中心にしたセットリストだからか、
まだ陽が出ているせいか、イマイチ、10万人の観客が乗り切れいていないように感じた。


しかし、「TIME IS ON MY SIDE」で一気に流れが変わる。


ストーンズの数ある名曲の中でも名曲中の名曲だ。


感動的なバラードで、観客のハートをキャッチ!


映画館で見ているコチラにもその感動が伝わってきて、
全身に電気が走った。


この曲が、序盤から中盤にかけてのハイライトであることは、間違いない。


その後、メドーランズ・ブレンダン・バーン・アリーナでのショーに切り替わってからは、
もう怒涛。


「TUMBLING DICE」、「MISS YOU」、「LET IT BLEED」、「START ME UP」、
「HONKY TONK WOMEN」、「BROWN SUGAR」、「JUMPIN’ JACK FLASH」、
「【I CAN’T GET NO】SATISFACTION」と、
ストーンズに詳しくなくても、ある程度のロックファンだったら、
誰もが知っている曲のオンパレード。


当然、ボルテージも上がりますわ。


映画館の椅子に座っているのが、辛い。


押し踏みしてぇ!
腕振りあげてぇ!
飛び上がりてぇ!
一緒に叫びてぇ!


それにしても、ミック・ジャガーの運動量は凄い。


映画は90分だが、実際のライブは2時間15分にも及んだという。
その間、一部、キースにボーカルを譲るも、
ほとんど歌いっ放しの、踊りっ放し。


とんでもない声と体力の持ち主だ。


キースは、独特のパフォーマンスでギターを奏で、観客を盛り上げ、
ロンは、的確にリズムを刻み、時にソロで魅せる。


チャーリー・ワッツは、当然、ハイハットに注目だ。
スネアを叩く際にハイハットをお休みする「省エネ奏法」だね。


ビル・ワイマンは・・・あまり映らん!
(それで良いんです!!)


あと、元々はストーンズのメンバーで、デビュー前に脱退した(脱退させられた)ものの、
その後もレコーディングやライブに参加している「6人目のメンバー」、
イアン・スチュアートのピアノが良い。


とても4年後の85年に、47歳の若さで他界するとは思えない。


編集も映画の進行に沿うように、
メドーランズ・ブレンダン・バーン・アリーナの映像が加わってから、
かなり凝り始める。


ハル・アシュビー監督は、もともと編集マンで、
『夜の大捜査線』でアカデミー編集賞を受賞しているから、
かなりこだわったのでしょう。


で、もって、爆音上映ということで、
気になる音はどうだったかというと、もう一歩という感じかな。


当時の録音技術を考えると仕方がないことだと思うが、
低音が弱い。


一方、高音は、
元々キースのテレキャスが、キンキンだし、
観客の声援もかなりの音量で入れているので、
かなり回っちゃっていて、常にキンキンしている。


資料には、ハル・アシュビー監督の


「観客が常にステージの前面で見ているような臨場感を伝えるドラマチックな構成にした」


という記述があるので、
意図的に観客の声援の音量を上げているのでしょう。


確かに、ライブを見に行った時と同じような、
耳への圧迫と痛みを感じたし、
上映終了後は、キィ〜ンという耳鳴りがしたので、
そういった点では監督の狙い通りだったのかもしれない。


これは81年の映画だということをキチンと認識してから見た方が良い。


そして、今の録音技術で録音されたライブを爆音上映で見たい!
という次に繋がる渇望を覚えるのでありました。


本作の爆音上映は、一夜限りでもう終了してしまいましたが、
通常版の上映が、7月2日(土)より全国の劇場でスタートします。


吉祥寺バウスシアターの爆音映画祭は、7月9日(土)まで。
(公式サイト:http://www.bakuon-bb.net/2011/


爆音映画祭2011


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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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