![]() 2/7よりシネクイント、シネ・リーブル池袋、新宿ミラノ3ほか全国にて 配給会社:日活 (C)2009『ララピポ』製作委員会 |
世の中にはたくさんの人がいます。
野心家の風俗スカウトマン
デブ女。
風俗嬢になるOL
一流大学を出ながらも全く売れないフリーライター
SFオタクのカラオケボックス店員
ゴミ屋敷で暮らす実は熟女系AV女優の主婦
こんな人たちが織り成す群像劇『ララピポ』
「イン・ザ・プール」、「サウスバウンド」の奥田英朗の原作を、
『嫌われ松子の一生』 、『パコと魔法の絵本』の中島哲也が脚本化し、
彼の弟子である宮野雅之が初メガフォンを執っている。
原作は読んでいるのだけど、まるで覚えていない。
そんな昔に読んだわけじゃないのに・・・
配給の方が「結構、原作通りに描いていますよ」と言っていたが、
映画見ている最中も、全く内容が思い出されず、
自分の記憶喪失ぶり絶望した。
でも、そんな若年性痴呆症が功を奏し、
ほとんど原作に囚われることなく映画を見ることが出来た。
まず、特筆すべきは役者さんたちかな。
風俗専門のスカウトマン栗野を演じたのは成宮寛貴。
チャラさと強かさと、
結局“飼い犬”であるスカウトマンの駄目さ加減が絶妙にブレンドされている。
資料曰く「栗野にはすごく感情移入出来る(成宮談)」とある。
なんで成宮寛貴が、栗野に共感したのかは・・・
すまん・・・ご自身の力で調べてください・・・
![ララピポ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/lalapipo2.jpg)
続きまして、その栗野にスカウトされ言われるがままに、
風俗店で働くことになったトモコ役の中村ゆり。
これが本当に素晴らしい。
これだけ若くて、美しい女優がこんな役をやってしまうとは・・・
まさに体当たり演技。
ややセクシャルなシーンに対して、
本人曰く「まったく抵抗感がなかった」という根性の座りよう。
勿論、そういう度胸の良さだけでなく、
流されながらも、逞しいというトモコの複雑な性格も見事に体現している。
ナイス・キャスティング!
もうひとつのナイス・キャスティングといえば、
森三中の村上知子。
ロリータ・ファッションに身を包み、初の濡れ場にも果敢に挑んでいる。
資料曰く、本人が当時まだ男性経験が無かったこともあり、
濡れ場に対してかなりナーバスになったらしいんだけど、
こういう大胆なチャレンジは、意外と高い評価に繋がったりする。
しかも、本作の撮影中に出会った男性にその悩みを相談しているうちに、
そのまま電撃結婚。
キャリア、プライベート共に、
凄まじく結果オーライ。
濡れ場に限らず、
この村上知子は演じた玉木小百合のキャラを上手く表現している。
物怖じしない腹黒女で、見ているだけで相当むかつくんだな。
劇中でもボコられていたけど、本当にぶん殴りたくなる様なキャラだ。
こういう男性(だけかな?)の神経を逆なでするような女を演じるのも難しいと思うし、
イメージ的にも勇気がいるでしょう。
他の主要キャラも濱田マリを筆頭に、皆さんそれぞれハマリ役でした。
![ララピポ](http://www.t-shirt-ya.com/itoup/images/lalapipo3.jpg)
で、結構、強烈なキャラクターが出てくるので、
中身もちょっと強烈です。
風俗やらAV女優やらがガンガン登場するから、
チ○コネタとかも当然の如く出てくる。
ポスタービジュアルとかはカラフルな感じなので、
軽いノリのコメディだと思って見ると、やや戸惑うかも。
そして、このイメージと内容の乖離が、
実はこの作品最大のマイナス要素の様な気がする。
『嫌われ松子の一生』同様の手法で、
きつい内容をユーモアと色彩で包み込んで、ややマイルドにしているものの、
バカコメディだと認識した女性とかは、見たら絶対に引くと思う。
その溝を埋めるのが宣伝の仕事なんだろうけど、
そうはいっても中々難しいよね。
まぁ、宣伝の仕事はお客さんに劇場へ行ってもらうことだから、
バカコメディだろう勘違いされようと、劇場まで足を運ばせたら勝ちなんだけどね。
タイトルの意味も判りにくいし。
(ポスターとかチラシを良く観察するとタイトルの意味が書いてある)
ダメ人間たちの生き様を丁寧に描きながらも、
最終的にはポジティブな気分にさせてくれるし、
ラストに向かっての集約のさせ方もスマート。
コメディはコメディだけど意外と毒がある。
ってことを理解したうえで見れば、今の時代に合っている作品だと思うし、
あまり抵抗感無く楽しめるのでは?