2017年11月29日更新

銀座路地 PART2 豊岩稲荷と路地の消滅

『東京「裏路地」ブラ歩き』(著:岡本哲志 ※以降「裏路地本」)。


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たまたまブックオフで手にして購入した本書で紹介されていた銀座の路地、
“ティファニー横の路地から奥野ビル”を逆から巡った日の昼休み。


これまでベジマイトデスソースといった過激な食品の存在を教えてくれた同僚のワカと
昼飯を食いに行くことになった。


オフィスのある銀座・有楽町界隈は飲食店の宝庫。
ランチを提供してくれる店はいくつもある。


にも関わらず、これといった店がなく選択肢が限られ、
いつも「何処へ行く?」となる。


で、結局、よく行く中華、パスタ、カレー、
蕎麦、韓国料理の店を日替わりで利用することになる。


この日は天気も良いし、
ランチの時間を削るほど特急で処理しないといけない仕事がなかったので、
少し遠出ランチをワカに提案。


その店は「裏路地本」に載っていた銀座初のとんかつ店梅林。


昭和2年(1927年)創業の老舗。
しかも銀座。


どんだけ高いんだろうと思ったら、
カツ丼、カツライス、メンチカツライスなど1000円のメニューがあった。


ワカも「カツいいですねぇ〜」と賛同してくれたので、
行ってみたんだが…満員。


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じゃぁ、同じく「路地裏本」に載っていた釜飯にしようと梅林を後にした直後、
交詢ビルに面した近くの雑居ビルのランチの看板が気になった。


天ぷら定食 1000円。


吸い込まれるようにエレベーターに乗り込む。


エレベーターの案内を見ると、
銀座の高級クラブがひしめくビルだった。


目的の店が入店している階でエレベーターが停まり、
扉が開くと和服姿の女性が「いらっしゃいませ」とお出迎え。


ランチなのに…。
驚いた。


その女性に導かれて入店し、天ぷら定食を注文。


数分後、運ばれてきたのがコチラ。


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海老、鯵、イカ、ししとう、カボチャ、茄子…
天ぷらだけでかなりの品なうえ、小鉢とおしんこも付いてくる。
ご飯、みそ汁おかわりOK!
ボリューム満点!


そして、何よりも天ぷらがスーパー美味い!!
揚げたてで衣はサクサク。


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厨房の料理人さんたちは、これぞ職人という精悍さなんだけど、
「味はどうですか?」「また来てくださいね」と気さくに話してくれる。


フロア担当の方々も見事な接客。


料理人さんに聞いたら、最近ランチを始めたらしい。
日替わりランチがあるので、毎日来ても昨日とは違う美味しいご飯が食べられる。


また来たいと思わせる店って、実はそんなにない。


この店はパーフェクトでした。
衝撃だった。


ワカも満足だったようだ。


美味しいご飯を食べた後は、消化しましょう。


「裏路地本」によると梅林の横から、
銀座屈指の路地があるらしいので、
ワカと行ってみることに。


梅林の左横の路地。


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「これ、行っても良いんですか?」と、
ワカが不安になるのも解るぐらい怪しい。


奥に行けば行くほど、その怪しさは倍増。


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そこは平成ではなく、昭和の風情。


この扉の中には何が入っているの?


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先陣を切ってワカが路地を突き進むと、
突如自動ドアが出現。


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まさかこんなところに自動ドアが現れると思っていなかったワカは、
「なんですか!これは!」とセオリー通りの反応を示していた。


状況的に、
「この先私道のため通り抜けできません」
「関係者以外立入禁止」
な感じだが…


「通り抜けできます」という心温まるワードが掲示されていた。


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路地の存在意義を理解しているであろう、
ビルのオーナーの粋な計らいなのでしょう。


自動ドアを抜けるとカフェの店内を横断。


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なんとも不思議な感覚。


カフェを抜けるとまた自動ドア。


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路地がお店を貫いている。


「裏路地本」にも書かれてたが、
路地ありきで、カフェが建てられたのは明らか。


綺麗な自動ドアの先の光景。


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自動ドアが透明でないところに、
開けた時のギャップを楽しんでもらいたいという思惑を感じる。


電線ひしめく路地を歩いて行くと、
右側にお稲荷さんが現れる。


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「裏路地本」を読んでいたので、
ここにお稲荷さんがあるという事前情報は得ていたが、
なにも知らないワカは、「こんなところに!!」と驚いていた。


このお稲荷さんは豊岩稲荷神社。


最新は稲荷大神(宇気母智神)。
江戸初期から火事を防ぐ神、縁結びの神として信仰を集めたようだが、
宇気母智神を調べると、食物の神様で別名が保食神(うけもちのかみ)。


火事も縁も関係ない。


日本は多神教。
地域ごとに信仰が異なるので、一定の枠に収まらない。
それもまた日本の神道の魅力でもある。


豊岩稲荷をネットで検索すると御朱印が出てくる。
毎年11月の頭に「AUTUMN GINZA」というイベントがあり、
その中で銀座八丁神社めぐりというスタンプラリーが開催されている。


豊岩稲荷のほか、銀座にある11社をめぐって、
各神社の御朱印スタンプを押していくというもの。


「こんなのあるよ!」と、
御朱印収集家のナレーター佐藤アサトにLINEで知らせたら、
「もうコンプ済み」との返答が。


流石です。


豊岩稲荷沿いの路地からも表通りに出られるが、
路地を長く歩くべく、資生堂パーラーの方へ向かう。


こちらが出口(入口)。


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どれだけの人が、
この豊岩稲荷神社の案内碑に反応するのか解りませんが、
上の写真だけ見ると「どこに神社?」ですよね。


そろそろ昼休み終了時刻。


会社に戻る途中の交詢ビル。


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目の前の通りが交詢通りと命名されていることから、
歴史あるビルであることが窺い知れる。


交詢ビルを所有する交詢社は、
明治時代に福沢諭吉の提唱によって結成された日本初の会員制社交クラブ。


交詢ビルはそのクラブの本拠地。
関東大震災で被災した後、昭和4年(1929年)に建てらたが、
2004年に建替えられた。


上の写真の中心部分は、以前のビルの一部を再利用している。
(歴史的建築物の正面部分を保存する方法をファザード保存というらしい)


交詢ビル5階に入店している中華料理店・赤坂璃宮で、
2年前、ランチ会食をした。
とてもお上品でした。


さて、「裏路地本」では、豊岩稲荷神社沿いの路地出口から近い、
別の路地もセットで紹介していた。


後日、行ってみたんだが、
「路地裏本」に掲載されていた写真となんだが景色が異なる。


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路地の左側は、鉄板で囲われている。


もしかして再開発!?


後で「路地裏本」に載っている写真を確認してみたら、
鉄板で覆われたところに飲食店が軒を連ねていた。


路地の入口にあった台湾屋台料理屋・来来
ここには十年ぐらい前に、亡父と一緒に来たことがあった。


路地の奥も「路地裏本」の写真を見ると、
小さい店がごちゃごちゃとひしめいていたが、
ビルがドンッ!と建っていて、さっぱりしてしまった。


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左側の茶色とクリーム色のツートンカラーのビルのところに、
店が沢山あったのだが…。


銀座の路地、消滅の危機か!?




【関連記事】
「銀座路地 PART1 ティファニー本店と英國屋の間」

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プロフィール

1974年、東京都生まれ。少年時代、ジャッキー・チェンの映画に魅了され、映画小僧の道を突き進む。大学卒業後、映画宣伝代理店に入社。『リーサル・ウェポン4』、『アイズ ワイド シャット』、『マトリックス』などを担当。

2000年、スカパー!の映画情報専門チャンネル「カミングスーンTV」転職し、映画情報番組の制作を手掛けたのち、2006年、映画情報サイトの運用に従事。その後、いろいろあって、2013年7月よりCS放送「エンタメ〜テレHD」の編成に携わっている。

本ブログは、多ジャンルの情報提供を志すT-SHIRT-YA.COMのオファーを受けて、2003年4月にスタート。2007年12月にブログ化。
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