2017年11月17日更新

銀座路地 PART1 ティファニー本店と英國屋の間

2017年9月7日の夜。
10分ぐらい時間を潰す必要があり、
地元吉祥寺のブックオフへ赴いた。


ブックオフでお目当てとなるのは、
1Fの紀行・旅行・ガイドブックコーナー。


特に紀行系は、リーマンが好みそうな居酒屋、定食屋、
廃線を巡る旅の本、坂道や階段をクローズアップした本など、
小生の趣味である散策のネタ元になる。


そして、この日、一冊の本の背表紙に目が行った。


『東京「裏路地」ブラ歩き』(著:岡本哲志)。
※以降「裏路地本」


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手に取ってみると、タイトルの通り、
東京の路地に焦点を当てた本だった。


オフィスのある有楽町・銀座や、
京橋・日本橋・築地・月島といったちょっと足を伸ばせば行ける所、
更には吉祥寺と射程距離圏内の路地を紹介している。


再開発が進み東京において、
昭和の雰囲気を醸し出す路地は貴重な存在。


銀座には様々な路地があることを知ってはいたが、
どこにあるのかきちんと把握していなかった。


この本には詳細が記されている。


定価1600円が900円ぐらいになっていた。


200円以上の古本はあまり買いたくないが、
ライフラークの散策に役立ちそうなんで購入。


翌朝、通勤電車に乗りながら熟読しているうちに、
東京駅へ到着。


いつもは健康のために東京駅の地下をぐるっと回って、
オフィスのある銀座まで歩く。
(昨冬は四谷から歩いていたが、夏場は暑くて無理)


この日は天気も良かったし、残暑も厳しくなかったので、
早速、この本で紹介されている路地を巡りながら出勤することにした。


「裏路地本」の第一章となる“ティファニー横の路地から奥野ビル”を
本とは逆から回っていく。


まずは東京駅から銀座一丁目駅に近い奥野ビルを目指す。


奥野ビルは手動で開閉するエレベーターがあることで有名なビル。


これまで読んできた散策本やウェブで何度も紹介されていたんだけど、
まだ行ったことがなく、いずれは…と、ずっと思っていたんで、
今回、良いきっかけとなった。


東京駅から歩くこと数分で、奥野ビルに到着。


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なるほど…味がある。


昭和7年(1932年)の竣工当時は、高級アパートだったが、
現在はギャラリーやショップが入店している。


あまり時間が無いけど折角来たんで、
手動開閉エレベーターは見てみたい。


建物の中に足を踏み入れる。


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デカいタイル。


映画業界にいた身としては、
京橋にあった片倉ビルを思い出した。


昭和22年竣工のモダンなビルで、
現在は円山町に移転した映画美学校とその試写室があった。


映画宣伝マンだった時は、担当作品のマスコミ試写の立ち合い、
媒体側になってからは、マスコミとして沢山の映画を鑑賞した。


この片倉ビルのトイレが、超レトロなタイル張りで、
便器は確か石造だったと記憶している。


片倉ビルは2010年に解体され、
現在は商業&オフィスの東京スクエアガーデンとなっている。


片倉ビルを筆頭に、昭和に建設されたビルが、
都市開発、老朽化という名目で次々と姿を消していく中、
奥野ビルは大変貴重な存在だ。


商業施設が入っているので、
入居者以外も立ち入りOKだが、
何故か悪いことをしているみたいでドキドキする。


ビル内を少し歩き回り、エレベーター前に。


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エレベーターの左側には、
利用についての8箇条が掲げられていた。


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“ドアー”という表現が良い。


地震対応がしっかりとなされており、
古いながらも進化を遂げてきたようだ。


熟読し、「呼」ボタンを押してみる。


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よくよく考えると、エレベーターのボタンで「呼」は見たことないかも。


5階にいたエレベーターの箱が、1階へと降りてくる。
それを示すのが針。


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今のエレベーターの運行階表示器は、
デジタル表示が殆ど。


針がジィィィィと動く。


程なく、エレベーターの箱が1階に到着。


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茶色の乗馬ドアーを引く。
意外と重く、押さえておかないと閉まる。


内側の篭ドアー(伸縮扉)は、
なんだか海外の古い建物のエレベーターの様。


エレベーターの中で、マイケル・ダグラスとグレン・クローズが絡む『危険な情事』。


エレベーターが印象的に使われる『エンゼル・ハート』を思い出す。



良くできた予告編だ…本編は微妙だったなぁ…


エレベーターに乗って、上の階に行きたいところだが、
出社時間が迫ってきているので、今回はここまでにすることに。


次回は仕事帰りに寄って、エレベーターに乗ろう。
その時までお預け。


続いて、ティファニー本店横の路地を目指す。


3分足らずで、ティファニー本店の裏側へ。


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右側のビルは、オーダーメイド紳士服の老舗・銀座英國屋が入居している新銀二ビル。


早速、路地に入っていく。


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夜になると、路面が赤い水玉模様にライトアップされるらしい。


たかだか数十メートルの路地だが、
通り抜ける間に通行人2人と擦れ違った。


上を見上げる。


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排気口が、なんだか取って付けたようだ。
プログレバンドのジャケットになりそう。


路地を抜けると、昭和30年4月建立の銀座発祥の地の碑。


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慶長17年(1612年)徳川幕府此の地に銀貨幣鋳造の銀座役所を設置す
当時町名を新両替町と称せしも通称を銀座町と呼称せられ
明治二年遂に銀座を町名とする事に公示さる



両替町で検索してみると静岡市葵区の地名がヒットする。


元々は慶長11年(1606年)、駿河のこの地に銀貨鋳造所が置かれ、
両替町となっていたが、6年後に今の銀座に移設となった。


だから銀座の旧称は、新両替町なんだ。
知らなかった。


銀座中央通り越しに路地を見る。


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何度もこの通りを歩いたが、
このような路地があるなんて、全く気が付かなかった。


路地としては短く、歩いた感はあまりないが、
「へっー、こんなところに路地があるなんて知らなかった」感は強い。


奥野ビルへ行けたのも良かった。


2011.3.11の東日本大震災を受けての耐震や、
2020年の東京オリンピックを前に、
東京はどこもかしこも再開発の波が押し寄せている。


オフィス近く、有楽町〜新橋間にあるバリ昭和なインターナショナルアーケードや、
その対岸の有楽町寄り、飲食店がひしめくガード下も再開発が始まった。


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「裏路地本」には掲載されていないが、両者とも立派な路地だと思う。
(特に後者はバリ路地)


ダクト剥き出しで、身を屈めて歩く。
暗くてちょっと臭くって、埃っぽい。


全部マイナス要素なんだけど、やっぱり味がある。


銀座は日本屈指のオフィス&繁華街だが、歴史のある土地。


そこは残してほしいなぁ。

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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