2012年05月17日更新

#662 『ダーク・シャドウ』

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『ダーク・シャドウ』
2012年5月19日より丸の内ルーブルほか全国にて
配給:ワーナー・ブラザース映画
©2012 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED


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ジョニー・デップとティム・バートン監督8度目のタッグとなるダーク・ファンタジー。


1回目:『シザーハンズ』(1990)
2回目:『エド・ウッド』(1994)
3回目:『スリーピー・ホロウ』(1999)
4回目:『ティム・バートンのコープスブライド』(2005)
5回目:『チャーリーとチョコレート工場』(2005)
6回目:『スウィーニー・トッド フリート街の悪魔の理髪師』(2007)
7回目:『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)
8回目:『ダーク・シャドウ』(2012)


2005年の『ティム・バートンのコープスブライド』から『ダーク・シャドウ』まで、
全てのティム・バートン監督作品の主演はジョニー・デップだ。


飽きないのか?


因みにティム・バートンの私生活でのパートナーであるヘレナ・ボナム=カーターは、
2人が出会うきっかけとなった『PLANET OF THE APES/猿の惑星』(2001)以降、
全てのティム・バートン監督作品に出演している。


2人は正式に結婚していなけど、夫婦みたいなもんでしょ。
家にも職場にも伴侶が常にいるって嫌じゃないのかね?
なにも内緒事ができないじゃん。


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なんだか山崎豊子先生みたいすね


それはともかく、ティム・バートン監督としては、
ヘレナやジョニー・デップとは本当に仕事がし易いんだろうね。


ティム・バートンの作品は全てが(良い意味で)“変”なので、
まともな役なんてない。


そういう奇天烈な役を安心して任せられるのが、この2人なのでしょう。


だからジョニー・デップはティム・バートン作品で、
変人ばかりを演じてきている。


両手がハサミの人造人間、史上最低といわれた実在の映画監督、
科学しか信じないちょっと変わった捜査官、だいぶ変わったチョコレート工場の運営者、
マッドな理髪師、不思議な国に暮らすこれまたマッドなハンター。


顔が白い人ばかりなんだけど、今回も白い。


またかいな!!!って言われそうだけど、
同じようであって同じじゃない。


それがジョニー・デップとティム・バートンの凄いところ。


今回、ジョニー・デップが演じるのはヴァンパイア。
自身初の吸血鬼役だ。


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18世紀半ばのアメリカ。
未開の港町を切り拓き大富豪となったコリンズ家。


「家族こそが財産」という父の教えを胸に若き当主となったバーナバス。
しかし、彼はプレイボーイだった。


使用人のアンジェリークに手を出したが、
やることやったら厄介払い。


アンジェリークの正体が嫉妬深い魔女だとも知らずに、
新しい恋人ジョゼットと愛を誓い合ってしまう。


怒りに燃えたアンジェリークによって、両親、ジョゼットを殺されたバーナバスは、
自らも呪いによってヴァンパイアにされ、しかも棺に入れられ生き埋めに・・・。


200年後の1972年。


偶然、建設工事で棺を掘り起こされ蘇ったバーナバスは、
かつての住処へと訪れる。


見る影もなく没落した一族に落胆するバーナバスだが、
かつての栄光を取り戻すために、一族の絆を取り戻すために、再興に乗り出す


しかし、彼らの前に、コリンズ家に変わって街を牛耳るアンジーが立ちはだかる。
彼女こそ、バーナバス、そして、コリンズ家を窮地に陥れたアンジェリークだった・・・。


以降、バーナバス&コリンズ家VSアンジーの攻防戦が繰り広げられるわけですが、
時にシリアスであり、時にアホらしい。


「トムとジェリー」みたい。


両親、恋人を殺され、コリンズ家を没落させられ、
更に自らもヴァンパイアにされ、200年も生き埋めにされたら、
復讐に燃えるのが当たり前。


当然、バーナバスも一家の復興と復讐に躍起になるが、
アンジーの色仕掛けに簡単にはまっちゃったりする。


で、後悔・・・。


アホ過ぎる・・・。


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でもバーナバスはプレイボーイという設定なので納得できる。
そもそも欲望のために理性を失ってしまうのは、男の悲しい性か・・・。


バーナバスは、真面目で、優しくて、家族思いなんだけど、
やっぱり男なのである。


そして、バーナバスはヴァンパイアである。
でも本人は望んでヴァンパイアになったわけではない。


おまけにコリンズ家にやってきた新米家庭教師のヴィクトリアが、
かつての恋人ジョゼットにそっくりなため、一目惚れ。


バーナバスはなんとか人間に戻って、恋を成就させたいと思うようになる。


でもバーナバスは、人間の血を吸ってしまうし、日光を浴びると燃えてしまう。
やっぱりヴァンパイアなのである。


また、バーナバスは200年の時を経て1972年に蘇る。
その間に世の中は相当変わってしまった。


バーナバスは、ギャップに戸惑う。
意外とお茶目で、そこがまた面白い。


そんな悲しくも愉快なバーナバスをジョニー・デップが好演。


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本作は元々は1966年から71年に全米で放送されたテレビドラマで、
ジョニー・デップがそのドラマの大ファンだったという。


自ら映画化の権利を得て、プロデュースに乗り出すほどの熱の入れよう。


本当に念願だったようで、楽しそうにバーナバスを演じているのが分かる。


そんなジョニー・デップを取り囲むほかのキャストも大変魅力的。


コリンズ家の末裔で、現在の一族の女家長エリザベス役のミシャル・ファイファー。
エリザベスの娘で反抗期真っ只中の娘キャロリンに扮するクロエ・グレース・モレッツ。
屋敷に居ついている精神分析医のジュリアにヘレナ・ボナム=カーター。
屋敷の使用人を演じたジャッキー・アール・ヘイリー。


個性豊かな面々が集結。
各キャラクターの設定もしっかりなされ、ユニークだ。


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そして、なんと言っても一番インパクトが大きいのが、
アンジェリーック(アンジー)を演じたエヴァ・グリーンでしょう。


憎たらしいんだけど、妖艶な魅力を撒き散らし、見る者を虜にする。
こりゃ、バーナバスも落ちるわ・・・って。


バーナバスとアンジーが繰り広げるチョメチョメシーンは、
『シューテム・アップ』以来の過激さ(?)で、大笑いでした。
(劇場で見たので声を出して笑いはしなかったが、心の中で大笑いした)


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こういう演出をするのが、やっぱりティム・バートンなんだよなぁーと思った。
いつまでも子供だ。


この他にもティム・バートンらしさが随所に散りばめられている。


■舞台を街にする。
『スウィニー・トッド』『スリーピー・ホロウ』、『バットマン』、『シザーハンズ』など。


■屋敷や城が登場。
『アリス・イン・ワンダーランド』、『バットマン』、『ビートルジュース』など。


■建物への執着。
『チャーリーとチョコレート工場』、『ビッグ・フィッシュ』、『ビートルジュース』など。


■変人が登場。
全作品。


■ブラック・ユーモア。
全作品。


どこを切っても、ティム・バートン・ワールド。


なのでティム・バートン監督作品が好きな人にはたまならい一本でしょう。


ブラック・サバスやアリス・クーパーといったハードロックファンには嬉しい選曲も良かった。


個人的には『アリス・イン・ワンダーランド』よりも好きですね。


強いて言えば、もう少しキャラクターを生かして、
クライマックスを盛り上げてくれたらなぁ〜って。


撮影当時14歳にして凄まじくエロい、
クロエ・グレース・モレッツの役回りとか、かなりもったいない。


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それさえあれば、ジョニー・デップ×ティム・バートン作品で、
一番好きな作品に成り得たのだが・・・。


キャラクター重視の作品なので、続編を作ることも十分可能だと思う。
是非、続編を製作して、各キャラクターをもっともっと活用して欲しいな。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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